ことりぷらす

絵里「こーら、凛！ 次のライブも近いんだからあんまりはしゃがないの！ 転ぶわよ〜」

凛「だいじょうぶだいじょうぶ♪ ほら絵里ちゃん見て！ サラサラでいい感じにゃ〜！」ﾖﾛｯ

凛「わっ！ とっとっ、と！」ﾖﾛﾖﾛ…

絵里「んもぅ、言わんこっちゃない…」ﾎﾟｽﾝ

凛「えへへ、絵里ちゃん、ありがとにゃ///」

みたいなの、いいと思います

凛「え〜！！ どうしてどうして！？」

真姫「だーかーら、さっきも言ったでしょ！ 昨日降った雪がまだ残ってて危ないから、今日は屋上が使えないの！」

花陽「テストも近いし、無理に練習して風邪引いたり怪我したりしたらいけないから、今日は練習お休みにしようってさっき海未ちゃんたちが言ってたよ」

凛「えぇー！ 練習ー！ 練習したいにゃー！」

真姫「そんなこと言って、次のテストで赤点取ったら雪とか関係なく練習できなくなっちゃうわよ？」

凛「うっ……」

真姫「まぁ、私と花陽は赤点の心配なんてないし、そのときは凛だけ練習できなくなるわね」ｸﾙｸﾙ

凛「うっ……」

花陽「あはは…凛ちゃん、今回の英語の範囲ちょっと難しいとこだから、一緒にがんばろ？」

凛「二人とも残酷だにゃぁ……」

穂乃果「ウルトラソゥッ！」

にこ「ハァイ！」

凛「結局、今日は練習お休みにゃ」

凛「かよちんも真姫ちゃんも、今日は早めに帰って勉強するって…」

凛「凛は自分の部屋だとあんまり集中できないし……そもそも、テストはまだまだ先だし…、部室でにこちゃんの雑誌でも読んで帰るかにゃ〜」

ﾄﾞｱｶﾞﾁｬﾘ ﾊﾞﾀﾝ

絵里「あら、凛」

絵里「花陽と真姫は一緒じゃないの？」

凛「うん、2人は先に帰ったにゃ　……今日は練習お休みだから、部室には誰もいないかと思ったにゃ〜」

絵里「ちょっとね、読みたい本があって…」

凛「読みたい本があって、部室に来たの？」

絵里「そう…　家に帰ってから読んでもよかったのだけど、部室ってほどよく校舎内の他の音が入ってきて、意外と読書がはかどるのよね」

絵里「それに、練習はお休みだけど、ここにいたら誰かに会えるんじゃないかなって……そしたら予感の通り、凛が来てくれたってわけ♪」

凛「な、なんだか照れるにゃ〜///　…でも、凛がいたら読書の邪魔にならない…？」

絵里「いいのよ、読書はちょっと休憩！ 凛が来るまでにもう1時間くらい続けて読んじゃったしね」

絵里「飲み物でも買いに行きましょ！ 今ならエリーチカがご馳走してあげる♪」

凛「なーんで自動販売機が中庭にしかないんだにゃ……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

絵里「生徒会としても要望は出してるんだけど、一度設置したものってなかなか動かしにくいらしいのよね……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

絵里「一応中庭は学校の中央にあるし、生徒の出入りも多い場所だから理にかなってはいるけど…」

凛「この寒さの前では道理も引っ込むにゃ…」

絵里「凛は何にする？」

凛「そうだにゃ…おでんでも飲みたい気分だけど、学校の自販機にはおでんなんて置いてないにゃ」

凛「ここは冒険せずにコーンスープにするにゃ〜」

絵里「りょーかい♪ 私はミルクティーかな…」

ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ｶﾞｺﾝｶﾞｺﾝ

絵里「ホットの飲み物って、カイロとはまた違ったあたたかみがあるわよね……すぐ冷たくなってしまうのが難点だけれど…」

凛「すでに冷たくなってきたにゃ……」

絵里「あぁ…無情……」

凛「！」

凛「ねえ絵里ちゃん！ あそこ！」

絵里「なぁに？ どうしたの？」

凛「あーそーこー！ 雪がたくさん残ってるにゃ！」

絵里「本当……中庭はあまり日が当たらないから、雪がやわらかいまま残ってるのね……！」

絵里「こーら、凛！ 次のライブも近いんだからあんまりはしゃがないの！ 転ぶわよ〜」

凛「だいじょうぶだいじょうぶ♪ ほら絵里ちゃん見て！ サラサラでいい感じにゃ〜！」

凛「わっ！ とっとっ、と！」ﾖﾛﾖﾛ

絵里「んもぅ、言わんこっちゃない…」ﾎﾟｽﾝ

凛「えへへ、さすが絵里ちゃん、ナイスカバーにゃ！」

絵里「凛はμ’sの大切なメンバーなんだから、自分の身体は大切にしないと……　怪我なんてしたらファンの子たちが悲し…」ﾎﾞｽｯ　「って、つめたっ！ こら凛！話は最後まで…」ﾎﾞｽｯ

絵里「〜〜！！」

凛「凛ちゃんの雪玉は百発百中だにゃ〜！」

絵里「まったく……さっきまであれだけ寒い寒い言ってたっていうのに」

凛「ねぇ、絵里ちゃん」

絵里「なぁに？」

凛「絵里ちゃんは、雪、好きじゃない？」

絵里「そんなことないわ…　綺麗だし、ロマンチックだし、とっても好きよ」

絵里「……好きじゃなさそうに、見えたかしら？」

凛「好きじゃなさそう、っていうか……雪を見ても、あんまり喜んだりはしゃいだりしてなかったから……」

凛「なんだか凛一人ではしゃいじゃって、申し訳なかったかなって……」

絵里「そんな！ 気にすることじゃないわ……」

絵里「でも、たしかに…最近は雪を見ても、凛みたいにはしゃいだりはしなくなったかも…」

絵里「小さい頃は、何も気にせず雪の中で遊んでいられたのに…」

絵里「音ノ木坂に入学して、生徒会長になって、μ’sのメンバーになって……どんどん私一人ではしゃいではいられないようになっていたのね」

凛「それって…、なんだかつらそう……」

絵里「そうでもないのよ？ 自分で選んでそういうポジションに立ってきたわけだし、周りから頼られて必要とされたほうが、自分の力にもなる」

絵里「……一番怖いのは、誰からも必要とされないことよ…」

凛「……」

凛「でも…？」

絵里「…本当は私も、凛みたいに雪の中ではしゃいでいたいのかもしれない」

絵里「怪我しちゃうかも〜とか、グループや学校での立ち位置が〜とか…そういうことを全部、全部忘れて……雪の中ではしゃいで、笑っていたいのかも……」

絵里「まだ小さくて、怖いものなんて何もなかった、あの頃のように…」

絵里「…なーんて、今の私には似合わないかもしれないけど！」ﾌﾌｯ

凛「……」ｽｯｸ

絵里「あ、ごめんなさい…私ばかり話してしまって…　　凛「……絵里ちゃん、遊ぼう！」

絵里「え…？」

凛「たしかに絵里ちゃんは頼れるにゃ！ いつも凛たちの心配してくれるし、さっきだって凛が転びそうになったら助けてくれたし……でも、絵里ちゃんが、はしゃぎたい！って思うなら、凛は、はしゃいでほしい！って思う！」

凛「転びそうになったら凛が支えてあげる！ だから、絵里ちゃん、一緒に遊ぼう！」

絵里「凛……」

凛「それに、雪合戦は一人じゃできないにゃ！ 絵里ちゃんが付き合ってくれないと凛も楽しく遊べないにゃ！」

絵里「(まったく、凛には敵わないわね……)」ﾌﾌｯ

絵里「ふふ…分かったわ……エリーチカのパワーショット、見せてあげる！」

凛「ふっふ！ 当たらなければどうということはないにゃー！」

絵里「逃がさないわよー！」ﾎﾞｽｯ

凛「に〝ゃ！ つめたいにゃ！！」

絵里「さっきの仕返しよ！」

凛「絵里ちゃんがそうくるならこっちは……凛ちゃん雪だるまだにゃ！！」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

絵里「〜〜！！」

絵里「ヒッ…クシュン！」

凛「クシュン！」ｽﾞﾋﾞ

海未「2人揃って風邪を引くなんて、たるんでいます！！」

絵里&凛「「ごめんなさい…」」

今の今まで「ゆきやこんこん」だと思って生きてきたわ
はずかしや