穂乃果「ジョジョ?スタンド?」
花陽「すごい……! A-RISEさんが司会を務める番組に出してもらえるだけでも幸せなのに……」
絵里「まさか今試験中のVRでスタンドが操れるなんてね」
穂乃果「あれ?」
にこ「A-RISEと一緒の番組……ジョジョのスタンド……♪」
凛「凛は近距離パワー型のスタンドが使いたいにゃ~♪」
希「これは楽しみやね。ウチはタロットが由来のスタンドが使いたいかな」
穂乃果「ジョジョの事知らないのって、穂乃果だけ?」
ことり「海未ちゃんがジョジョ好きって知ったのはついこの前のことなの」
ことり「まさかこんなに近くにジョジョが好きな人がいたなんて驚いちゃって……穂乃果ちゃんにも教えてあげなくちゃって盛り上がったばかりなんだ♪」
凛「凛はかよちんにつられて、昔から読んでたんだよ」
真姫「なによ、私の事は仲間外れ? 私だって好きだったのに……」
花陽「ご、ごめんね。仲間外れとかじゃなくて、真姫ちゃんこういう漫画には興味ないかなって……」
にこ「ジョジョはアイドルの嗜みにこ♪」
絵里「私は最近亜里沙に勧められたのよ」
希「ウチは話題になったものは何でも目を通すようにしてるんよ」
穂乃果「うーん、穂乃果だけ知らないなんて……なんだか悔しいなぁ」
穂乃果「特殊能力?」
絵里「ええ、特殊な素養が持つ人が扱える超能力。一人につき一種類だけ特別な能力が使えるの」
花陽「たとえば炎を操ったり、電気と同化したり……他にも心を読んだり、鏡の中に入ったりする能力もあるんだよ」
穂乃果「へえ~」
ツバサ「まぁとにかく不思議な力が使えるゲームでμ’sの皆が遊んでもらうという企画だから、肩の力を抜いて楽しんできて」
穂乃果「えーと、それでVRゲームって?」
にこ「あんた何も知らないのね……」
穂乃果「えへへ……」
ことり「えっと、ゲームの世界にそのまま飛び込めちゃうって感じかな?」
ツバサ「一から説明すると長くなるし、その認識で問題ないわ。最も今回扱うVRはゲームだけではなく様々な分野で扱われているけどね」
英玲奈「たとえばアイドルならばライブ映像を撮影する際に豪華なステージや派手な演出も比較的安価で用意できる、といった使い方も考えられているんだ」
英玲奈「まぁ様々な理由から賛否はあるが……それでも予算の限られるスクールアイドルからすれば、魅力的な技術だろう」
絵里「私達も今後データ収集に協力する代わりに、一部のPVで使わせてもらうことになってるのよ」
穂乃果「ふむふむ」
穂乃果「これは?」
ツバサ「このディスクがスタンドよ。ディスク一枚につき、一体のスタンドが入っているわ」
絵里「ホワイトスネイクの能力を模してあるのね」
海未「どのディスクがどのスタンドなのかはわからないのですか?」
英玲奈「ああ、そうじゃないと、時間操作のスタンドばかり選ばれてしまうだろう?」
花陽「確かに……」
真姫「ちょっと待って。それじゃあチープトリックやハイウェイトゥヘルを引く可能性もあるって事?」
花陽「あ、本当だ。戦えない能力のスタンドもあるよね……」
あんじゅ「安心して。そんなときのために、一人一回だけスタンドの交換ができるようになっているから」
あんじゅ「ゲーム内の特定の場所にディスクの交換所があるのよ。そこでもう一度だけ選べるようになっているから」
英玲奈「たとえばセックスピストルズやマンハッタントランスファーには銃が用意されているんだ」
海未「それなら余程引きが悪くない限りはなんとかなりそうですね」
穂乃果「うーん、さっきから出てくる名前の意味が全然分からないよー」
英玲奈「ルールの詳細は先ほど渡したプリントに書いてあるから、目を通しておいてくれ」
希「どれどれ……おー、賞品なんかもあるんやね」
凛「最後まで生き残った人はVRゲームが遊び放題なのと、好きなスタンドディスクを一枚プレゼントだって!」
ツバサ「VRゲームはテスト段階で限られた人しか遊べないし、ジョジョのスタンドディスクは開発者の人が趣味で作ったものだから非売品よ。とっても貴重なんだから」
穂乃果「へぇ……」
真姫「一応二位にも賞品はあるのね。商品券五千円分……スタンドに比べると見劣りするわね」
穂乃果「あ! 穂乃果はそっちの方が欲しいかも!」
穂乃果「えへへ、ごめんね。まだそのスタンドっていうのがよくわからなくて」
ツバサ「ふふ、大丈夫よ、実際に体験すれば嫌でもわかるから」
ツバサ「ゲームが終わった後、何か欲しいスタンドが出てくるかもね?」
凛「でも好きなスタンドが手に入るなら、これからPVの時のVRでイタズラし放題だよね~。例えば時間を止めちゃったりして……」
花陽「も、もう、ダメだよ、凛ちゃん」
英玲奈「さぁ、皆、そろそろゲームを開始するぞ。配置についてくれ」
あんじゅ「はい、この専用のゲームチェアに腰かけてヘッドギアを被って……大丈夫、怖くないわよ。肩の力を抜いてね」
ツバサ「それじゃあ、始めるわよ! ゲームスタート!」
穂乃果「……」
穂乃果「……おお!?」
穂乃果「さっきまでスタジオのゲーム用の椅子に座っていたのに……」
穂乃果「ここは……音ノ木坂学院だね! すごいなぁ、これがゲームの中? 現実と変わらないなぁ」
穂乃果「皆は……いない。うん、ルール説明の紙に書いてあったもんね。バラバラの位置からスタートって」
穂乃果「いやでもこれが現実じゃないなんて信じられないなぁ、本当にここってゲームの中かな? いろいろ試してみよう!」
穂乃果「頬をつねっても、つねったっていう感覚があるだけで、痛くない……」
穂乃果「本当にここってゲームの中なんだな……」
穂乃果「おっと、ぼーっとしてられないね。これって一応戦いなんだから」
穂乃果「えーっと、最後まで生き残った人が一位、二番目まで生き残った人が二位なんだよね」
穂乃果「じゃあ、二位目指して頑張るぞ、おー!」
穂乃果「……」
穂乃果「でも具体的に何をすればいいんだろう……」
穂乃果「そうだ、誰かに聞きに行こう。スタンドの事とか。どうすれば戦えるのかとか」スタスタスタ
穂乃果「あ、あそこに誰かいる! おーい!」
穂乃果「うーみちゃん!」
海未「もう、そんなに大声を出さないでください。私達のいる位置が他の皆にばれたらどうするんですか」
穂乃果「ばれたら困るの?」
海未「まったく……最初は穂乃果と組もうかと考えましたが、これでは足手まといでしょうし、ここで倒した方がいいかもしれませんね」
穂乃果「え、ええ!? そんなの困るよ!」
海未「ふふ、冗談です。では穂乃果は私と組む、ということでいいんですね?」
穂乃果「組む? うん、その方がいいかな。スタンドの事もよく知らないし、海未ちゃんにはいろいろと教えてもらえたら嬉しいな」
海未「ええ、それでは同盟成――」
ことり「穂乃果ちゃん!」
海未「!」
穂乃果「あ、ことりちゃん」
海未「そこまでです。止まりなさい、ことり」
ことり「え?」ピタッ
穂乃果「ど、どうしたの、海未ちゃん。顔が怖いよ?」
海未「忘れたのですか? 我々は今スタンドバトルの最中なのです」
海未「穂乃果に気を許したのは、穂乃果が味方になる可能性があったからこそ――穂乃果は二位狙いですからね。一位狙いの私とは目的が競合しません」
海未「しかしことりは私と同じく一位を狙う者、つまりは敵なのです。敵に易々と隙を見せるわけがないでしょう」
ことり「そんなぁ、敵だなんて……」
海未「い、いえ、ですから今はスタンドバトルの最中で……」
ことり「ことりはジョジョの事は大好きだけど、実際に自分が戦うのはゲームとは言え怖くて……」
ことり「だから二人の姿を見て、ほっとしたから近寄っただけだったのに……」グスッ
穂乃果「ほら、ことりちゃんが可哀想だよ」
海未「む、むぅ……わかりましたよ。すみません、ことり。ほら、今そっちに行きますから泣き止んでください」
ことり「……ありがとう、海未ちゃん」
ことり「そこが丁度いい位置だよ」
海未「!?」
ドガァァァァァン
穂乃果「な、何が起きたの!?」
ことり「これがスタンド能力だよ、穂乃果ちゃん」
ことり「ことりは予め海未ちゃんがさっき通った場所――廊下の一部を爆弾に変えておいたの」
穂乃果「じゃあ、さっきの爆発はことりちゃんが!? 海未ちゃんを倒すために!?」
ことり「うん。海未ちゃんには後で謝っておくね。ゲームが終わってことりが一位になった時に」
ことり「二位は穂乃果ちゃんだよ? 私が穂乃果ちゃんを勝ち残らせてあげる」
ことり「だから、ね? ことりと一緒に行こう?」
穂乃果「……」
穂乃果「いやー……でも海未ちゃんの方が強そうだし、どうせついていくなら海未ちゃんかなー……なんて」
ことり「!? 海未ちゃんはさっきの爆発で再起不能(リタイア)して……!」
海未「起爆のタイミングを誤りましたね……ことり!」
ことり(! 爆発の煙の中から海未ちゃんの声!?)
ことり「防御って……多少位置がずれたぐらいであの威力の爆発に耐えれるなんて!」
穂乃果「煙が晴れて来たね……おわっ、よく見たら海未ちゃん結構怪我してる!」
ことり「そんな怪我程度で済むはずが……い、いや……爆破していないはずの壁が壊れて……まさか!」
海未「そう、私はあの爆破の瞬間に近くの壁を破壊、それを『直す』ことで盾としたのです!」
ことり「直す能力……ならそのスタンドは……!」
海未「ええ、あらゆる破壊のダメージや傷を瞬時に治す能力を持つスタンド、クレイジーダイヤモンド!」
海未「そしてクレイジーダイヤモンドのもう一つの特徴は高水準のパラメータを誇る近距離パワー型であること! 今あなたを射程範囲内にとらえました!」
ことり「くっ……!」ダッ
海未「逃がさない! クレイジーダイヤモンド、ことりを攻撃しなさい!」ゴッ
ことり「キャッ!?」ドゴォ
ガシャアアン
穂乃果「ことりちゃああああん!?」
海未「落ち着いてください、穂乃果。これはゲームですから」
海未「それに……ことりはまだ再起不能(リタイア)していないはずです」
穂乃果「そ、そうなの?」
海未「ええ、スタンドによる防御を行いませんでしたからね。ことりはあえて防御を捨て殴り飛ばされたのでしょう」
海未「爆弾化の能力からして、おそらくことりの使っていたスタンドはキラークイーン」
海未「強力なスタンドではありますが、格闘戦では私のクレイジーダイヤモンドに分があります」
海未「それを知っていることりは、私の攻撃を利用しての逃走という手段を選んだのでしょう」
海未「殴り飛ばされ逃げ延びる……三部でDIOも使った由緒正しい逃走経路です」
穂乃果「でぃお? ふーん……」
海未(それにしても爆弾の罠に加え、瞬時にこれだけの判断を下す胆力……)
海未(ことりの優しく穏やかな性格は戦闘には向いていないと思っていましたが、認識を改める必要がありそうですね)
ドシャッ
ことり「かっ……はっ……!」
ことり(まだ……生き……てる……)
ことり(でも怪我……しちゃった……このままじゃ海未ちゃんには……勝てない……なぁ)
穂乃果『いやー……でも海未ちゃんの方が強そうだし、どうせついていくなら海未ちゃんかなー……なんて』
ことり「……」ギリッ
ことり(新しい……能力がいる……!)
ことり(海未ちゃんに負けない……もっと……もっと……強いスタンドが!)
穂乃果「そのマッチョな人が海未ちゃんのスタンド……なんだよね?」
海未「ええ、そうですよ。スタンドとは精神エネルギーが具現化したもので、様々な形をとります」
海未「このような人型から、銃などの道具といった形もありますし、不定形な物もありますし、太陽のようなスタンドまで存在するのです」
穂乃果「へ~、面白そう! 穂乃果のスタンドはどんなのなんだろう?」
海未「では実際に出して見てみましょうよ」
穂乃果「うん!」
穂乃果「……」
海未「……」
穂乃果「……どうやって出すの?」
海未「ええと……強く身を守ろうとする等、とにかく精神を昂ぶらせるんですよ」
穂乃果「なんだか難しいなぁ。ぬぅー、出ろー!」
ギャルギャルギャル
SHA「コッチヲ見ロー」
海未「!? あれはシアーハートアタック!」
穂乃果「わ!? 何あの小さなラジコンみたいな……あれが穂乃果のスタンド?」
海未「違います! あの爆弾戦車はシアーハートアタック……キラークイーンの一部です!」
SHA「コッチヲ見ロッ」
海未「くっ……!」カチカチカチ
SHA「コッチヲ見ロー」ギュイン
ドグォォォォン
穂乃果「きゃああああ!?」
穂乃果「照明に突っ込んでいった!?」
海未「気を付けてください! シアーハートアタックは熱に反応して移動、爆破する自動遠隔操縦タイプです!」
穂乃果「ね、熱に? そうか、だから海未ちゃんが点けた照明に……」
ドグォォォォン
穂乃果「うわわわわ! まだ暴れ回っているよ!」
海未「ええ、電灯がまだ残っている間にここを離れましょう」
穂乃果「あ、スプリンクラーだ。さっきのシアーハートアタック? の爆発のせいかな。あれもことりちゃんのものなの?」
海未「そうですよ。キラークイーンは物を爆弾化するほか、左手から爆弾戦車を放つことができるのです」
穂乃果「へぇ、おっかないなぁ……」
海未「何、クレイジーダイヤモンドがあれば恐れるに足りません。直す力を使えば、シアーハートアタックを強制的にキラークイーンの左手に戻せますから」
穂乃果「? じゃあ、なんでさっき戻さなかったの?」
海未「泳がせるためです。シアーハートアタックを対処できるスタンドは限られますからね。ああやって走らせておけば私達以外の皆が爆破されていくでしょう」
穂乃果「そ、そう」
海未「それに今戻してもまた発射すればいいだけですしね……根本的な解決になりません」
海未「それだったらああして放置して周囲を爆破してもらうか、対抗できるスタンドでシアーハートアタックを完全に無力化してもらうか、どちらかがいいと思います」
穂乃果「海未ちゃんも色々考えてるんだね」
海未「当たり前でしょう、穂乃果ももう少し真面目に考えてくださいよ。これは戦いなんですからね」
穂乃果「わ、わかったよ。もう、ゲームの中でまで怒らなくてもいいのに……」
穂乃果「お、凛ちゃーん!」トコトコトコ
海未「待ちなさい、穂乃果!」グイッ
穂乃果「ぐえーっ」
海未「何度言ったらわかるのですか! 今は戦闘中で、私達以外は全員敵なんですよ!」
穂乃果「そ、そんなに怒らないでよ。なんだか機嫌悪いね、海未ちゃん」
凛「大丈夫、警戒しないで。凛はただシアーハートアタックに追われてここまで逃げ込んだだけなの」
凛「あのスタンドはとっても厄介でしょ? だからひとまず休戦にして一緒に対抗しようと思って」
凛「……」
凛「さっすが海未ちゃんだね。油断させてグサッと行こうと思っていたけど、引っかからないか」
穂乃果「グ、グサッ? 凛ちゃんノリノリだねぇ……」
海未「ふっ、凛こそ大したものではないですか。いつもの胸と同じぐらいのつるつる脳みそからは想像できない眼光です」
穂乃果「ちょ、ちょっと言葉汚すぎない? 海未ちゃんらしくないよ」
凛「胸がつるつるなのは海未ちゃんも同じにゃあ!」
穂乃果「凛ちゃんも落ち着いて……胸より脳みその方に怒った方がいいんじゃないかな」
凛「なんでそんな正確に数字を把握してるの!? 海未ちゃんは凛の事を見る目が怖すぎるんだよ! 凛知ってるよ、ミニスカートで走った時に海未ちゃんがこっちを凝視してる事!」
海未「それは凛を心配しての事でしょう! あんなに短いスカートで走り回って! 何が怖いですか、自意識過剰もいいところです!」
海未「大体怖いと言うならあなたの花陽を見る時の目の方がよっぽどです! 私も知ってますよ、あなたがこっそり花陽の写真に――」
凛「にゃ、にゃーーーーー!」
穂乃果「ちょっと二人とも何で急に言い争い始めたの! 落ち着きなよ!」
凛「もう生かしておけない! 凛の恥ずかしい秘密を知ったからには死んでもらうよ! 海未ちゃん!」
海未「いいえ、死ぬのは凛、貴女です!」
穂乃果「な、なんだろう、さっきの戦闘でも海未ちゃんとことりちゃんは妙に好戦的だったけど、あの時よりも更に二人の諍いが激しい気がする」
穂乃果「あの時はまだゲームならではの一種のロールプレイのようなものだと思ってたけど……」
穂乃果「今は明らかに奇妙だとわかるよ! 皆は誰かに闘争心を煽られている!」
凛「行くよ、海未ちゃんッッッ!」
海未「ええ――ファイトクラブですッッッ!」
にこ「……」
にこ「ぷっ……くくく……」
にこ「に~っこにっこにっこにっこ!」
にこ「怒声が聞こえるわ! どうやら私のサバイバーがうまく効いてるみたいね!」
にこ「怒りを増幅させ人と人とを争わせるサバイバー! 最初はこんな最弱のスタンドを引いてガッカリしたけど……」
にこ「改めて考えると、バトルロイヤル形式だとそう悪くないスタンドなんじゃない?」
にこ「こうやって皆を争わせれば、自滅していって、にこ一人が生き残る!」
にこ「仮に誰かが生き残ったとしても交代権を行使して新しいスタンドを手に入れれば、消耗した最後の一人を倒してにこの優勝にこ!」
にこ「にこってばアイドルだけじゃなくて、スタンドバトルでもナンバー1なのね! に~っこにっこにっこにっこ!」
希「ふぅん、にこっちのスタンドはサバイバーなんやね」
にこ「にごぉっ!?」ビクッ
希「ちょ、ちょっと待って、にこっち! ウチは別に戦う気はないんよ!」
にこ「にこ?」
希「戦う気がないと言うか、むしろ戦えないと言うか」
にこ「……回りくどいわね。しゃきっと説明しなさいよ」
希「ウチのスタンド……ノトーリアスBIGなんよ」
にこ「うへぇ、これはまたとんでもない外れを引いたわね」
希「いや、厄介やとは思ってるけど、外れとまでは思ってへんのよ」
にこ「というと?」
希「だってウチが死んだら殺した人も死にかねんやん?」
にこ「なるほど、自分が死ねばノトーリアスが発動するぞ、って脅すわけ?」
希「ただねぇ、襲ってくる子らが、こっちの言葉を聞くと思う?」
にこ「まぁ普通は奇襲するだろうし、銃系のスタンドなら狙撃とかもあるだろうしね」
希「そ、だからね、そういったことを防ぐために、にこっちはウチと組んでほしいんよ」
にこ「……さっきばれたから言うけど、私のスタンドはサバイバーよ。奇襲や狙撃なんて防ぐことはできないんだけど」
希「いやいや、仮に誰かに見つかったとしても、二人でおったら襲う側も警戒するやん? その子らはウチらが何のスタンド持ってるかもわかってないんやしね」
にこ「ふむ……交渉や脅迫の余地を作るわけね。でもサバイバーの効果は無差別よ。組んだとしたら、あんたが私にキレてしまうこともあるんじゃない?」
希「その時はにこっちが能力を解除してくれたらええんよ」
にこ「うーん、じゃあ私にとってアンタと組むことのメリットは?」
希「ウチがやられてノトーリアスが暴れ出したらにこっちの作戦もご破算やろ?」
希「それにいざというとき盾になれるんちゃう? ほら、にこっちってそそっかしいから、さっきみたいにすぐ見つかりそうやし」
希「そう、サバイバーで潰し合う皆を見届けて、最後は一緒にディスクを交換するんよ。誰かが残っていれば二人をとどめを刺して、あとは二人で決闘」
希「それに勝てば一位、負けても二位、どっちに転んでも賞品は手に入るって言うわけ」
にこ「にこはあくまで一位狙いだけど……確かに二位であっても賞品ゲットの確率が上がるのはありがたいかも」
希「それじゃあ――」
にこ「ええ、ディスク交換のその時まで私達は仲間よ。協力し合って最後の時まで生き延びましょう」
希「うん、よろしくね! にこっち!」
にこ「それじゃあ、まず手始めに――」
希「?」
にこ「トイレについてきてほしいにこ……」
希「ああ、なんで廊下でうろうろしてるんや思ったら、トイレに行こうとしてたんやね……っていうかトイレ行く必要あるんやね、ゲームなのに」
海未「――!?」
グサッ
海未「――」
ドサッ
凛「ふぅ」
穂乃果「え……?」
凛「脳幹を破壊したよ。これで海未ちゃんは再起不能(リタイア)にゃ」
凛「初手アーマーテイクオフからの全力の刺突……奇襲気味のこれを避けられるスタンドはそうはいないと思うよ」
凛「タンスと壁の間に落ちた物をとる能力だとか軽んじられているけど、この剣はあの承太郎やアヴドゥルさんを追い詰めたこともあるんだ」
穂乃果「そ、そんな! 海未ちゃん! 海未ちゃん!」
凛「さぁ、次は穂乃果ちゃんの番だよ。凛は穂乃果ちゃんを味方にしようなんて考えてない」
凛「裏切られる可能性もあるからね。ここで仕留めさせてもらうよ」
凛「無駄にゃ――」
海未「その声が――」
凛「!?」
海未「その声が何度でも私を蘇らせる……!」
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「ありがとう、穂乃果。あなたのおかげで目が覚めました……」
凛「そ、そんな!? 脳に剣が刺さったはずなのに!」
凛「そ、それが一体……」
海未「サバイバーの能力は怒りを巻き起こらせるだけではありません。敵の最も『強い』部分が輝いて見える副作用のようなものがあります」
海未「凛、まさしく貴女が一撃を放とうとした瞬間、その輝きは凄まじいものだった。だからこそ咄嗟に反応して急所を外すことができた」
凛「で、でも、いくら致命的な位置を外したとはいえ、剣が頭に刺さった事には変わりないのに!」
海未「当たり所が良かったと言う事でしょうね……事故で銛が頭部に刺さった男性が、生還しただけでなく、銛が刺さりながら喋る事すらできたという事例があるようですし」
海未「それに加えてサバイバーで活性した肉体が私に死を許さなかった……いや、このような理由を並べても野暮でしたね」
海未「愛の力、その一言で十分ではないでしょうか」
凛「……だったら今度はその愛ごと切り裂いてあげる!」
海未「クレイジーダイヤモンド!」ブン
スカッ
ドゴッ
穂乃果「う、海未ちゃん! 全然当たってないよ!?」
凛「ふふん、当然にゃ。成長前の序盤とはいえスタプラでも見切れなかったこの動き。たとえクレDであってもアーマーテイクオフには対処できない!」
穂乃果「どうするの!? 海未ちゃん!」
海未「悔しいですが認めざるをえません……スタンド操作が未熟な私ではチャリオッツのスピードに対応するのは不可能です」
穂乃果「そ、そんなぁ……」
海未「ええ、鎧を脱いだ状態に対応できないのは確かです。なので鎧を着ていただきましょう」
凛「!? こ、これは……!?」
海未「さっきのパンチはチャリオッツを狙ったものではありません。あなたが脱ぎ散らかした鎧です!」
凛「し、しまった! 直す力で無理矢理鎧を……!」
海未「鎧を着たことでスピードが緩まった! 今です!」グオッ
ドゴォ
凛「にゃあああああーーー!?」
海未「チャリオッツの性能なら、焦りさえしなければ勝負はまだ分からなかったのですが……やはりまだまだですね、凛」
凛「う……にゃー……」ドサッ
――星空凛、再起不能(リタイア)――
穂乃果「やったぁ!」
スゥ
穂乃果「あ、凛ちゃんが消えちゃった……」
海未「再起不能ということでしょうね」
穂乃果「今頃他の皆も戦ってるのかなぁ。何人ぐらい残ってるんだろうね」
海未「……」
海未「穂乃果」
穂乃果「うん?」
海未「別れましょう。同盟はこれで終わりです」
穂乃果「!」
海未「違います。サバイバーですよ。人を怒らせ戦い合わせるスタンドです」
穂乃果「あ……さっき言ってた……」
海未「ええ、この術数にはまればもう自分を制御することはできません。大切な仲間である凛に心無い言葉を浴びせてしまったように……」
穂乃果「……だから別れて行動しようって言うの?」
海未「安心してください。穂乃果は隠れているだけでいいんです。敵は全て私が倒します」
穂乃果「海未ちゃん一人に押し付けられないよ!」
海未「わかってください。今でこそお互い平静を保てていますが、このままでは穂乃果に何をしてしまうかわからない」
海未「あるいは私自身が穂乃果を倒してしまうかもしれないのです」
海未「私にはそれが怖いのです……」
穂乃果「……」
穂乃果「かまわないよ
穂乃果「海未ちゃんになら何をされたって構わない」
海未「な……何を言ってるんですか……今倒れれば私が仮に一位になっても穂乃果は二位になれないじゃないですか!」
穂乃果「いいんだ、それでも。こうしてずっと海未ちゃんと一緒に戦えるなら」
穂乃果「海未ちゃん、なんだかとっても楽しそう。アイドルの時とはまた別の顔だよね」
穂乃果「きっとすごくジョジョの事が好きなんだろうなってわかるの。その横顔をそばで見ていられるなら、二位なんて別にならなくてもいいんだ」
海未「穂乃果……」
穂乃果「私信じてるから。海未ちゃんはスタンド能力になんか絶対負けやしないって」
穂乃果「それに言ってくれたじゃない。私の声で蘇れたんだって。だったらもしサバイバーに負けそうになっても穂乃果が海未ちゃんを支えてあげる」
穂乃果「いつだって声をかけてあげる。だから……これで終わりだなんて寂しい事言わないで」
海未「……」
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「私は戦います。他でもないあなたのために」
海未「この命の限りあなたを守り、必ず二位の座につかせます。約束です」
穂乃果「ありがとう……海未ちゃん!」
にこ「スッキリにこ♪」
希「それじゃあ、これからどうする?」
にこ「うーん、できることならサバイバーの効果をより効きやすくしたいけど、あんまりうろうろするのもね」
希「ウチがおるんやし、多少は大丈夫じゃないかな」
にこ「それもそうね。じゃあ、周囲の様子を慎重に確認しながら進んで――」
絵里「二人そろって何をこそこそしてるの?」
にこ「にごっ!?」ビクッ
希「おっとっと、早速見つかるとわね。でも安心しぃ、にこっち。ウチらには切り札があるやん」
希「まぁね。ウチとにこっちは組むことにしたんよ。さすがのえりちも二人相手はきついんちゃう?」
絵里「別にかまわないわよ。二人が相手でも」
にこ「な、何よ、その自信」
絵里「この戦いは自分以外が全て敵なのよ。もし誰かと組んだ場合、背中から刺される危険性は決して看過できるものじゃないわ」
絵里「にも関わらず徒党を組むのは、自分のスタンドだけで生き残る自信がない場合じゃない? しかも最後には争う以上力関係が対等でなければ共闘は成立し辛い」
絵里「……そんな弱小スタンドなんて二体いたって怖くないわ」
にこ「くぅ……」
希(図星だけど……怖気づくわけにはいかない)
希「読みが甘いよ、えりち。ウチらのスタンドは使い勝手が悪いだけで能力自体は共に最強クラスやん?」
絵里「ふぅん?」
希「ずばり、ウチのスタンドはノトーリアスBIGなんよ!」
にこ「そ、そうよ! あんたがどんなスタンドを持ってたってかないっこないんだから!」
希「悪いけど、えりち、ここは退いてくれへんかな。じゃないとウチらも自棄な行動を取りかねんやん?」
希「!」
にこ「ま、まさか……倒す当てがあるって言うの?」
絵里「発動したノトーリアスBIGは確かに反則級のスタンドよ。でも無敵というわけではない」
絵里「事実スパイスガールの攻撃でダメージは受けていたじゃない」
希「まぁそのダメージを与えるのが難しいんやけどね」
にこ「そうよ、なんたってスピード無限大よ、無限大。攻撃がまともに当たらないのよ」
絵里「ふっ……時の止まった世界ではダイアーさんの眠ってしまうような蹴りも無限大の速度も大差ないんじゃない?」
希「時の止まった世界……!? まさか!」
絵里「ええ、私が引き当てたのは最強のスタンド――」
絵里「スタープラチナよ」
希「……さすがえりち。凄まじい豪運やね」
にこ「スタプラ相手なんて絶対勝てないにこ……」
絵里「バカね、そんな古典的な手に引っかかるわけないでしょう?」
SHA「コッチヲ見ロー」ギャルギャルギャル
絵里「えっ!?」
ドグォォォォォォン
希「……」
にこ「……」
――絢瀬絵里、再起不能(リタイア)
希「えりち……」
にこ「何やってんのよ……」
SHA「コッチヲ見ロー」
希「あかん! 逃げるで、にこっち! 自動操縦のスタンドには交渉も脅しもへったくれもないからね!」
にこ「にごおおおおおお!?」
ことり「ふぅ……ふぅ……」
ことり(ディスクの交換所は……ルール説明用のプリントによるとアイドル研究部の部室……)
ことり(良かった……傷は浅くないから、途中で倒れちゃわないか不安だったけど、なんとか辿り着い――)
真姫「――皆最初に引いたスタンドに満足してるのかしらね」
ことり「!」
真姫「ここに来たのはことり、あなたがはじめてよ」
ことり「ま、真姫ちゃん? なんでこの場所に……」
真姫「敵を探して校舎の中を走り回るって私のキャラじゃないのよね」
真姫「人が来るであろう場所で待ち構えている方が性に合うのよ」
ことり(ど、どうしよう……元気な時ならともかく、今は怪我でうまく動けないし……)
真姫「それにこの場所に来るってことは、スタンドの交換をしたいってこと。つまりは能力に自信がないわけでしょ?」
真姫「自分の能力を試すには最適の相手じゃない――!」
ツバサ「でもほら、ジョジョって単純な強さに縛られないことが魅力の一つじゃない? だから負けたってそんなに落ち込むことはないわ」
絵里「……」
英玲奈「原作でもスタープラチナはシアーハートアタック相手に重傷を負っている。君に落ち度はなかった」
絵里「……」
あんじゅ「どんなモンスターマシンでも乗りこなせなきゃ意味ないわよねぇ」
絵里「うぐぅ!」
ツバサ「あんじゅ!」
英玲奈「……お前はディスクの交換受付を担当していたはずだろう。早く持ち場につけ」
あんじゅ「はぁい♪」
絵里「……」シュン
ツバサ(思いの外こたえているみたいね)
英玲奈(世間で持たれているイメージよりも打たれ弱いのかもしれないな)
ツバサ「あ、矢澤さん達がピンチみたいよ」
英玲奈「ああその……例のシアーハートアタックに追いかけられているんだったな」
英玲奈「爆弾戦車も相当に走り回っている。反応する熱源はすでにほとんど破壊されているが……さて」
希「もうすでに誰かがシアーハートアタックから逃げるために使ったんやろうね……」
SHA「コッチヲ見ロー」
にこ「どうすんのよぉ!」
希「調理室なら火が……あかん、ここからは遠すぎる……! 着く前に追いつかれてしまう!」
にこ「そうだ、化学室! あそこなら実験用に使う火もあるにこ!」
希「それやにこっち! 場所もここから近い! よし、行こう!」
にこ「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……!」
ことり(でも退くわけにはいかない……部室は真姫ちゃんを越えた向こうにあるんだから!)ダッ
真姫(突っ込んで来た……あの傷でも勝てる見込みが?)
真姫(いえ、違うわね。強引に部室に駆け込んで次のディスクに全てを賭けようって腹かしら)
ことり(くらって、真姫ちゃん!)
ドガァァァン
真姫「!? 爆弾……ふぅん」
真姫(でもこれはダメージを目的としたものじゃなくて煙幕を発生させるためのものね)
ことり(これで…!)
真姫「なるほど、この煙にまぎれて部室に逃げるわけ?」
ことり(かかった!)
ことり「!」
ことり(あ、足が動かない……!?)
真姫「煙幕に紛れて逃げても目的地が分かっていれば攻撃できる――と私に思わせ、その裏をかいて私自身を狙うのがあなたの作戦だった」
真姫「すばらしい機転だったわ。私じゃなければ成功したでしょうね」
ことり「こ、この冷気は……!」
真姫「……あなたが部室に行こうが、私を狙おうがどのみち結末は一緒だったのよ」
真姫「このホワイトアルバムの射程内に入れば凍りつくしかないんだから」
ことり「ぐ……うぅ……!」
真姫「冷たいヤケドを教えてあげるわ! ことり!」
にこ「よし早速中に……ってなんで鍵がかかってるのよぉ!」
ガタッガタッガタッ
SHA「コッチヲ見ロー」
にこ「だめぇ、開かない! いやああああ!」
希「どいてにこっち! はぁぁぁぁ……せいや!」
ドゴン
希「よし、開いた!」
にこ「……蹴りでドアをぶち破るって。スタンド無しでも格闘戦できそうね、あんた」
希「そんなこと言ってる暇ないよ!」
SHA「コッチヲ見ロー」
にこ「うああああ、火! 火! 火ぃぃぃ!」
にこ「は、早く投げちゃいなさいよ! マッチの火に引き寄せられて来るわよ!」
希「マッチの本数が少ないんよ! これじゃあ大して時間も稼げないから、物を燃やしていっぱいデコイを作って遠くに投げて……」
にこ「早く、早く……!」
SHA「コッチヲ見ロー」ギャリギャリギャリ
にこ「にごおおおお!?」
希「よし、これでもう十分やん! 逃げるで、にこっち!」
SHA「コッチヲ見ロー」ギャリギャリギャリ
希「!?」
にこ「な、なんで希の方に!?」
希「しまった、焦りすぎた……! 髪に火が……にこっち、逃げ――」
ドグォォォォォン
にこ「希ぃぃぃ!」
真姫(部室内は非戦区域。ここでじっと待つしかないか)
真姫(……まさか凍りついた左足を爆破して逃げ延びるなんてね)
真姫(あの執念……一体どこから来るのかしら)
あんじゅ「ふぁぁ……暇なのよね、ディスクの交換受付」
あんじゅ「また絢瀬さんの事をいじりに戻ろうかしら」
ガチャ
あんじゅ「あら、いらっしゃい♪ ってすごい怪我……大丈夫?」
ことり「ディスクを、新しいディスクをください……!」
ことり「強い能力を……誰よりも強いスタンドを……!」
ガチャ
真姫「新しい能力には満足できた?」
真姫「ううん、どんな能力を引いても無駄……それは貴女が一番わかってるんじゃない、ことり?」
ことり「……」
真姫「元々の傷に加え、ホワイトアルバムの冷気は確実にあなたを蝕んでいる……動けているのが不思議なぐらいなのよ」
真姫「傷を治すスタンドは存在するけど、クレイジーダイヤモンドは自分には使えないし、ゴールドエクスペリエンスは冷気とは相性が悪い」
真姫「つまりもうあなたは詰んでいるってわけ」
真姫「その状態でホワイトアルバムに勝てるわけがないし、よしんば勝てたとしても、すぐにあなたは今の傷のせいで再起不能(リタイア)なのよ」
真姫「だからあなたには自分の意志でギブアップしてほしいの」
ことり「どうしてわざわざそんなことを言うの? そんな事をしないですぐにことりを倒しちゃえばいいのに」
ことり「真姫ちゃん……?」
真姫「最初は私だってわくわくしたわ。大好きなジョジョの能力を現実にあるかのように揮えるんだもの」
真姫「でもね、ことりを攻撃した時、そのわくわくした気持ちがどんどん萎えていったの」
真姫「特にこの千切れた足を見てしまうとね……ゲームだから傷や血はデフォルメされた表現だったけど、それでも辛かったわ」
真姫「私は……最後までこのゲームは完遂したい。でもこれ以上負けが決まったあなたを、友達を攻撃したくないの」
真姫「だからお願いことり。もうこれ以上私にあなたを傷付けさせないで」
ことり「……」
ことり「真姫ちゃんに夢はある?」
真姫「? 何の話……?」
真姫「……」
ことり「この程度の事で退くことはできないの。片足がもげたって……ううん、両足がなくなったって、両手がなくなったって!」
ことり「たとえこの先勝つ可能性がゼロに近くたって、そこに一位になる可能性がほんのわずかでもある限り、ことりは諦めない!」
ことり「だから――行くよ、真姫ちゃん」
真姫「……」
真姫「もう手加減なんてしないし、ギブアップするようにも言わない」
真姫「私にはあなたのように信じるものはないけど、それでもここで手を抜くことはあなたを侮辱していることになるということだけはわかる」
真姫「だから――行くわよ、ことり! ダイアーさんのようにブチ割れなさい!」
ことり(触れる物全てを凍てつかせる氷の鎧――それでも!)ダッ
ガシィッ
真姫(私に組み付いてきた!? このホワイトアルバムに!? 勝負を捨てたの!?)
ことり「ぐうううううう!」
真姫(違う……今のことりは自暴自棄になんてならない! これは何らかの作戦による行動!)
真姫「だったらその作戦を果たさせる前に全ての行動を停止させる! 食らいなさい、全てのスタンドパワーを注ぎ込んだ最大出力!」
ことり「く――あ――」
ことり(走る機関車を止め、空気すら凍らせる力……ダメ、想像以上の冷気……もう動けな――)
ガチャ
真姫(部室から人が!? あの中にはあんじゅさんしかいないはず……一体誰が!?)
ことり「真姫ちゃん……ことりにはホワイトアルバムの装甲を砕くことはできない……」
ことり「こと……りには……真姫ちゃんを……倒せ……ない」
ことり「それでも……真姫ちゃんを……この世界から……消しちゃうことは……できる」
真姫(部室から……ことり!? でもことりは今私に抱き着いて完全に凍り付いて……ことりが二人いる!)
ことり2「……!」ダッ
真姫「二人のことり……世界から消える……まさかこの能力は!」
真姫「!? は、放れなさい!」
ことり「絶……対に……放さ……ない……!」
ことり2「行くよ! ことりとことりのサンドイッチ!」
真姫「――!」
ことり「――……」
ことり2「この世界の真姫ちゃんと、隣の世界の真姫ちゃんが出合えば消滅する……」
ことり2「世界に二人以上いられるのはことりだけ……よく頑張ったね、もう一人の私……」
――西木野真姫再起不能(リタイア)
ことり2「で……でも……さすがに本気のホワイトアルバムに突っ込むのは辛い……なぁ……」
ことり2「あ……あとはよろしく……」
ことり2「……――」
ことり3「うん、任せて♪」
ことり3「海未ちゃんとの決着は私が着けてくるからね」
海未「!」
穂乃果「海未ちゃん?」
海未「下がって、誰か来ます」
海未「……」
海未「……ことり」
ことり「戻って来たよ、海未ちゃん。それから――」
穂乃果「ことりちゃん……」
ことり「迎えに来たよ。穂乃果ちゃん♪」
ことり「だから、ね。あえて使うスタンドを教えておくね」
ズズ……
海未「D4C――いともたやすく行われるえげつない行為……!」
穂乃果「……」
ことり「ジョジョを知らない穂乃果ちゃんにはピンと来ないかな? これってとっても強いスタンドなんだ♪」
ことり「ジョジョでもトップクラス……少なくともクレイジーダイヤモンドなんかには絶対負けないよ」
海未「そんなことはありません! そもそもジョジョでスタンドの優劣を語るなど愚の骨頂!」
海未「かつてDIOが語ったようにスタンドとは適材適所。王には王の、料理人には料理人の能力があるのです!」
ことり「ならばこれこそが王のスタンドだよ。全てのスタンドはことりの元に平伏すのみ……!」
海未「くっ……!」
海未「!?」
海未「あ、あれは……そんな馬鹿な!?」
海未「シアーハートアタック!? ことり! あなたはキラークイーンを捨てたはずでは……!」
ことり「……!? 違うよ。ことりが前に使っていたスタンドはオエコモバの『ボクのリズムを聴いてくれ』……」
ことり「物質を爆弾化する能力という共通点があるだけで、キラークイーンを使ったことなんて……!」
海未「なら一体これは誰が……クレイジーダイヤモンド! シアーハートアタックを『直して』元の持ち主に送り返しなさい!」
SHA「コ、コッチヲミ……」ギュイーン
ことり「!」
海未「なっ……」
穂乃果「うーん、まぁ思っていたより、頑張ってくれたかな」
海未「穂乃果……!?」
花陽「ようやく海未ちゃんとことりちゃんも、穂乃果ちゃんの正体に気が付いたみたいだね」
絵里「くぅ……穂乃果のシアーハートアタックで私は……!」
花陽「絵里ちゃんはまだマシだよ……私なんて開始三分で穂乃果ちゃんに爆破されたんだから……」
凛「かよちんはペイズリーパークだったんだよね?」
真姫「ペイズリーパークは穂乃果の暗躍の邪魔になりかねないわ。だからすぐに消されたんでしょうね。二人の開始位置が近かったことが穂乃果の幸運で花陽の不運といったところかしら」
花陽「……あのスタンドの活用ぶり……間違いなく穂乃果ちゃんはジョジョを知っていた」
花陽「最初に気付くべきだったんだよね。亜里沙ちゃんが絵里ちゃんにジョジョを教えたのなら、親友の雪穂ちゃんにも教えててもおかしくない」
花陽「そして雪穂ちゃんが知っているなら、そこからお姉さんである穂乃果ちゃんに伝わった可能性もあったんだって」
真姫「しょうがないわよ。μ’sの皆、中でも海未とことりがまだ穂乃果にジョジョを教えてなかったんだもの。誰からも教えられていないと考えるのも無理はないわ」
花陽「うん……でもその思考の罠にはまって、私は考えることをやめてしまった。本当にジョジョを知らないのか疑問に思っていれば、不意打ちの爆破も防げたのに……」
絵里「ふふっ、まだまだね、花陽」
花陽「絵里ちゃんは気付いていたの?」
絵里「も、勿論よ」
穂乃果「そうだよ」
海未「ずっと……ずっと騙していたのですか、私の事を……!」
穂乃果「そうだよ」
海未「私を……利用していたのですか……!?」
穂乃果「うん、ジョジョの事を知らないって言うのも、二位を狙っているって言うのも嘘。穂乃果はどうしても一位にならなきゃいけなかったの」
海未「あの時言った私になら倒されても構わないという言葉も……私のそばで声をかけ続けてくれるという言葉も……全部……全部……!」
穂乃果「そうだよ、全部勝ち残るための嘘だったの。ごめんね?」
海未「この戦いが終わったら結婚しようという言葉も!」
穂乃果「それは最初から言ってないし。それじゃあね、海未ちゃん……今まで守ってくれてありがとう」
海未「穂乃果……」
穂乃果「……キラークイーンはすでに海未ちゃんの体に触れている」カチッ
海未「穂乃果ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドグォォォン
――園田海未 再起不能(リタイア)
真姫「容赦ないわね。いつもの穂乃果じゃないわ」
ノトーリアスB・I・G『GYAHHYA!』
花陽「あ……! ノトーリアスBIGが穂乃果ちゃん達の所に……」
絵里「ノトーリアス……そう、希も……」
凛「そっかぁ、じゃあにこちゃんも再起不能(リタイア)? これでもう後はノトーリアスBIGが全部めちゃくちゃにしちゃうのかな?」
絵里「……いえ、ノトーリアスでは戦いに幕を引くことはできないでしょうね」
ノトーリアスB・I・G「GYAAA……」
穂乃果「爆弾化した物体に触れれば、ノトーリアスであってもご覧の有様だよ」
ことり「……ジョジョの事、知ってるんだね」
穂乃果「それなりに。サンの事をザ・サンって言って雪穂に怒られるぐらいのレベルだけどね」
ことり「どうして……?」
穂乃果「……」
ことり「どうして嘘をついてたの? こんなの穂乃果ちゃんらしくないよ」
穂乃果「……この前、ことりちゃんの家に遊びに行ったよね」
ことり「う、うん……」
穂乃果「ことりちゃんの机の上に出しっぱなしにしてあったノート、あれ日記帳だよね」
ことり「!」
穂乃果「……ごめん。いけないことだなって思ったけど、あれ、ちょっとだけ読んじゃったんだ」
絵里「ええ、わかるわよ。辛いわよね、あんな裏切りにあったんだもの」
海未「何だっていうんですか! 何だっていうんですか! 頑張って頑張ってあの結末はあんまりでしょう!」
絵里「ええ、わかるわよ。必死に守った女の子が実は敵だったなんてひどすぎるわよね」
海未「せっかくの、せっかくのチャンスだったんですよ! セト神を手に入れてロリ穂乃果を堪能する私の夢はどうなるんですかあああああ!」
絵里「ええ、わかるわよ。セト神を手に入れてロリ穂乃果を…………は?」
今日はとても嬉しいことがあったの♪
なんとあのジョジョの奇妙な冒険を海未ちゃんも大好きだってことが分かったんだ♪
これはもう穂乃果ちゃんにもおすすめするしかないよね♪
あー、でも楽しかったなぁ。二人でいっぱいジョジョの話題で盛り上がって♪
特にもしスタンドを手に入れられたらどうするかってお話はいくらでも続きそうだったよ♪
海未ちゃんはザ・ワールドで時間を止めて穂乃果ちゃんにイタズラをしたいとか、
ヘブンズドアで穂乃果ちゃんにいろいろ書きこみたいとか、ちょっとがっつき過ぎ♪
もうちょっと趣を大事にしたいよね。
ことりがセト神を勧めたら『その手がありましたか、ロリ穂乃果ですね!』なんて驚いた海未ちゃんは可愛かったなぁ♪
ちなみにことりが欲しいスタンドはボヘミアンラプソディーです。
小っちゃい頃から描き続けた穂乃果ちゃんの絵はもう千枚超え♪
いろんな年代で、いろんな服を着て(時には裸で)、いろんな表情をして、そして皆ことりの事が好きで好きでたまらない、そんな穂乃果ちゃんの絵♪
それが全部ボヘミアンラプソディーで現実になったらと思うと胸がちゅんちゅんしちゃう♪
千枚の絵から飛び出た穂乃果ちゃんは皆ことりの事が好きだから何でもし放題♪
○○して、××なんかもして、△△までしちゃったりして――
ことり「……」
穂乃果「なんなんだよこれぇぇぇぇ!」
穂乃果「なんかおかしいなとは前から思ってたよ! でもここまでやばいのだとは思ってなかったよ!」
ことり「穂乃果ちゃんは、こんなことりや海未ちゃんは嫌なの?」
穂乃果「やだよ! 嫌だから今回頑張ったの!」
穂乃果「現実でスタンドバトルができるって聞いてゾッとしたよ! ルール説明のプリントで賞品がスタンドのディスクって文字を見た時はもう血が凍ったよ!」
穂乃果「絶対に二人にはディスクは渡せない! なにされるかわかんないし!」
穂乃果「ううん、二人だけじゃない。他の誰かが優勝しても二人はなんやかんやでその人からディスクを譲ってもらいそうで怖いの!」
穂乃果「だから……穂乃果は絶対に一位になる……! どんなに卑劣な手も……どんなに汚い手も使う……!」
穂乃果「そうだよ! ロリ穂乃果? 千枚越えの穂乃果? 怖すぎるんだけど!?」
ことり「うーん、そんなに怖いことかな?」
穂乃果「こ、怖いよ。ことりちゃんはおかしいとは思わないの? ずっと一緒にいた友達に超能力でイタズラしようなんて!」
ことり「おかしいなんて思わない」
穂乃果「!」
ことり「穂乃果ちゃんを想う心と行動に一点の曇りなし。全てが――」
ことり「正義だよ」
穂乃果「~~~~~~!」
穂乃果「清めてやるッ! その穢れたる野望!」
――敗者待機室
絵里「幼馴染対決もいよいよ終盤ね」
凛「穂乃果ちゃんとことりちゃん、どっちが有利なんだろう?」
絵里「D4Cは即死させない限り何度でも蘇る可能性がある。でもキラークイーンは爆弾化があるわ」
花陽「うん、キラークイーンは殴打などの挟み込む余地を与える攻撃とは違う、即死攻撃を持っている。これは大きなアドバンテージだよ」
花陽「でも爆弾が作れるのは一個だけ……D4Cが隣の世界の自分を連れてきた場合、この制限はきついんじゃないかな……」
真姫「対多数の戦闘には基本的には向いてないのよね」
凛「えーっと、つまり?」
絵里「D4Cが隣の世界のことりを連れてくればD4Cの勝ち。そうなる前に穂乃果がことりを爆弾化できるかどうかといったところかしら」
凛「穂乃果ちゃん、ことりちゃんに向かって突進していったよ!」
真姫「穂乃果も私達と同じ考えに至ったのね。ことりに隣の世界逃げ込まれると勝機はまずないもの」
ドグォォォン
ことり『!?』
穂乃果『ことりちゃんが初戦でやったように、床の一部を爆弾化したよ! 爆発の勢いを背中に受けて加速する!』
ことり『は、速――』
バシィッ
穂乃果『爆弾化に成功した! 起爆して、キラークイーン!』カチッ
ドグォォォォン
凛「ことりちゃんが逃げる間もなく爆破したよ! 穂乃果ちゃんの勝ちにゃあ!」
ひょこっ
ことり2『危なかったぁ。私一人だとこれで終わりだったね』
凛「こ、ことりちゃんがもう一人!? いったいいつの間に連れて来たんだろう……」
絵里「おそらくは最初から……ことりは海未と穂乃果の前に現れた時点ですでに隣の世界のことりを忍ばせていたようね」
真姫「勝負は戦う前から決まっていたってところかしら……」
穂乃果『っ! キラークイーン!』ビュン
ことり2『おっと♪』ドジャーン
穂乃果『……ッ!』
花陽「ことりちゃんが隣の世界に完全に逃げ込んだ……なら次に出てくるときは隣の世界の自分を連れてやってくる……!」
ことり2「穂乃果ちゃん♪」
ことり3「ヘノカチュン!」
ことり4「ほのかちゃーん!」
ことり5「フォッカチャ!」
ことり6「ホノカチャン♪」
ことり7「ほーのーかーちゃん♪」
ホノカチャンホノカチャンホノカチャン……
穂乃果「うわあああああああああ!?」
ことり9『なら私は左腕だよ♪』
ことり10『うーん、じゃあ私は右太もも!』
ことり11『それなら私は左太ももをもらうね♪』
ことり12『えぇ……ことりも太もも欲しかったのに……』
ことり13『私も……』
ことり14『うーん、だったら早い者勝ちは?』
ことり15『うん、それがいいね、そうしよう!』
ことり16『いい、みんな? ……せーの!』
穂乃果『キ、キラークイーン! キラークイーン!』
ドグォォォン
ドグォォォン
ことり17『あはははははははは!』
花陽「たくさんのことりちゃんで穂乃果ちゃんが見えなくなっちゃった……まるで鳥葬……」
凛「お、おぇ……嫌な想像しちゃった……」
真姫「……もう見てられないわ。モニターのスイッチを切って……!」
凛「え……?」
ホノホノホノ……
花陽「何か聞こえる……遠くから聞こえてくるような……」
ホノホノホノホノ……
真姫「段々近づいてくるようなこの声は……」
ホノホノホノホノホノホノ!
凛「ことりちゃんたちの中だよ! あのことりちゃんの集団の中から聞こえる!」
穂乃果『ほのほのほのほのほの!』
ことり18『きゃぁ!?』ドグォォン
ことり19『いやぁ!』ドグォォン
穂乃果「どれだけいようが所詮は骨なしチキン! そんなヘルシーメニュー、いくらあってもたいらげちゃうよ!」
ことり20「ヘノカチェン!」ゴワッ
ことり21「ホノカチュン!」ゴッ
ザクッザクッ
穂乃果「ぐううううう……! キラークイーン!」
ことり20「きゃああ!」ドグォォン
ことり21「ひゃっ!?」ドグォォン
穂乃果「うおおおおおお!」
ことり22「わっ!?」ドグォォン
ことり23「きゃぁ!」ドグォォン
ことり(数にはまだ余裕があるけど、今の穂乃果ちゃんの底力は侮れない……今の内に隣の世界のわたしをもっと連れて来よう)
穂乃果「! 見つけた!」
ガシィッ
ことり「!?」
穂乃果「隣の世界に逃げようとするこの時を待っていたんだ! あなたが基本世界のことりちゃんだね!?」
穂乃果「どれだけ隣の世界のことりちゃんが増えようと、次元を移動する能力を持つのは基本のことりちゃんただ一人! あなたを抑えればもう数は増えない!」
ことり「……っ! でも隣の世界の私はまだまだたくさんいるよ! 隣の世界の私達! 穂乃果ちゃんを抑えていて!」
穂乃果「甘い! シアーハートアタック!」
SHA「コッチヲ見ロ!」ギャルギャルギャル
ことり24「!? きゃぁ!」ドグォォン
ことり25「うぁぁ!」ドグォォン
穂乃果「挟んで向こうの世界に送ってしまえる能力があればシアーハートアタックは無効化されてしまう……」
穂乃果「でもその能力を使うあなたが動けない状態なら、隣の世界のことりちゃん達にシアーハートアタックを止める術はない!」
SHA「コッチヲ見ロー!」ギャルギャルギャル
ことり26「ほ、穂乃果ちゃんに近づけな――うぐっ!」ドグォォン
ことり27「いやぁ!」ドグォォン
ことり(基本世界の権限を他の私に移動させて……ダメ、この絶え間ない爆発の中じゃ連携もとれないし、下手なことをすれば能力を使う間もなく爆殺されることに……)
穂乃果「さぁ……一対一だよ……!」
穂乃果『その願いには応えられない……!』
ことり『なら……私が抱き締めてあげる!』
穂乃果『キラークイーン!』
ことり『D4C!』
花陽「キラークイーンは触ることさえできれば爆弾化で即死させることができる……でもD4Cはキラークイーンの攻撃の手をことごとく弾き飛ばしている!」
絵里「ええ、でも穂乃果の攻撃の勢いは凄まじいものがあるわ。あれだけの攻撃にさらされればことりにはもう能力を使う余地はない!」
凛「でも穂乃果ちゃんはさっきの鳥葬で全身ボロボロだよ! あんな攻撃、いつまでも続かないよ!」
絵里「いいえ、よく見なさい、凛!」
凛「!? 穂乃果ちゃんの勢いが落ちない……ううん、むしろさっきよりも穂乃果ちゃんの攻撃が速くなっている!」
花陽「ことりちゃんも負けていないよ、どんどん速くなっている!」
真姫「な、なんて速度の突き(ラッシュ)の応酬……! なんという気迫! 私達は最初から勝てるはずがなかった……ここまでの執念を持つ二人に!」
海未「すごいですねー……」
ことり「全身傷だらけの穂乃果ちゃんの方こそ、もうお休みした方がいいんじゃない?」
穂乃果「そう、そうだよ、傷だらけなんだよ!」
穂乃果「本当に穂乃果の事を好き放題にしたいなら、傷はない方がいいんじゃない? もうちょっと手加減してよ!」
ことり「うーん、でも…………血塗れの穂乃果ちゃんもちょっと可愛いかも♪」
穂乃果「ヒッ……負けられない、絶対に負けられないぃぃぃぃぃぃ!」
ことり「穂乃果ちゃんを手に入れるために……♪」
穂乃果「貞操を守るために!」
ことほの「叶え! 私の夢!」
ことり(しまった……汗が目に……視界が!)
穂乃果「とった! キラークイーン、ことりちゃんを爆破しろぉぉぉ!」カチッ
ことり「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドグォォォン
穂乃果「……」
――南ことり再起不能(リタイア)
穂乃果「か……勝った! 勝ったよ!」
穂乃果「これで穂乃果が一位……! やり遂げた……」
穂乃果「やり遂げたよ……最後まで!」
穂乃果「あれ、なんだろう……か、体が動かな……」ドサッ
真姫「無理もないわね。全身に三時間分の戦いの怪我を負っているのよ。むしろ再起不能(リタイア)にならずに戦えていたのが奇跡だわ」
絵里「死をも超える強靭な精神力とそれに裏打ちされた信念……それこそが穂乃果の最大の武器であり、真の恐ろしさよ」
凛(単にことりちゃんが怖かっただけだと思うけど)
花陽「何はともあれ、これで優勝者が決定だね」
英玲奈「二位、高坂穂乃果」
あんじゅ「一位は矢澤にこさんでしたー!」
穂乃果「え!?」
凛「にこちゃーん、終わったよー!」
にこ「にこ?」
ことり「お疲れ、穂乃果ちゃん♪」
穂乃果「ひっ……!」
ことり「大丈夫だよ、ここはゲームの外。スタンドバトルは終わりなんだから♪」
穂乃果「は……はは……いや、そんなことより! なんでにこちゃんが一位なの!?」
希「なんでって、にこっちが最後まで生き残ったからやん?」
真姫「そもそもなんで自分が一位だと思ってたのよ」
穂乃果「え、いやだって……シアーハートアタックが散々暴れ回ったし、ノトーリアスBIGまで出て来たんだよ」
穂乃果「三時間戦ってる間も誰も姿を見せないし、これはもう穂乃果たち以外は再起不能(リタイア)したもんだと」
希「ウチもそれでやられたんよ」
絵里「えーと、順番を説明するとね。まず希が火のついた物を遠くに投げる、シアーハートアタックは髪に火が点いた希を攻撃する」
絵里「続いてシアーハートアタックは火のついた物をおいかけ、さらにそこから距離が近かった穂乃果たちの元へ向かう」
絵里「それでしばらくしてから再起不能になった希からノトーリアスが発動する」
凛「あれ? そういえばノトーリアスBIGが発動したのに、なんで一緒に行動していたにこちゃんは無事だったの?」
真姫「ちょっともう、ちゃんと見ときなさいよ。にこちゃんはそこからずっと動かなかったのよ」
絵里「そうね。ノトーリアスは動く物に反応するスタンド。じっとしていたにこが攻撃対象になる前に、穂乃果たちをターゲットにとらえたのね」
希「ご丁寧に三時間の間ぴくりともうごかんかったんやね」
にこ「いやだってノトーリアスが近くにいたかもしれないし……誰か倒されてたって教えなさいよ!」
穂乃果「そ……そんな……二位……一位じゃない……一位じゃなかった……」
穂乃果「わかってないよ、絵里ちゃん!」
海未「にこ! 後生です! どうかディスクを譲ってください! 今度の歌詞はにこ中心のものにしますから!」
ことり「にこちゃん、おねがぁい♪ ディスクをくれたら、今度の衣装にこちゃんのものだけちょっぴり豪華にするから♪」
穂乃果「ほらぁ! 歌詞担当と衣装担当で尚且つ財力はμ’sでも上位の二人だよ!? にこちゃんだったら絶対買収されるに決まってる!」
にこ「決まってるって、アンタね……」
にこ「海未、ことり。悪いけど、私はもう何のスタンドをもらうか決めてるのよ」
ほのことうみ「え!?」
海未「ど、どどど……どのスタンドをもらうつもりなのですか……!?」
にこ「ウェザーリポートよ」
ここあ『雪だるま作ろうよ、雪だるま!』
こたろう『ゆきー』
にこ『あはは、転ぶんじゃないわよー?』
希「そっか、こころちゃん達を雪で遊ばせてあげたかったんやね。今年は暖冬で雪もほとんどやしなー」
絵里「二人とも、今にこの事を真っ直ぐ見れる?」
海未「しばらくそっとしておいてください……」
ことり「(・8・;)
真姫「そう? 無理してない?」
凛「幼馴染二人に狙われてることが分かったからねー」
穂乃果「あはは……それは正直びっくりしたけど、それでも二人が大切な友達であることはこれからも変わりないよ」
海未「ほ、穂乃果……私達の事を許してくれるのですか?」
穂乃果「許すも何も、別に悪い事はしてないからね。むしろ騙し討ちしていた穂乃果が謝らなきゃいけないぐらいだよ」
ことり「ハノケチェン……」
穂乃果「それよりも穂乃果は海未ちゃんやことりちゃん、それにμ’sの皆がジョジョ好きってことが分かってすごく喜んでるんだ」
穂乃果「大好きな作品を、大好きな皆も同じように愛してるんだよ。こんなに嬉しいことはないよ!」
花陽「うん、これからはみんなでいっぱいジョジョの話もできるよね……!」
真姫「きっとこういう漫画には興味ないんだろうなって、お互い話さなかったのが馬鹿みたいね」
穂乃果「もう遠慮はなしだよ! みんなの好きな話やキャラクターを教えてね!」
海未「はい!」
ことり「うん、いっぱいいっぱいおしゃべりしようね!」
穂乃果「あ、こんにちは、A-RISEの皆さん」
ツバサ「そうそうVRの事だけどね。開発者の人達があなた達にお礼を言っていたわ」
穂乃果「お礼?」
英玲奈「この前のゲームでの数時間の死闘は想定以上のデータが収集できたらしい。おかげでVRゲームの一般公開の時期は大幅に早まるようだ」
穂乃果「え」
海未「……」
あんじゅ「それにジョジョのスタンドも放送で好評だったみたいよ? それを受けてディスクも非売品じゃなくて一般販売を始めるみたいね」
穂乃果「え」
ことり「……」
ツバサ「今年中にはもう誰もが自由にVRゲームやスタンドバトルが遊べるようになるみたいよ。それじゃあね、皆。私達はこれから番組の収録だから」
穂乃果「……」
海未「穂乃果、スタンドディスクが発売したら――」
ことり「一緒にスタンドバトルしようね♪」
穂乃果「絶対嫌!」
おわり
楽しく読ませてもらいました!ありがとう!
待機室に最後までいなかったからてっきり生き残ってるものと思ってたのに
ジョジョオタライバーの俺得なssだった
画像がグッド!
関係無いけれども スタンドがラブライブのキャラクターとかのssとかは無いんですかね?名前のゴロの良さとかなら「スターカヨチナ!」とか「シルバーコトリッツ!!」とか「マキチャンズレッド!!」とか「ハイエロファントニコニー!」とか「ハーミットノンタン!」とか「E・リーチカァ!!」とか。THE ・フールは思いつかなかったです。 「クレイジー・ソノダモンド。」とかね。長文失礼しました。