

ルビィ「ジュースもあるよ」ハイ!
善子「そう、そこら辺に置いといて」カチカチ
ルビィ「あ、はい…」コト
ルビィ「……」
ルビィ「ねえねえ、ルビィもいるよ!」ヒョコッ
善子「でしょうね」カチカチ
ルビィ「隣にいるよ!」
善子「そうね」カチカチ
ルビィ「………」
善子「……」カチカチ
ルビィ「…」パッ
善子「…は? え! いやちょっと! なに取ってるのよ!」
ルビィ「善子ちゃん、これどうやってやるの?」
善子「いいから返しなさい! 今いいところなんだから!」
ルビィ「こうかなぁ、突撃ー」ワアアァァ
善子「ああっ! そんなところでゲージ使わないでよもったいない!」
ルビィ「え? でも勝ってるよ?」
善子「今だけよそんなの! これからあと何戦残ってると思って……」
ルビィ「これで終わりじゃないの?」
善子「勝ち抜き式なのよ!」
ドオオォォォン!
ルビィ「え?」
善子「あ」
ルビィ「全滅しちゃった」
善子「ちょっと! 何してくれてるのよ! ああ、今回はいけそうだったのに……」
ルビィ「ごめんね善子ちゃん」
善子「ダメよ、許さないわ」
ルビィ「どうしても?」
善子「どうしても」
ルビィ「ねぇ、お菓子食べさせてあげるから許して」
善子「あんたがやりたいだけでしょそれ」
ルビィ「ダメなんだ」
善子「人の至福のときを邪魔したんだから当たり前よ」
ルビィ「でも善子ちゃんだってルビィの邪魔ばかりしてるよ?」
善子「私がいつルビィの邪魔をしたっていうのよ」
ルビィ「今日」
善子「何もしてないけど?」
ルビィ「ゲームしてたじゃん」
善子「いや、答えになってないし」
ルビィ「なってるよ」
善子「…はあ、どうせ「善子ちゃんがルビィに構ってくれないよぉ」とか、そういうのでしょ?」
ルビィ「……違うけど」ムスッ
善子「あーはいはい分かった分かった、面倒くさいわねえもう」ヒラヒラ
ルビィ「だから違うもん、それだけじゃないもん」
善子「じゃあ何なのよ、言ってみなさいよほら」
ルビィ「……デート」
善子「は?」
ルビィ「今日デートの約束だった」
善子「デート? え、それ明日の間違いじゃないの?」
ルビィ「……ん」スッ
善子「何よ、スマホなんか見せてきて」
ルビィ「いいから見て」
善子「…21日にチェックがついてるわね」
ルビィ「今日は何日ですか?」
善子「20日…「21日」
善子「…………」スマホ
善子「……21日ね」
ルビィ「うん」
善子「……」
ルビィ「ねぇ善子ちゃん」
善子「はい」
ルビィ「何か言うことは?」
善子「すみませんでした」ドゲザ
─
ルビィ「ねえねえ善子ちゃん」
善子「……」セイザ
ルビィ「どうして忘れてたの?」
善子「いや、それは…」
善子(徹夜続きでゲームやってて日の感覚が狂ってたなんて言えないわ…)
ルビィ「きっと善子ちゃんのことだから、ゲームのやり過ぎで日付が分からなくなったとかなんだろうけど」
善子(思いっきりバレてるし!)
善子「…えっと、最近発売したやつがあって……つい」
ルビィ「うん、それで?」
善子(ルビィお願いだからいつもと同じ感じで接してくるのやめて!? 逆にすごい怖いわ!)
善子「…いやね? その、息抜きでね? ちょっとね…うん」
ルビィ「ふーん、ちょっとかぁ…ねぇ、息抜きどれくらいやったの?」
善子「…40時間って出てるわね」
ルビィ「……ふ~ん」
ルビィ「ねえ善子ちゃん、ゲームは1日?」
善子「4~5時間」
ルビィ「1時間だよっ!」バンッ
善子「……」メソラシ
ルビィ「…まあ、それは別にいいの」
善子「どっちなのよ、っていうかいいの?」
ルビィ「ううん、よくない」ズイッ
善子「だからどっちよ…」アトズサリ
ルビィ「とにかく、ルビィは今すごく不満なの」
善子「…いやそれは、悪かったわよ…ごめん」
ルビィ「うん、いいよ」ニコ
善子「いいの!? あんなに機嫌悪かったのに!」
ルビィ「その代わり、はい」
ギュッ
善子「……なにこの手は」
ルビィ「お出かけしよう、お出かけ」
善子「出かけるの?」
ルビィ「だって本当は今日がデートの日だもん」
善子「そうかもしれないけど…」
ルビィ「行きたい」クイクイ
善子「外暑いし……」
ルビィ「ねえ連れてって」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん、善子ちゃん」
善子「…何よ」
ルビィ「いっしょにいこ?」
善子「……あぁ~……もう…」
─
ワイワイ ガヤガヤ
善子「結局来てしまったわ…」ハァ
ルビィ「人がいっぱいだねぇ」ニコニコ
善子「休日だからでしょ、あとはまあ…夏休みだからって人もそれなりいるんじゃない?」
善子「どっちにしろ、なんでこんな暑い中…外をうろつけるのか疑問ではあるけど」
ルビィ「引きこもりの台詞だよね、それ」
善子「結構痛いところ突かないでよ…」
善子「それで、ルビィはここに何しに来たのよ?」
ルビィ「ねえ、その前にジュース飲みたい」ギュ
善子「……」
ルビィ「暑いから」
善子「…暑いなら離れればいいと私は思うんだけど」
ルビィ「かき氷でもいいよ、ルビィはいちごね」
善子「…ルビィ、あんた最近輪をかけて図々しくなってるわよね」
ルビィ「善子ちゃん以外にはこんなお願いしないから大丈夫だよ」
ルビィ「善子ちゃんだから、お願いするの」
善子「っ…あのねえ、私がそんなので納得するとでも…」
─
ルビィ「~♪」パクパク
善子「……なんで、こうなるのかしらね」
ルビィ「ん~?」
善子「別に、美味しいかって聞いただけよ」
ルビィ「うん、おいしい」ヘラーッ
善子「あっそ、それはよかったわね」
ルビィ「食べたいなら一口あげるよ?」
善子「なんでそうなるのよ、っていうか自分の分があるからいいわよ」
ルビィ「はい」アーン
善子「……」
パクッ
ルビィ「どう? どう?」
善子「別にそんなに変わらないけど」
ルビィ「……」ジトー
善子「…美味しいわよ」
ルビィ「本当!? やったぁ」
善子(めんどくさ…)
ルビィ「美味しかったねぇ」
善子「まあ少しは涼めたかしらね」
ルビィ「あっそうだ、ねえねえ善子ちゃん」
善子「今度はなによ」
ルビィ「あのねえ、ルビィね、欲しいものがあるの」
善子「ああそう、それが今日出かけた理由なのね」
ルビィ「うんそうだよ、さすが善子ちゃん!」
善子「いや思いっきり顔に出てるからねあんた」
─
善子「……なんでグッズ売り場なの」
ルビィ「善子ちゃん、見てみて」
善子「……ねえ」
ルビィ「ほら寝そべり、善子ちゃん寝そべり」ギュー
善子「そうじゃなくて、その隣にさ」
ルビィ「え?」
善子「…心なしか、ルビィの寝そべりが三つあるように見えるんだけど」
ルビィ「あっ、分かった?」
善子「そりゃ分かるでしょ…」
善子「で、私が気になっているのはそっちなんだけど」
ルビィ「そっか、それじゃあ」
ルビィ「はい、ここで善子ちゃんに問題です」
善子「人の話を聞きなさいよ」
ルビィ「ここに三つの寝そべりがあります」
ルビィ「一つは小さい寝そべり、もう一つは普通の寝そべり、最後にすごくおっきい寝そべり」
ルビィ「これを使って、ルビィのご機嫌をとるにはどうすればいいでしょうか?」
善子「……は?」
善子「え、なに…つまり買えと?」
善子(っていうか機嫌直ってなかったの…?)
ルビィ「30秒の間に答えを出してね」
善子「聞いてよ人の話を」
ルビィ「よーい、スタート」
善子「いやちょっと! どんだけ自分ルールなのよあんた!?」
善子(…とは言ったけど、まあ簡単でしょこんなの)
善子(要は小さい子供のカップルがよくやる「私のことどれくらい好き?」のアレと似たようなもので)
善子(物の大きさで相手への愛を示せばいいんでしょ「私はあなたのことがこれくらい好き!」っていうアピールを見せればそれでいいわけ)
善子(一つだけ段違いに大きい寝そべりがあるのがその証拠よ)
ルビィ「あと10秒だよー」
善子(全く、本当ルビィって分かりやすいわよね、単純というか)
善子(まあ正直値段は嵩むけど…今回は私にも悪いところがあるし、それであの子の気が済むなら…うん)
善子「…決まったわ」
ルビィ「ホントに? じゃあ答えをどうぞ」
善子「あのでっかい寝そべりの…」
ルビィ「すごくおっきいルビィの寝そべりね」
善子「…すごくおっきいルビィの寝そべりにするわ」
ルビィ「うんうん、善子ちゃんはそれで本当にいいの?」
善子「ええ」
ルビィ「そっか」
ルビィ「……」
ルビィ「…………」
ルビィ「……善子ちゃん」
善子「いやいや、なんで無駄に引き延ばすのよ、当たりでしょ?」
ルビィ「残念、不正解だよ」
善子「え……はあ!? なんで!? 大きさで好きを測ってたんじゃないの!?」
ルビィ「うん、そうだよ」
善子「意味分からないんだけど! だったら正解は何なのよ!」
ルビィ「正解は…三つ全部です!!」ニコ
善子「もうやだこの子! ホントに面倒くさい!!」
ルビィ「大丈夫だよ、冗談だから」
善子「あんたの場合冗談に聞こえないのよ!」
ルビィ「本当だって、これだけでいいよ」
善子「…普通のサイズ一つか、本当にそれだけでいいのね?」
ルビィ「クスッ…やっぱり善子ちゃんって優しいよね」
ルビィ「全部買ってあげるつもりだったんでしょ? ありがとう」ニコ
善子「…会計行ってくるわ、貸して」
ルビィ「えへへっ…いってらっしゃーい」フリフリ
─
ルビィ「善子ちゃん、今日は楽しかったねぇ」テクテク
善子「どっと疲れたわ、私は」スタスタ
ルビィ「だって約束破っちゃうから」
善子「そうね、今日のことで身をもって知らされたわ」
善子「次はちゃんと守るわよ」
ルビィ「そっか、楽しみにしてるね?」
善子「出来ればあまり私を振り回さない形にしてほしいけどね」
善子(絶対無理だと思うけど)
善子「じゃあ私こっちだから、またね」
ルビィ「あっ、ちょっと待って」ガサゴソ
ルビィ「その前に、はいこれ」
善子「…これ、ルビィの寝そべりじゃない」
ルビィ「今日一日ルビィに付き合ってくれたお礼」
善子「…いいの?」
ルビィ「うん、ルビィには善子ちゃんのがあるから」
善子「……あっそ」
ルビィ「ルビィだと思って大事にしてね?」
善子「見た目にそぐわない重い言葉はやめて」
善子「でもまあ、大事にはするわ…ありがとね」フフッ
ルビィ「うん!」
ルビィ「じゃあまたね、善子ちゃん!」
善子「はいはい、またね」
─それから…
バタン
善子「…あー疲れた」
善子「もう本当に、くたびれたっていうか」
善子「……」ジーッ
寝そべりルビィ「…」
善子「クスッ、まあいいか」ギュゥ
善子「なんだかんだで私も楽しかったわよ、ルビィ」
乙
寝そべりよしルビちゃんおうちにいるけど本当にかわいいです
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