海未「ある日、晩御飯にゴーヤチャンプルーが出てきたんです」
海未「幼い私にはあまりに苦いものでした、食べられなかったんです…」
海未「あ、今では好きですよ? ゴーヤ。意外と味に深みが…」
海未「いえ…さておき、ゴーヤを食べられなかった私を、お母様は叱りました」
海未「なんでも食べないと賢くなれない…なんでも食べないと大きくなれない…」
海未「ん、凛? どうしましたか? …なんでもないならいいです」
海未「今のご時世なら虐待だと言われるでしょうが、当時気に入っていたぬいぐるみを押しつけられたのは母なりの愛情だったと思っています」
海未「暗い物置きの中で、さんざ泣きました」
海未「しばらくして…隙間から月明かりも手伝って、ようやっと目が慣れました」
海未「そしたら物陰にいたんです……(・8・)が」
海未「(・8・)と目が合って、私は固まりました」
海未「怖い、とかそういうのではなかったです。野良猫と見合った時の緊張感のようなものでしたね」
海未「そしたら(・8・)が、トコトコッ、とこちらに向かってきました」
海未「ある程度近くに来て、いきなり顔にぶわっ! …と、とびかかってきて……」
海未「……それからの記憶はありません」
海未「朝になって、私はレズになったんだと気付きました」
海未「これが、私がレズになった経緯です…」
海未「では、ろうそく、消しますね……フッ」
ろうそく(…ボゥ――)
にこ「当時からアイドルオタ…、っアイドル趣味があってね」
にこ「子供から見てもアイドルは輝いてて、こんな世界でにこも輝きたい、笑顔を届けたいって夢見てたわ」
にこ「アイドル番組を録画したビデオテープを再生してたの」
にこ「振付けをマネして踊ってみたり…今はあんまりやらないけどね」
にこ「なによ花陽…。は? 今も変わらない…ってどういう意味よ」
にこ「まあいいわ」
にこ「ビデオを何回も巻き戻しては見て、巻き戻しては見て、振付けを覚えようとしてた」
うまい
こういうの言えるようになりたい
にこ「あっという間に砂嵐だけになっちゃったの」
にこ「テレビが壊れちゃったと思って、マ…お母さんを呼びに行こうとしたわ」
にこ「でもなぜかにこは画面から目が離せなかった…」
にこ「十数秒かそこら、画面に釘付けになって…」
にこ「いきなり画面に映ったのよ…(・8・)が」
にこ「(・8・)としばらく見つめ合って…ごめん、わかんないわ」
にこ「覚えてないのよね、そこからどうなったのか」
にこ「目が覚めたらレズになってた。これが私がレズになった経緯よ」
にこ「…あぁ、ろうそくね……フッ」
ろうそく(…ボゥ――)
凛「学校の帰りに石けりして歩いてたの」
凛「みんなもやらなかったかにゃ?」
凛「それで、学校から家まで石を蹴れたらノンケ確定ってルール作ったんだ」
凛「歩道から出ないように慎重に蹴っていって」
凛「海を越え、山を越え、谷を越え、川を越え、幾多の苦難を…」
凛「アイタっ! んもー真姫ちゃんなにするのさー」
凛「…ん、それでね、公園の前を通ったの」
凛「そしたら、木の上に何かがいるのが見えて…」
凛「猫かな? と思ったら…(・8・)だったにゃ…」
凛「凛、びっくりして、つい蹴ってた石を(・8・)に向かって投げちゃったにゃ…」
凛「当たったと思ったら、急に怖くなって…」
凛「心配になって、もう一度木の上を見てみたら…」
凛「(・8・)はまだ木の上から凛のほうをじーっと見てたにゃ…」
凛「で、(・8・)は器用に木を滑り降りてきて、凛の目の前まで来たにゃ」
凛「…そこからの記憶はないにゃ。凛はそれ以来レズになっちゃった」
凛「……フッ」
ろうそく(…ボゥ――)
絵里「あれは…そう、小学校1年の時だったわ」
絵里「幼稚園の間はロシアで過ごしてて、小学校は日本なの」
絵里「幸い、コトバで悩むことはなかったわ」
絵里「ただ…こういう容姿でしょ? ぶっちゃけ男子にからかわれたわ」
絵里「でもね、女の子たちは割と優しくしてくれて、それなりに仲の良い子もいて」
絵里「夏に何人かで川に遊びに行くことになったの」
絵里「楽しかったなぁ…バーベキューとかもしたし、水鉄砲で遊んだりもしたし…」
絵里「え? もう…希ったら、この間も焼肉行ったところでしょ…」ハァ
絵里「私はなんとなく川の中をばしゃばしゃ歩いてたの」
絵里「魚とかいないかなーって思ってね」
絵里「そしたら、水の中にいたのよ…(・8・)が」
絵里「どうしよう、って思ったわ。水の中なら(・8・)のほうが有利だって、なんとなくわかったから」
絵里「でも同時に好奇心みたいなのもわいてきて、捕まえてみんなに見せてあげようって…考えちゃったの。バカね…」
絵里「結果的にその判断は間違ってた。(・8・)に近付いて行ったら、(・8・)が急に水をこっちに吹いてきて、その水を浴びた私は…」
絵里「もうわかるわよね、レズになってた」
絵里「そのあと一緒に来てた女の子たちを茂みで襲ったわ」
絵里「じゃあ、ろうそく消すわね……フッ」
ろうそく(…ボッ――)
花陽「あれは…小学1年の時だったかな…」
花陽「いつものように、おやつのごはんを食べてたの」
花陽「うぇっ?! い、今は食べてないよ海未ちゃん!」
花陽「その時に、凛ちゃんから遊ぼうって電話がかかってきて…」
花陽「遊ぶ約束をして、電話をきって、ごはんのところに戻ったんです」
花陽「そしたら…」
花陽「いたんです…(・8・)が」
花陽「びっくりして見てたら、(・8・)がこっちに気付いて…」
花陽「じーっと見つめてきたの」
花陽「それで、こっちにとんできたと思ったら、私、気を失っちゃったみたいで…」
花陽「目が覚めたら、お茶碗からごはんがなくなってて…」
花陽「その代わりっていうのかな? 見たこともないきれいなお皿に、シンプルな塩むすびがあったんです」
花陽「私はその塩むすびを迷いもなく食べちゃって…レズになっちゃいました」
花陽「……フーッ」
ろうそく(…ボゥ――)
希「いつやったかな、多分小学校1年生の時の話」
希「ウチ、あんまり友達作るのが上手じゃなくって、教室で本読んでたん」
希「今はにこっちで遊べるから楽しいけどね…ふふっ、照れんでもええやん…///」
希「それは置いとくとして…」
希「本を読んでたら、急にページがめくれんくなったんよ。石みたいに固くなって」
希「で、おかしいなぁ~おかしいなぁ~と思って、本をひっくり返してみたり、本の端っこ爪でカリカリやってみたりしてんけどダメで…」
希「ため息をついたその時…」
希「そりゃもうびっくりしたよ」
希「しばらく文字がページ中を動き回っててんけど、じわじわと形になっていって…」
希「文字の集合は(・8・)になった…」
希「ウチ、さらにびっくりして、けど本を投げ捨てて変な子に思われたくもなかったから完全に固まってしもた」
希「(・8・)と見つめ合ってどれくらい経ってたかな…」
希「まぁそこそこの時間が経って、(・8・)が元に戻り始めた」
希「…夢でも見てたんかな、って思って、その本を最後まで読んだんだけど…」
希「読み終わった時には…ウチはレズになってたん」
希「これでウチの話はおしまい……ふー」
ろうそく(…ボゥ――)
真姫「私が小学校1年生の頃だったわ」
真姫「パパの研究室にこっそり忍び込んで、遊んでたのよ」
真姫「天才真姫ちゃんは研究室に置いてあった薬品とかを混ぜて新たな発見をしようとした」
真姫「なによその目…少なくともエリーよりはかしこいわよ」カミノケクルクル
真姫「それで、なんの偶然だったのか、ある薬品を混ぜた時…」
真姫「シャーレの中でとんでもないことが起きた」
真姫「(・8・)よ」
真姫「焦っちゃったわ。シャーレからあふれ出しちゃって」
真姫「…と思ったらぱっと増殖が止まったの」
真姫「シャーレから盛り上がった(・8・)は、完全にひとつにまとまってたわ」
真姫「じーっとこっちを見て、私は何か別の薬品を足して消してやろうって考えた」
真姫「けど遅かった。…(・8・)はシャーレからとびだして、私の目の前まで近づいてきた」
真姫「謎の薬品を吹きかけてきて、私はレズになった」
真姫「その後、(・8・)はシュワシュワッて消えてったわ…」
真姫「……フッ」
ろうそく(…ボゥ――)
穂乃果「穂乃果ノンケだからわかんないや。ね、ことりちゃん?」
(・8・)…
穂乃果「…ことりちゃん?」
(・8・)…
絵里「穂乃果ふせて!」
穂乃果「えっ?」
(^8^)
リ(・8・)「…え」
リ(;8;)「な、なにこれ!」
絵里「ちょっとことり、これは一体…」
(・8・)…
(T8T)
真姫「わっ、ちょっと、泣かなくてもいいじゃない!」
ろうそく(…ボッ――)マックラ
穂乃果「あ…戻った…」
花陽「わ、暗いよぉ」
にこ「ちょっ誰よ今胸さわったの!」
凛「にこちゃんさわる胸ないにゃー」
希「(うはぁ…やっぱ丁度いい弾力やなぁ…えっろ…)」
(・8・)…
(^8^)
おわり
とずまりしとこ
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