

神田明神
穂乃果「おーいっ、おーいっ……おはよーございまーす」
穂乃果「あ、目覚ましてくれたね!」
穂乃果「私のこと……覚えてる?」
穂乃果「あはは、ほんと? あー忘れられてるんじゃないかなーなんて」
穂乃果「うんうんっ、良かった! 久しぶりだね!!」
穂乃果「でも……どうして戻ってきたの?」
穂乃果「え、私達のこと考えてたら……また迷い込んじゃった?」
穂乃果「えー、そんなことあるんだ!! すごいね!」
穂乃果「私も、久しぶりにあなたに会えて嬉しい!!」
穂乃果「一年ぶりだね! あなたは何してた?」
穂乃果「なるほど! ……そんなことしてたんだ……なんだか、すごいね!」
穂乃果「ちゃんと頑張ってたんだね……」
穂乃果「もっとお話が聞きたいけど……その前に」
穂乃果「どうしたら戻れるんだろうね?」
穂乃果「うーん、困ったなぁ……むむむ」
穂乃果「……とりあえず、みんなに会ってみる?」
穂乃果「うんっ、みんなもあなたのこと、首をながーくして、待ってたんだからっ!」
◇――――◇
穂乃果「懐かしい?」
穂乃果「そっかぁ、私たちはいつもここにいるからそんな感じはしないけど、あなたからしたらそうなのかもね?」
穂乃果「うん、こっちが部室」
穂乃果「じゃー、開けるよー?」
ガララッ
海未「もう穂乃果っ! 一体どこへ行っていたんですか……ん?」
海未「あなたは……」
穂乃果「ねー、久しぶりだよね! なんかね、またこっちに迷い込んじゃったんだって!」
海未「また、迷い込んだ?」
ことり「うわー久しぶりっ! 元気だった!?」
真姫「っ! どうしたのよ急に」クルクル
希「わざわざ冷めてるフリしなくてもいいんやないー?」
真姫「な、なによ別にそんなこと」
凛「ひっさしぶりにゃー!!」ギュッ
凛「んーなんか懐かしいー!」
花陽「久しぶり、ご飯食べてた?」
にこ「開口一番がそれか……」
絵里「いいじゃない、とりあえず座って?」
穂乃果「そーだよ、ささどーぞ」
にこ「あんた、元気だったの?」
ことり「見た感じは元気そうだけど……」
にこ「ま、そうよね、聞くまでもない、か」
絵里「そう言わないで、どうだった?」
絵里「そう……良かった」
やめろ
続けろ
真姫「でもなんで今日戻ってきたの?」
花陽「……真姫ちゃん忘れたの!?」
真姫「……ばか、忘れるわけないでしょ」
花陽「……だよね」
にこ「まーあなたがこのにこにーのことを恋しくなるのはわかるけどぉ……」
希「えーにこっちなの? 今日は誰が目的ー?」
絵里「困ってるでしょ、ねえ?」
凛「あ、ポイント稼ぎ」
絵里「凛」
凛「は、はーい」
穂乃果「じゃあさ、あなたは戻らないと行けないんだよね? 穂乃果達と、戻る方法、探そっか?」
◇――――◇
一年生 図書館
真姫「あなたも大変ね」
凛「ねー、そんな物語みたいな」
真姫「ほんと、現実は奇なりね」
花陽「図書館来たって……そんな事例が乗ってるわけない、よねえ」
真姫「そもそもどの本読めばこの人のことが載ってるのよ」
凛「うーん」
真姫「図書館来た意味あるの?」
凛「だって調べ物と行ったら図書館だにゃ」
真姫「まあ……」
真姫「あなたは何か心当たりないの?」
真姫「まあ、あるわけないわよね」
花陽「でも、どうしてまたこっちに迷い込んじゃったんだろう」
真姫「なんか、思い出すわね」
真姫「歌詞を書いて、曲を作って……練習して、あの時は色んなことがあった」
凛「ね……懐かしい」
花陽「――どうかな、花陽達ちょっとは変わった?」
花陽「えー、変わってない? うぅ……まだ大人っぽくなれないって」
真姫「いい意味でってこと、そうでしょ?」
真姫「そう、よく言ったわ
凛「言わせただけにゃー」
凛「でも」
凛「あなたはちょっと――大人っぽくなったかな?」
真姫「……そうかもね、なんか生意気」
真姫「何経験したんだか」
凛「真姫ちゃんは全然変わってないからって」
真姫「変わってるわよ! ほ、ほら大人っぽくなってるでしょ」
真姫「な……っ」
凛「ほら変わってないってー」
真姫「はぁ……まあいいわ、もうちょっと調べましょ」
続けてくれ
◇――――◇
ファミレス
希「うーん……」
絵里「あ、これ美味しくない?」
希「……すっごく美味しい」
絵里「そうよね!」
にこ「……なんで普通にご飯食べてんのよ!!」
希「? まあまあ、まずは腹ごしらえって習わなかった?」
にこ「どこの学校かしら」
にこ「あんたも呑気に食うな」
希「いやー、にこっちは怖いなー?」
希「ほら」クスクスッ…
にこ「はぁぁ……」
にこ「あんたわかってるの? また元の世界に戻れないかもしれないのよ?」
絵里「そうね……一体どうしたのかしら」
希「うーん……ほんとにウチらに会いたくなっただけ、とか?」
絵里「そんなことあるの?」
希「強い想いが再び再会させるだなんて、ロマンチックで素敵やと思うんだけどなぁ」
絵里「そうね……確かに」
希「ましてや、あなたとウチらなんだから、ね?」
絵里「……」
絵里「あなたがいてくれたから、私たちは今こんな風にしていられるって言っても……いいくらいだしね」
希「うん」
にこ「ふんっ、そんなこと言ってるからこの人がつけあがるのよ」
希「えー、そんなこと言って……一年前の時は――」
にこ「だー!! なに言おうとしてるのよ!!」
希「くすくす」
絵里「どう? あなた、この1年間なにしてた?」
絵里「新しい生活だったかしら、それとも……今までの延長線上だったかしら」
絵里「そう……辛いこともあったわよね」
希「え、そういう時はウチらのこと……思い出してくれた?」
希「あはは、うん……嬉しい」
絵里「でも、楽しいこともあったでしょう?」
絵里「……うん、良かった」
にこ「ま、あなたと久しぶりに会えて悪くはなかったかもね」
にこ「こうして……みんなと会えたのもあなたがいたからって……そういう気持ちも無くはないし」
希「もっと素直に言えないん?」
にこ「な、なによ十分素直でしょ!!」
◇――――◇
音楽室
穂乃果「んー……ん!?」
穂乃果「頭を打つとか!!」
穂乃果「入れ替わったー!! みたいな」
海未「なんですかそれは……」
ことり「前はどうやって戻ったんだっけ?」
ことり「だよねえ……私たちもよく覚えてない」
海未「――気がついた時には、あなたはいなくて……」
穂乃果「……ほんとーに私達のこと、覚えててくれたの?」
海未「なんでそこを疑うんですか」
穂乃果「いやだってさー……」
ことり「一年、だもんね……」
やめろ
ありがとう
穂乃果「本当に元気だった?」
穂乃果「そっかー……うんうん」
穂乃果「へえ……そんなことも」
ことり「頑張ってたんだね!」
海未「……私達も、あなたと一緒に見た景色……ずっと心の中にしまってあります」
ことり「私達だけの、思い出だからね? あなたも、どこか心の片隅に置いておいてくれると……嬉しいな」
穂乃果「はー……ここでいっぱい曲を作ったりしてたね」
ことり「海未ちゃんと真姫ちゃんばっかりだった気もするけど……」
海未「いえそれどころか色々無茶を言われて苦労したことの方が覚えています」
穂乃果「あはは……だって思いついたことは言わないと損かなあって」
海未「全く……」
ことり「でもさ、どうしてこっちに戻ってきちゃったんだろうね?」
穂乃果「私達ね、こんな日だからあなたの話をしていたんだよ」
穂乃果「驚いた? 懐かしいねーって、そんな話をして帰ってる途中であなたを見つけた」
海未「偶然はあるものなんですね……」
穂乃果「――偶然なのかな……」
海未「?」
穂乃果「だって、あなたも私達のことを考えて振り返ってくれてたんでしょ? で、私達もあなたのことを話していた……」
穂乃果「こんなの偶然じゃないよ!!」
穂乃果「わからないけど……きっと偶然なんかじゃない。だって、あなたと私達がこうして出会ったのだって……偶然なんかじゃないでしょ?」
穂乃果「きっとどこかで、また……一つになれたのかなって」
穂乃果「ふふ、だよね!」
ことり「ねー!」
穂乃果「そいえば、みんなまだ?」
海未「そろそろ来ると思いますが……」
希「お待たせー」
にこ「押さないで、ちょっ」
凛「はやくはやくーっ!」
絵里「真姫、大丈夫そう?」
真姫「当たり前でしょ」
絵里「そうね、聞かない方が良かったわね」クス
花陽「んー……みんなでこうやって音楽室に集まるのはなんだかんだ、久しぶりだね」
真姫「そうね……」
真姫「――あなた、何か聞きたい曲とか……ある?」
穂乃果「そうだよね、せっかく来てくれたんだし……あなたのお気に入りの曲はなんなの?」
真姫「……ふーん、なるほど」
真姫「ま、なかなかのセンスね」
ことり「うーん、緊張してきた……」
海未「ふふ、見てくれる方があなただけなので……まあでも、ずっと私達のこと、見てくれていましたもんね」
凛「CDも何回も何回も聞いてくれてたよね!」
花陽「私達のライブにも、来てくれたね」
真姫「曲……褒めてくれて、あ、ありがと」クルクル
希「ダンスもじーっと見てくれてたね」
ことり「ことりが作った衣装……毎回可愛いって、かっこいいって、褒めてくれたよね」
やめろ……
続けてくれ
絵里「私達と一緒に……居てくれたわね。何回も何回も泣いたり笑ったり、全部一緒になってくれた」
海未「あなたの声が、精一杯の声が……私達に届いたから、いえ、届けてくれたから……私は歌詞を書けたのだと――みんながこうやって一緒にいられるのだと思っていますよ」
にこ「――感謝、してるんだからね」
穂乃果「じゃあ始めよっか、あなたが見てくれているってだけで……私達はなんでも出来そうな気がするんだ」
穂乃果「だから、歌うね、あなたのために」
穂乃果「1!」
ことり「2!」
海未「3!」
真姫「4!」
凛「5!」
花陽「6!」
にこ「7!」
希「8!」
絵里「9!」
穂乃果「……」
穂乃果「――なにしてるの? あなたも、でしょ?」
穂乃果「……」
穂乃果「……ふふっ、よしっ! バッチリだね!」
穂乃果「µ’s! ミュージック――」
◇――――◇
神田明神
穂乃果「あー……なんかあれだね。なんとなくわかるものなんだね」
海未「ええ……」
海未「――あなたは行ってしまう、そう、ですよね?」
ことり「あはは……ことり、やっぱりちょっと……寂しいな」
にこ「ち、ちょっとあんたもなに泣きそうになってんのよ!?」
希「にこっちもやん?」
にこ「べつに、これは……」
絵里「……」
絵里「……え、戻りたくない?」
絵里「……だめよ?」
絵里「あなたは”今”に戻らなくちゃだめ、それが辛いかもしれない、楽しいかもしれない……でも、今に勝るものはないんだって……一緒に、確かに、あの時……心を一つにして、叫んだでしょう?」
真姫「そうよ、あなたは私達のことを今でも考えてくれている、それだけで私達は嬉しいわ」
凛「うんっ、それが知れただけでも良かったなって思うにゃ!」
花陽「あなたに支えられたから、私達は……ここにいるんです。本当にありがとう」
花陽「だからね、戻らないなんて言わないで? 今を生きて、未来を見て欲しいです」
穂乃果「……」
穂乃果「そう、あなたのおかげで、ううんみんなが居てくれたおかげで…ここに私達の物語は叶ったの。だから、次はね」
穂乃果「あなた自身で――あなたの物語を叶える番」
穂乃果「もー、泣かないで、大丈夫! あなたは一人なんかじゃないよ」
穂乃果「ほら見てよ、私たちがいる!!」
穂乃果「あなたが走っているそのすぐ後ろで、あなたのことを、支えるから」
穂乃果「だから、辛くなった時、苦しくなった時……そんな時は、なんでもいいから私達のことを思い出して欲しいな」
穂乃果「そうすれば、私達は私達でいられる。私達µ’sはいつでも――あなたの中で、あなたのそばに居る!!」
穂乃果「大丈夫、あなたならやれるよ、あなたはあなたの物語を、叶えられる!」
穂乃果「――ファイトだよ!!」
海未「ふふ、やっと頷いてくれましたね……」
ことり「だいじょーぶ、次来た時はことりがあまーいお菓子を作ってあげる」
花陽「おにぎりだよ!」
凛「ラーメン!」
真姫「食べることしか頭にないの?」
にこ「にこのサインを贈呈するわ!」
真姫「一番いらないし……」
絵里「次あなたが来る時までに、私達も少しは成長していないとね?」
希「そうやねえ。その代わり、あなたも次に来た時は……今よりもっと大きくなって、成長した姿を見せてね」
希「それが、ウチらにとっての幸せだから」
絵里「あなたの物語を……聞かせに来てね」
希「あなたの運勢はもちろん大吉! なんたって、ウチらがついてるんやもん! ね!」
穂乃果「うん……!」
穂乃果「はぁ……」
穂乃果「――一年て、とっても早いね。あっという間だね。なんか、昨日のことみたい……あはは、言い過ぎかな? え、あなたもそう感じてた?」
穂乃果「そっか、それなら……一生懸命走らないと置いていかれちゃうよ。時間は待ってくれないから。でも自分のペースを守ることも大切。ちゃんと休憩もしなくちゃ、だめだからね?」
穂乃果「ふふ……あー、あなたに会えて私達は、幸せだよ」
穂乃果「私達と一緒に生きてくれた、時間を過ごしてくれた、夢を、追いかけてくれた」
穂乃果「そんな誰よりも、大切なあなた……」
穂乃果「私達はいつでもここにいて、あなたを待ってる。あなたの居場所はいつまでも、ここにある。だから、だからね」
穂乃果「絶対絶対っ!!」
穂乃果「――また、会おうね!!」
またいつか
見てくれてありがとう。
絵とか書けないから、でも何か共有、したかった。
またいつか。
あれから一年か…こうやって月日は流れていくんだなぁ
ありがとう…
俺も頑張って生きるよ…
お疲れさま
胸に刺さるものがあった
でも伝えたいことが伝わってくるようなすごく心に刺さるお話でした
乙
朝から泣かせないでくれ
ありがとう。
それしか言う言葉が見つからない…
死にたくなる
まじで心にくるやつ
乙乙
次また会うのは来年の今かな?
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