ことりぷらす

英玲奈「かわいい黒猫だな。ほれ、こっちに来い」ﾌﾘﾌﾘ

猫「・・・」ｼﾞｰｯ

英玲奈「警戒心むき出しじゃないか。私はそんなに怖くないぞ」

猫「・・・」

英玲奈「腹が減っているのか・・・？」

猫「ﾆｬｧ」ｸﾞｯﾀﾘ

英玲奈「なるほどな、そこから一歩も動けないぐらい空腹なんだな」

猫「・・・」ｷﾗｷﾗ

英玲奈「お、酢コンブがあった。食うか？」ｽｯ

猫「ﾆｬｧ」ﾌﾟｲ

英玲奈「好き嫌いはよくないぞ。しかたない、少し待ってろ」ﾀﾞｯ

猫「・・・」

コンビニ店員「ありゃしたー」

英玲奈「うむ」

英玲奈「・・・」ﾀｯﾀｯﾀｯ

猫「ﾆｬ」

英玲奈「・・・ちゃんと待っててくれたな」

英玲奈「そんなお前にはご褒美をやるぞ」ｶｼｭｯ

猫「・・・！」

猫「ﾆｬｧ」ﾑｼｬﾑｼｬ

英玲奈「さすが国内シェアナンバーワンだな。ほんとかは知らんが・・・」

猫「ﾆｬｰﾝ」ﾄﾃﾄﾃ

英玲奈「お、歩けるようになったんだな」

英玲奈「おっと、靴は舐めないほうがいい。汚いぞ」ﾋｮｲ

猫「・・・」ﾌﾞｽｰｯ

英玲奈「拗ねてもダメだ」

猫「ﾆｬ」

英玲奈「どうしたもんか、ここで見捨てるのも後味が悪いな」

猫「・・・」

英玲奈「こうしてやる」ﾜｼｬﾜｼｬ

猫「ﾆｬ～」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

英玲奈「どうだ、まいったか」

猫「ﾆｬｱ」

英玲奈「ははは。物足りないか」

英玲奈「あんじゅ。どうした、こんなところで」

猫「・・・」

あんじゅ「それはこっちのセリフよ、その猫どうしたの？」

英玲奈「捨て猫か野良猫か知らんが、腹が減ってたようなんでな」

あんじゅ「ふーん・・・ほれ、お姉ちゃんですよ～」ﾇｯ

猫「ｼｬｧ！」ｷﾞﾛｯ

英玲奈「いきなり頭の上から撫でようとするな。怖がるだろ」

猫「・・・」

英玲奈「こうやるのだ」ｽｯ

猫「ﾆｬｰﾝ」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

英玲奈「な？」

猫「ｼｬｱ！」

あんじゅ「・・・」

英玲奈「たまにいるな、なぜか動物に好かれない人」

猫「ﾆｬ」

あんじゅ「ウチで飼ってるワンちゃんにも懐かれないのよね」

英玲奈「素質あり、だな」

あんじゅ「ウチも、犬がいるから猫はちょっと・・・」

英玲奈「そうなんだ。私もそれで悩んでいた」

英玲奈「このまま別れるのもかわいそうだしなぁ・・・」

猫「・・・」

猫「ﾆｬｰ･･･」

ツバサ「よう、お二人さん！　なにやってるの～？」

英玲奈「ツバサじゃないか」

あんじゅ「英玲奈が猫に懐かれちゃって」

猫「・・・」

猫「ﾆｬﾝ」

あんじゅ「悔しいったら悔しいわ」

英玲奈「あんじゅよ、猫になった気持ちで接するのだ」

英玲奈「・・・あんじゅはメスライオンみたいなもんか」

あんじゅ「失礼ね、誰が肉食ビッチよ」

英玲奈「――ということだ」

ツバサ「なるほど、理解したわ」

あんじゅ「ねえ、ツバサの家で引きとったりとかできないの？」

ツバサ「うーん・・・ママが動物苦手なのよね・・・」

猫「ﾆｬ～」

猫「ﾆｬ♪」

英玲奈「ここまでいくと才能だな」

あんじゅ「猫並みの知能しかないのよ、きっと」

ツバサ「どーゆーことだー！」ﾜｼｬﾜｼｬ

あんじゅ「ん゛っ、やめなさい///」

ツバサ「私ぐらいのプロになるとだな」ﾋｮｲ

ツバサ「頭にのせてもこの安定感！」

猫「ﾆｬｰ」ｸﾞﾃﾞｰﾝ

あんじゅ「あらかわいい」

英玲奈「すまん、本題に戻る。まだ出てない案でいうと保健所しかないぞ」

ツバサ「それはダメ、かわいそう！」

英玲奈「だな。しかし、いい方法が見当たらない事には・・・」

あんじゅ「完全にフルハウスね」

ツバサ「そうだ、親になってくれそうな人を探そう」

あんじゅ「いい案だと思うけど、簡単に言うわね」

英玲奈「物は試しだ。早速ツバサのTwitterアカウントで呟いてみるんだ」

ツバサ「ほい来た！」ﾋﾟｯ

綺羅ツバサ＠A-RISE『あ、いい事思いついた！　誰か引き取ってくれないかな！？』

綺羅ツバサ＠A-RISE『こんな感じの、かわいらしい黒猫だよ！』

ツバサ「写真を張って、おしまい・・・と」

猫「ﾆｬﾝ」

ﾋﾟｺﾝ

ツバサ「来た！」

キモ男『猫よりツバサちゃんを飼いたいな』

ツバサ「・・・」

英玲奈「うわ」

あんじゅ「キツい・・・」

ブサ男『そんな優しいツバサっちが好き』

バンプオブチンキ『Holy Knightくんかな？』

猫ぴろし『にゃー！』

ツバサ「どいつもこいつも・・・」

英玲奈「ひどいな」

あんじゅ「世知辛い世の中ね」

飼い主『あの、もしかしたら私の飼ってた猫かもしれないです』

英玲奈「は？」

ツバサ「は？」

あんじゅ「は？」

飼い主『申し訳ないですが、今から行きます』

ツバサ「・・・」

飼い主『すいません、すぐ行きます！』

英玲奈「飼い主が登場と来たか」

あんじゅ「毛並みがいいから、まさかとは思ってたけどねぇ」

ツバサ「猫・・・」ﾁﾗｯ

猫「ﾆｬ・・・」

飼い主「猫ちゃん、ごめんね猫ちゃん」ｷﾞｭｯ

猫「ﾆｬﾝ」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

ツバサ「飼い主さん、この猫ちゃんは逃げちゃったんですか？」

飼い主「ええ、ついうっかり窓を開けてしまって・・・」

あんじゅ「ふーん・・・気を付けるのよ？」

飼い主「はい・・・このたびは、なんとお礼すればいいか・・・」

英玲奈「お礼だなんて、そんな大それたことはいい」

ツバサ「もしかしたら、そのまま飢え死にしたり、車に轢かれたりだってあるんだから」

飼い主「はい、すいません」

英玲奈「わざとじゃないんだから、そんなに言わなくてもいいだろ」

飼い主「いえ、当然の事なので・・・」

ツバサ「そうだよ。じゃあ、私たちはこれで！」

飼い主「どうも、ありがとうございました」ﾍﾟｺﾘ

あんじゅ「じゃ～ね～」

猫「ﾆｬ･･･」

猫「ﾆｬｰﾝ」

ツバサ「・・・さようなら」

あんじゅ「次合ったら少しは懐くのよ？」

英玲奈「・・・」

英玲奈「すまん、もう会えないんだ。元気でな」ﾜｼｬ

猫「ﾆｬｱﾝ」

飼い主「失礼します」

ツバサ「・・・」

あんじゅ「・・・」

英玲奈「・・・」

あんじゅ「言わないの。飼い主さんのところが一番よ」

英玲奈「・・・ね、ねこー！　ねこー！」

ツバサ「英玲奈が叫んでる！？」

あんじゅ「気持ちはとてもわかるわ」

英玲奈「うう、ねこ・・・」

英玲奈「・・・すまんな」

あんじゅ「好きなだけ話しなさいって」

英玲奈「そうだな。気が済むまで話す」

ツバサ「よし、帰ろっか！」

英玲奈「うむ」

あんじゅ「ほーい」

おわり