ことりぷらす

千歌「わぁ… よーちゃん元気だねー」

曜「うんっ！ 曜ちゃんはね！ 果南ちゃんちに行くときの、このお船が大好きなの！」

千歌「そうなんだ！ 千歌も、果南ちゃんに会えるから、お船、好きー」

曜「千歌ちゃんも！？ やった！ よーそろー！」

千歌「あははは ねぇ曜ちゃん、そのよーそろー…？ってなぁに？」

曜「えっとね、曜ちゃんもあんまり知らないんだけどね いくぞー！とか、すすめー！みたいな感じ、かな？」

千歌「へー… それは、やっぱり船長さんが言うの？」

曜「船長さんも言うけどね… なんと！ 海賊さんも言うんだよ！」

千歌「海賊…！ かっこいい！ 千歌も、千歌もやりたい！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

曜「うんっ！ じゃあ、せーので言おうよ！」

千歌「わかった！ 果南ちゃんの家に向かってー…」

曜「せーのっ！」

ようちか「よーそろー！」

ようちか「…あははは！」ｷｬｯｷｬｯ

千歌「あ、曜ちゃん 遅かったね、どうしたの？」

曜「ごめんごめん、ちょっとね… 今日はどこに――」ﾌﾜｯ

千歌（！ 曜ちゃんの、匂い…///）ｽﾝｽﾝ

千歌「…じゃない」ﾎﾞｿｯ

曜「そういえば駅前に新しく…？ へ、千歌ちゃん？」

千歌「…曜ちゃん」ﾑｷﾞｭ

曜「は、はいっ なんでありましょう！」

千歌「水泳部終わったらすぐ来てって言ったのに… 誰かと会ったりした？」

曜「んー…？ いや、まっすぐ家に帰ってすぐ来たんだけど… あぁ、そうそう、バスの中でAqoursのファンの子に捕まっちゃってさ」

千歌「へぇ…」

曜「いやー、私たちも有名になったね～」ﾆｼｼ

千歌「…そうだね」

千歌（むぅ… 多分その子は、曜ちゃんのファン、なんだろうけど…）

千歌「だめ」ｷﾞｭｳｳ

曜「！？ な、何が… あと千歌ちゃん、くっつき過ぎるのはさすがに恥ずかしいというか…///」ﾃﾚﾃﾚ

千歌（曜ちゃんの一番のファンは私 曜ちゃんについてていいのは、私の匂いだけなんだから…！///）ｽﾘｽﾘ

千歌「曜ちゃん！ 今日はこの距離感でいってみよー！」ｸﾞｲｯ

曜「うぇえ！？/// 千歌ちゃん、ちょっとまって…！」

<ﾜｰｲ

千歌「みかん…！」ﾒﾗｧ

保育士「はいはいみんな静かにー？ 先生とじゃんけんして、最後まで勝った人にあげちゃいまーす 行くよー…」

『さいしょはぐー！ じゃんけんぽいっ！』

<ﾜｰﾜｰ

千歌「ふふん…！ みかんは千歌が食べる…！」ﾄﾞﾔｧ

保育士「おーみんな強い… それじゃもう一回ねー」

『さいしょはぐー！…』

―――
――
―

千歌「みっかん♪ みっかん♪」ﾑｷﾑｷ

保育士（ふふ、誰よりも欲しがってた子に食べられるならみかんも本望ね…なんて）ｽﾀｽﾀ

千歌「あー… ん？」ﾁﾗ

曜「うっ…ぐすっ…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

千歌「？ ねぇ、どうしたの？」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ

曜「あっ… あのね、曜ちゃんのみかんだけ、なかったの…」ｸﾞｽｸﾞｽ

千歌「え～！ ひどいっ！」

曜「曜ちゃん、先生に言おうとしたけど、うぅ…もうじゃんけん大会が、ひっく、始まってて…」

曜「…え？ みかん？」

千歌「えへへ、あなたのみかん、千歌が取り返してきたよ！ だから、はいっ！」ﾆｺﾆｺ

曜「わ… でも、いいの？」

千歌「ほんとは千歌も食べたいけど、みかん好きだし… でもあなたもみかん大好きなんでしょ？」

曜「うん… えっと、じゃあ、ありがとう… ええと」

千歌「…？ あ！ 千歌は、高海千歌、っていうの！ あなたは？」

曜「よ、曜ちゃんは、渡辺曜っていいます あの、千歌ちゃん、ありがとう！」

千歌「どういたしまして！ 曜ちゃん！」

曜「うん！ あ、そうだ このみかんを…えいっ」

千歌「おー 曜ちゃん、一口で半分も食べちゃうの？」

曜「ちがうよ！ これ、千歌ちゃんと半分こ！」

千歌「え、でも…」

曜「千歌ちゃんとの仲良し記念！ だからはいっ！」ｽﾞｲｯ

千歌「曜ちゃん…！ うん、ありがとう！ あのね、これからもよろしくね！」

曜「えへへ、よーそろー！」

曜「～！/// もうっ！ 恥ずかしいってば！///」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

千歌「だめ、ばたばたしないで！ なんの匂いかな、これ…」

曜「私なんて…プールの塩素の匂いしかしない…だからはやく離れて…！///」ｸﾞｸﾞｸﾞ

千歌「そんなことない！ うまく言えないけどちゃんといい匂いするもん！」ｸﾞﾘｸﾞﾘ

曜「千歌ちゃんっ！///」

千歌「はぁぁ…癒される…///」ｸﾝｸﾝ

曜「はぁ… 千歌ちゃんがこんなに匂いフェチだとは知らなかったなぁ…///」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

千歌「ん、それ違うよ？」

曜「へ？」

千歌「結構勘違いしてる人多いんだけどね、なんとかフェチっていうのは なんとか、の部分がとにかく好きって意味なんだよ」

曜「…？ 一緒じゃない？ 現に千歌ちゃんは私の…に、においを…///」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

千歌「だからね 例えば私が本当に匂いフェチだったとして、好きな匂いがよーちゃんの匂いだとするでしょ？」

曜「いや、例えっていうかそれ本当のことじゃ…」

曜「…？ んん？」

千歌「でもね、私はそうじゃない 曜ちゃんが好きだからよーちゃんの匂いも好きなの」

千歌「もし仮に曜ちゃん以外の人からよーちゃんの匂いがしても、匂いフェチの私とは違って、私は別にその人を好きにはならない」

千歌「簡単にまとめるとこう！」

匂いフェ千歌
特定の匂いが好き→その匂いがする曜ちゃんが好き

普通千歌
曜ちゃんが好き→曜ちゃんの匂いも好き

曜「へー… まだよくわかんないけど、勉強にはなったよ」

千歌「ふふん というわけで私がよーちゃんの匂いを嗅ぐのは、なんらおかしいことではないのです」

千歌「というわけで――「じゃあ」

曜「私が千歌ちゃんの匂いを嗅いでも、全然おかしくないよね？」ｷﾞｭｯ

千歌「へ」

曜「えへへ、私だって千歌ちゃんが好きだから千歌ちゃんの匂いも好きー」ｸﾝｸﾝ

千歌「わあああ！？/// 曜ちゃん、やめてやめてよー！///」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

曜「やめない！ はぁ、千歌ちゃんいい匂い…///」ｳｯﾄﾘ

千歌「ああああ！？/// はーなーしーてー！///」