海未「はぁ……じゃあ私も――あれ、誰のカバンですかね。まだいるんでしょうか?」
海未「これは……ことりのカバンですか……?」
海未「あ、ことりのカバンといえば……」
(ことり「ナンデモナイノヨ、ナンデモ」)
海未「……あの時はああ言ってましたけど、そう言われてしまうと気になってしまうのが人の性というものです」
海未「……他に誰もいませんし、ちょっとぐらい見たっていいですよね?」
ジジーッ
海未「……パッと見たところ普通ですね……やっぱり何でもないのでしょうか」
海未「いえ……きっと何か隠されているはずです! まだ帰ってきてないですし、もうちょっと中身を……」
海未「むむ! これは……ペットボトルですか……ちょっと残ってます……」
海未「…………って、何を考えているのですか私は!」
海未「そんなものよりもっと何か……あ! これは……カメラ、ですか? なんでカメラ」
海未「何か写真を撮っていたんでしょうか……まぁ、これもそこまでではないですね」
海未「やっぱり何もないのでは――ん……? こ、これは……写真ですか?」
海未「写っているのは……ことり、ですよね、これ……?」
海未「な、なぜメイド服なのでしょうか……新しい衣装ですかね……?」
海未「それはともかくとしてかわいい……! メイド服がまた似合いますね、ことりは……」
海未「…………誰もいませんよね」
海未「…………」ブチュー
海未「――はぁ……何だかとてもいけないことをしてしまった気分です」
海未「しかし何なのでしょうこれ……次回はこの衣装で――」
ことり「はぁ~、やっと終わったよ~……って、海未ちゃん? 部室来てたの――え」
海未「……あ」ササッ
海未「い、いえ何も……何も見てないです、私は」
ことり「でもそれことりのカバン……開いてるよね? 海未ちゃんが開けたの?」
海未「……」
ことり「ねぇ、海未ちゃん?」
海未「…………」
ことり「う……う……」
海未「……う?」
ことり「海未ちゃんのバカーッ!」
海未「!?」
ことり「なんで人のカバンを勝手に開けちゃうの! いくら海未ちゃんだからってやっていいことと悪いことがあるよ?」
海未「はわわ……も、申し訳ありませんことり、つい出来心で……」
ことり「もうっ! ことり怒ったからねっ! もう海未ちゃんと口聞かないからねっ! サラバッ!」
海未「え、ちょ……ことり……!」
海未「まずいです……ことりを怒らせてしまいました。あの写真を見られたのがよほどまずかったのでしょうか……」
海未「……思わずポケットに隠してしまいましたが、どうしましょう……」
ことり「……見られた、見られた、見られた……! カバンを開けたってことは、きっとこのカメラも見たんだよね……」
ことり「まずいよ……ことりの『海未ちゃん隠し撮りコレクション』がバレちゃったよ……どうしよう……」
海未「あの~ことり? 昨日はすいませ――」
ことり「ふんっ」
海未「あぅ……」
海未「こ、ことりっ! 昨日は本当に――」
ことり「ふーんだ」
海未「あぁ……」
海未「こと――」
ことり ダッシュ
海未「……」
海未「――というわけで全然口をきいてもらえません……」
穂乃果「本当に? 2人が喧嘩なんて初めてじゃない?」
海未「ええ、そうかもしれません……いったいどうすれば……」
穂乃果「うーん、素直に謝るしか……」
海未「謝ろうにも逃げられてしまいます……」
穂乃果「うーん……どうしようか……」
海未「ええ、すいませんがお願いします……」
穂乃果「ちなみに何でことりちゃん、怒ったの?」
海未「えと、それは……」
かくかくしかじか
穂乃果「えぇ……さすがの穂乃果も擁護できないよ……友達とはいえカバンを勝手に探ったうえ、写真を盗んでそれにキ、キs――」
海未「そこまで言わなくていいです!」
穂乃果「ことりちゃ~ん、ちょっと話があるんだけど、今いいかな?」
ことり「穂乃果ちゃん……? いいよ、何のお話?」
穂乃果「うん、海未ちゃんのことなんだけど……」
ことり「…………」
穂乃果「あ……やっぱり海未ちゃんのこと、怒ってる?」
ことり「ううん、そうじゃなくて……ことりも、どうすればいいのか分からなくて……」
穂乃果「ことりちゃんも海未ちゃんと仲直りしたいんだね! じゃあ話が早い――」
ことり「ことり秘蔵の海未ちゃん隠し撮りがバレてもう海未ちゃんに合わせる顔がないよ! どうしよう穂乃果ちゃん!」
穂乃果「え……?」
ありやね
ことり「うん、実は……」
かくかくしかじか
穂乃果「へー、そうだったんだ……じゃあ海未ちゃんに謝った方がいいんじゃない?」
ことり「やっぱりそうだよね……海未ちゃんにいけないことしたよね」
ことり「このままはことりも嫌だし……ちゃんと謝ってくる! ありがとう、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「うん、がんばってねー……」
穂乃果「……はぁ。よく分かんないけど疲れたよ……」
海未「ことりに謝ると言ってもことりにまず会わなくては……いったいことりはどこに……」
ことり「海未ちゃん!」
海未「はいっ! ってことりですか!?」
ことり「う、海未ちゃんっ! ことり、海未ちゃんに謝らなくちゃいけないことが……」
海未「そんなっ……私こそことりに謝らなくてはいけないことが……」
ことり「あの、その……」
海未「ええと、その……」
ことり「勝手に海未ちゃんのことカメラで撮ってて」
海未「ことりの写真を勝手に見てしまって」
ことり・海未「ごめんなさい!」
ことり・海未「……え?」
海未「ことりこそ……”撮ってた”とはつまり……?」
ことり「…………」
海未「…………ことりから、どうぞ」
ことり「うん……じゃあことりから……」
ことり「実はことり、海未ちゃんのことをカメラで隠し撮りして、1人で楽しんでました。本当にごめんなさい……」
海未「そ、そうだったのですか……(カメラってあの時のカメラですか! まさかそんなものが撮られていたとは……!)」
ことり「あのっ! も、もちろん流出とかはないからね! ことり1人だけでにやにやして見てただけだからね!」
海未「なんでにやにやするんですか!」
ことり「だ、だって……(海未ちゃんがかわいいから……)」
ことり「そ、それよりも今度は海未ちゃんの番、写真ってどういうこと?」
海未「それは……これのことです」
ことり「あっ! こ、これってことりの……」
海未「カバンでこれを見つけてつい自分の手元に……本当にすいません。あとカバンを勝手に開けたのもすいませんでした……」
海未「前にカバンの中身をごまかしてることりを思い出して、つい中身を探ってみたくなったのです……」
ことり「そ、そうだったんだ……」
ことり「あ、実はそのことなんだけど……かくかくしかじか」
海未「そうだったのですか……知らなかったです」
ことり「うん……まだみんなには内緒だよ? 海未ちゃんとことり、2人だけの秘密ね?」
海未「は、はい……」
海未「……ところで、お互いにいろいろと勘違いしていたようですね。私はてっきり、この写真がまずかったのかと……」
ことり「その写真も見られたらまずかったけど、ことりとしてはこっちのカメラの方が問題だったから……これを見られたのかと思ったら、もう海未ちゃんに合わせる顔がなくて……」
海未「はぁ……まぁ正直謝ってくれたのでよしとしましょう。今後はもうしないでくださいね?」
ことり「えっ……あ、うん、海未ちゃんがそう言うなら……」
海未(続けるつもりだったんですか……)
ことり「……ところで海未ちゃん、この写真、なんか汚れてない? この……顔が写ってる部分……」
海未「あ、そ、それは……別に……」
ことり「……? 海未ちゃん、なにかしたの? 正直に言ってほしいなぁ……?」
海未「へぁ……あの、その……キ、キスを、少々……」
ことり「ふぅん、キス……え、キス!?」
海未「そ、その……ことりがかわいかったものですから、つい……って、何を言っているのでしょう私は……」カーッ
ことり「か、かわいい、ことりが……?」
海未「は、はい……」
ことり「…………」
ことり「……」チュ
海未「ええっ!? こ、ことり、何をしているのですか! 自分の写真にキス……?」
ことり「えと……こうすれば海未ちゃんと間接キスになるかな、って……」
海未「…………」
海未「ことり、ここに本物がいるのですが……”直接”ではダメですか?」
ことり「え……”直接”って、その……」
海未「あっ、いやその……目の前に私がいるのに、ちょっと悔しかったので……」
ことり「じゃあ、いいよ……んっ!」グイッ
海未「え……あの、ことり……」
ことり「ほら早く……んっ!」
海未「えと、えと……」
ことり「んー……」
海未「……や、やっぱり無理です! 恥ずかしすぎます!」
ことり「ええっ!? 海未ちゃんから振っておいてそれ?!」
海未「す、すいません! 私にはまだ心の準備が……」
ことり「う……う……」
海未「……う?」
ことり「海未ちゃんのヘタレ~っ!」
海未「こ、ことり!?」
ことり「海未ちゃんのヘタレ! いくじなし! もう海未ちゃんのことなんて知らない!」サラバッ
海未「あっ、こ、ことり~!」
海未「――というわけで、ことりがまた口を聞いてくれなくなりました……」
穂乃果「もう勝手にしてー!」
おしまい
ドタバタしてるの可愛かった
もっと頑張れ
ことうみ厨きっしよ氏ね
心がちゅんちゅんした
ここの※欄穂乃果厨異常に多いよな。 いかにもな穂乃果スレ載せまくってりゃ当然か。