にこママ「また支払いが増えちゃってて、保険と税金だけでいくらもってく気なのかしら、はぁ…」
にこ「ふ~ん」
にこママ「はぁ……」
にこ「ねぇ、そんなに払ってるの?」
にこママ「それはもうすごい金額よ……」
にこママ「ちょっと見てみる……?ほら 」
にこ「ん~?」チラッ
にこ「い”っ!?」
にこママ「ね……?」
にこ「どーなってんのよぉおっ!!!」
翌日、部室
ばんっ
にこ「ありえないっ!!」
花陽「へっ!?」ビクッ
凛「いきなりびっくりしちゃったよ、もぅ」
海未「一体どうしたんですか?」
にこ「私は、現実を知ってしまった……」
ことり「にこちゃん?」
にこ「この国、いや……この世界は間違ってる!」
絵里「何~、急にどうしたのよ?」
にこ「税金よっ!!昨日初めてママの月々の支払いを知ってしまったの」
にこ「おかしいでしょ!何であんなに持ってかれなくちゃいけないのよ!」
凛「ふうん、税金ってそんなにかかるの?」
穂乃果「あんまり考えた事なかったからよくわかんないよね」
海未「まぁ、ざっとですが仮に穂乃果が20万円を自分で稼いだとして4~5万近くは引かれるでしょうね」
穂乃果「そうなのっ!?」
海未「ええ、それにもし滞納などしていたら遡ってさらに上乗せしていくので下手をしたら月のお給料以上の支払いがくる事も」
穂乃果「ええっ!!?そんなの無理にきまってるじゃん!」
にこ「例えば健康保険、仮に事情があって保険に入ってない期間があったとするわよ?」
にこ「当然その期間は病気になって病院にいっても治療費は全額負担、まぁここまではわかるわ」
にこ「でもそこからまた保険に加入するとなると遡って入ってなかった期間の分まで請求がくるのよ?」
穂乃果「ええっ!?何で!?」
にこ「わかんないわ、何もしてないのにマイナスになるのよ!?どう考えてもおかしいわよ!」
真姫「でもちゃんと払ってたら問題ない話でしょ」
にこ「バカッ!」
真姫「へっ?」
にこ「世の中皆があんたみたいに裕福じゃないのよ!」
真姫「そ、そんな事……知らないわよ」
海未「確かに若年層の貧困は問題になっているのも事実ですね」
にこ「私が卒業して仕事を始めたとして20万円稼いでも手元に残るのはたったの15万よ?」
にこ「もし1人暮しなんてしてそこから家賃に電話に食費まで払ってたら……」
絵里「ねぇ、1人暮しってそんなにかかるものなの?」
希「多分エリチやったら色々含めて月10万は超えるんやないかな?」
絵里「はい?!じゃあ私が自由に使えるのは5万円ってこと?!20万円もお給料がでてるのよ!?」
にこ「そうよ、しかもママが言うには初任給なんてもっともっと安いんじゃないのって」
ことり「そんなんじゃお洋服買ったらスグになくなっちゃうね」
穂乃果「でもさ、ドラマとかでもお仕事が終わったらお洒落なバーとかで毎日カンパーイとかしたりしてさ」
真姫「そういうのは憧れるわね」
にこ「あれは、嘘よ」
穂乃果「うそなの!?」
海未「考えてみたらあんなに毎回外食や飲みに出たりするって余程の成功者だけでしょうね」
ことり「そんなぁ……」
にこ「ママが若かった頃は、深夜まで残業しては安いスーパーのお弁当を食べて節約してたって……」
絵里「ほら、でも自分で作ったら何か安くすみそうじゃない?」
希「案外そうでもないんよ、実際は自炊なんて時間かお金に余裕がある人しかできないものやないんかなぁ」
にこ「だから下手したら今の生活の方がマシかもしれないんだって、はぁ……」
穂乃果「なんか、夢も希望もないね…」
絵里「意外と厳しいのね、世の中……」
花陽「でも、ここまでにこちゃんが真面目に話してるのってさ」
凛「何か、珍しいね」
にこ「あんな請求みたら誰だって考えるわよ、それに他人事と思って聞いてるけどさ、あんた達だって無関係じゃないんだからね」
凛「どういう事?」
にこ「この税金ってシステムはより若い者に、より貧しい者ほど効いてくるようになってんのよ」
花陽「え??でもお金持ちの人って沢山 税金払ってるんだよね?」
にこ「確かにそう、でも毎月1億貰ってる人が5千万引かれても最悪何も困んないでしょ?」
凛( 結構困るんじゃないの?凛なら悲しいかなぁ )
にこ「だけど毎月5万円しか貰ってない人が1万円でも引かれたとしたら?」
花陽「あ……」
にこ「そう、引かれる額は違うけど稼ぎの少ない人程苦しくなってくわけ、そもそも5万円から税金を持ってくなんてもはや殺しにかかってるのも同然よ」
穂乃果「貧乏って怖いんだねぇ、将来は頑張って絶対お金持ちにならなくちゃ」
にこ「そこがまた上手い事できてんのよ」
ことり「まだ何かあるのっ?」
にこ「格差社会って聞いた事ある?」
凛「あるかも!」
にこ「どういう事かわかる?」
凛「何となく、ふわっとしたイメージなら…」
凛(それより何でこんなに調べてるんだろ……)
にこ「仮にこの世界の総資産が金貨100枚、住んでる人間が100人とすると」
にこ「今この世界は、たったの4~5人がその金貨の半分近くを握りしめてるような状態なのよ」
凛「ええ!?ウソでしょっ!?」
穂乃果「あんまりだよっ!じゃあ大半の人達は金貨1枚も持ってないの?」
海未「実際はそんな感じでしょうね、よくTVで国民の平均所得や貯蓄についてやってますが……」
絵里「知ってるわ、ああいうの見てたら意外と皆貯金あるのよね」
にこ「あれもウソよ」
真姫「またウソなの!?」
海未「正確には大多数の人の平均はもっと低い筈ですが極一部の富裕層がその平均値をかなり上げているんです」
穂乃果(ああ、段々わかんなくなってきたなぁ)
にこ「で、ここでさっきの格差社会の話に戻るけど」
にこ「当然その上位4~5人ってのが権力をもってるから、自分達が有利になるようルールを決めたりしてるってわけ」
ことり「そうなんだぁ、色々勉強になったなぁ」
海未「そうですね、ではそろそろ帰りーー」
にこ「まだよ」
ことり「まだあるのぉ……」
にこ「そして極めつけは年金問題よ」
花陽「よく問題になってるのだよね…」
海未「私達の世代は少子化なのに高齢者の数は増えていく一方ですね」
にこ「最初に年金ってシステムを考えた頃は子供が沢山いて高齢者は少数の綺麗なピラミッドだったから機能してたんでしょうけど」
希「今は少数の若者達が多数の高齢者を養う形になりつつあるわけやね」
穂乃果「たしか穂乃果達がおばあちゃんになる頃にはあんまり貰えないんだよね?」
にこ「そう言われてるわね、しかもよ!年金が受給できる年齢はどんどん上がっていくのにそれまでに支払う負担はどんどん増えていくの」
にこ「おかしいでしょ!最初に考えた奴のせいしゃない!!」
絵里「そう言われたらおかしいわね、私達って損するのを分かっててお金を払い続けるようなものでしょ?」
にこ「ええ、そこでにこは考えたの!どうしてこんなにお金がかかるのか、どうやったら豊かに暮らせるのかを」
穂乃果「ほう」
実家暮らしならなんぼでも金貯まるやろ
子育てもですが子作りも計画的に
にこ「にこちゃんの考えたパーフェクトなプランが2つ!」
穂乃果「2つもあるの?」
にこ「まず一つ、安楽死施設」
花陽「安楽死っ!?ちょっとにこちゃん!?」
真姫「それってひょっとして、医療費や介護負担がかさむ人達を切り捨てるって事?」
希(いきなりパンチ効いてるなぁ )
にこ「当然その間にかかる労力も病院代もとんでもない事になる、それはあんたの家族にも、この国の国民達にも降りかかる」
凛「そんな……」
にこ「寝たきりなんだから当然体を動かす事も、下手したら喋ることも……いや、意識すらないかもしれない」
真姫「いわゆる脳死問題ね、意識がない人を無理矢理生かしている事が本当に正しい事なのか…」
穂乃果「穂乃果はそれでも死にたくないよ!」
にこ「あんたはそうだろうけど、でもそんな不自由な生活に嫌気が差す人だって当然いるとは思わない?」
花陽「まぁ、ひょっとしたらいるのかも……」
にこ「現にいるのよ、でも今の日本の法律では安楽死は御法度になってるからどうしようもないってわけ」
希(仮にもアイドルを目指してるとは到底思えない現実主義やね…)
穂乃果「それでも!人を殺すなんて絶対ダメに決まってるっ!」
凛「うんうん、穂乃果ちゃんの言う通りだよ!」
にこ「分かってる、私だって人が死ぬなんて無理だし皆生きてた方が良いって思ってるわ」
海未「でも、そうではない人がいるのも紛れもない事実なんです」
にこ「あんた達は自分の価値観が正しいと思っているかもしれないけど、違う意見の人もいるのよ」
絵里「それを一方的に感情や倫理観だけで否定するのも確かにおかしいかもしれないわね」
にこ「そこでさっきの手取り20万を思い出してみて?私達には果たしてそんな余裕はあるの?」
凛「うう……」
希「自分が生きるのだけで精一杯な人も中にはいるんやないかなぁ」
にこ「そう、ならせめて死にたいって明確に自分の意思で思ってる人達に関しては自由にさせてあげてもいいんじゃないの?」
凛「そう、なのかなぁ……」
穂乃果「う~ん………」
にこ「100歩譲って私達は今のままでもいいかもしれない、でもね」
にこ「後に続く世代は更に負担が増していくのよ?」
にこ「私は、可愛い妹達にまでそんな理不尽な苦労はさせたくない!これが本音よ 」
花陽(何かにこちゃんの言ってる事の方が正しいんじゃないかって思えてきたかも……)
海未「まぁ、安楽死施設に関しては犯罪の温床になりかねませんし、まだ議論の余地はあると思いますがね」
絵里「やたら海未も詳しいわね」
穂乃果「そもそもだよ、金貨を沢山もってるお金持ちの人が悪いんじゃないの?」
凛「そうだよっ、ない人から取るんじゃなくて沢山もってる人達からもっと分けてもらえばいいんだよ」
にこ「それはそうだけど、言うならそいつらは全てを決める事ができるゲームマスター、私達はそのルールの中にいるプレイヤーよ?」
海未「言い方はアレですが神とも言える存在ですね……」
穂乃果「ぬうう……」
凛「じゃあ……」
花陽「どうしようもないって事なのかなぁ…」
にこ「何か変な空気になっちゃったわね」
海未「大体にこのせいですよ」
ことり「なら今日はそろそろ帰ろっか!」
…
希「ねぇ、にこっち」トボトボ
にこ「悪かったわ、何か昨日からすごくショックでね」
絵里「ふふ、でも私は色々聞けて良かったかも」
にこ「色々?」
希「普段はうちらって大人に守られて綺麗なものや正しい事しか見てないからああいう突っ込んだ話題は新鮮やったなぁってね」
絵里「それに皆の意見も色々聞けたしね」
にこ「まぁ、殆ど私か海未が喋ってた気がするけど」
希「そういえばにこにーパーフェクトプランって2つあったんよね?」
にこ「ああ、まぁ……」
絵里「あと1つって何だったの?」
にこ「そっちは確実に引かれそうだったから止めたわ」
希(十分引いてたよ……)
絵里「ねぇ、せっかくだし私達にだけ聞かせてくれない?」
にこ「ええ……、まぁいーけど」
にこ「安楽死だけじゃどう考えても足りないでしょ……?」
希(足りない?)
にこ「どうせなら老人皆いなくなったら全てリセットかなって」
希「まさか、姥捨山……ちょっと、にこっち……」
絵里「にこ……あなた少しサイコパスというか……その、問題あるんじゃないのッ!?」
にこ「だから言ったでしょ!!引かれるって、聞いたあんた達が悪いのよ!」
にこ(本当は、違うけどね……)
しばくぞ
また社会科シリーズやって欲しい
ぬゎじゃない展開は、むしろ新鮮。
マジで税金の文句を言うときりが無い
年収400あるはずなのに手取りは250くらいしかないからな!考えたところで意味ないが、ライバー全員自分の収入を見直した方がいい
まさに、ここから革命思想が起こるのですよw
貧富の逆転の機会はそこにしかないのです