

鞠莉ママ「え?今なんて?」
鞠莉「だから言ったでしょ。結婚するって!」
鞠莉ママ「何、簡単にあきらめてるのよ!結婚したくないって言ってたでしょ?」
鞠莉「ママが結婚しろって言ったんじゃん!年貢の納め時、あきらめました。反抗は止めます、親の言う事はちゃんと聞くようにするわ」
鞠莉ママ「…」
鞠莉ママ(どうしよう…結婚相手とかいないんだけど…)
鞠莉ママ(結婚は止めにしてあげるわ、あなたも名も顔も知らぬ男の人と一緒になるなんて嫌でしょ?だからこれからは親の言う事を聞くようにしなさい!…って仕向けるための嘘だったんだけど…)
鞠莉「で、どんな人なの?」
鞠莉ママ「え?誰が?」
鞠莉「私のフィアンセよ」
鞠莉ママ「えーと…」
鞠莉「早く紹介してよ。結婚するならサッサとした方が良いわ」
鞠莉(もうどうでも良くなっちゃった…何もかも)
鞠莉ママ(鞠莉の癖にずいぶんとしおらしいわね…)
鞠莉ママ「…わかったわ。ちょっと待ってなさい」
鞠莉「早くしてよー」
鞠莉ママ(本当にどうしようかしら…)
鞠莉ママ(そうだ!エイプリルフールで嘘だったという事に…)
鞠莉ママ(良く考えたら結婚の話を持ち出したのはもっと前からだから無理だわ…)
鞠莉「まだー?」
鞠莉ママ「待ちなさい!今、電話で呼んでるから!」
鞠莉ママ(…こうなったら)
数時間後
鞠莉「遅いわね…」
鞠莉「ママもどこに行ったのかしら?」
コンコン
鞠莉(誰か扉をノックしてる!)
?「入ってもかまいませんか?」
鞠莉(誰かしら?)
鞠莉「どなた?」
?「あなたのフィアンセですよ」
鞠莉「!!!」
?「もしかして今はお着替え中だったりしました?もしそうだったら時間を変えて…」
鞠莉「そ、そういうわけではないデース!」
鞠莉(ど、ど、どうしよう?フィアンセを呼べと言ったけど、いざ来たら心の準備が…)
鞠莉(…ええーい!勇気はどこに?鞠莉の胸によ!)
鞠莉「ど、どうぞ」
?「失礼します」
鞠莉「!!!」
鞠莉ママ「始めまして小原鞠莉さん」
鞠莉ママ(フィアンセがいない?だったら私がなれば良いのデース!)
鞠莉ママ(上手く男装できたと思いますが、娘を騙せるかどうか…)
鞠莉「は、はじめまして…」
鞠莉ママ「想像していたとおりキュートなお嬢さんだ」ニッコリ
鞠莉「///」
鞠莉ママ(どうやら出来栄えは上々のようね)二ヤリ
鞠莉「ど、どうぞ。その椅子にお座り下さい///」
鞠莉ママ「ありがとう」
鞠莉「お、お茶でも淹れましょうか?」
鞠莉ママ「いえ、おかまいなく」
鞠莉ママ「鞠莉さんと会った事で私の心の渇きを潤わせる事ができましたから」
鞠莉「ズキューン☆」
鞠莉「///」モジモジ
鞠莉「あの…///」
鞠莉ママ「何でしょうか?」
鞠莉ママ(こんなに悶々とした娘を見るのは始めてね…)
鞠莉「お名前を窺っても良いでしょうか?」
鞠莉ママ「!!」
鞠莉「どうしたんですか?」
鞠莉ママ「な、なんでもありマセーンよ…HAHAHA」
鞠莉ママ(どうしましょう…名前を考えてなかったデース…)
鞠莉ママ(考えろ考えろ、マクガイバー)
鞠莉ママ「私の名前は…」
鞠莉ママ「シンノスケ・ノハラです」
鞠莉「Oh!素敵な名前!ビューティフルネーム!」
鞠莉ママ(何とかごまかせた…)
鞠莉ママ「鞠莉さんは納豆にネギを入れる方ですか?」
鞠莉「はい、私も入れます」
鞠莉ママ「本当ですか?私たち気が合うかもしれませんね」
鞠莉「うふふっ。そうですね///」
鞠莉ママ(何とか上手くやっていけそうね…)
鞠莉「ママの…じゃなくて母の影響でネギ入れるようになったんです」
鞠莉ママ「え?」
鞠莉「母がすっごく納豆大好きなんです。金髪でいかにも欧米って感じな人なのにおかしいでしょ?」
鞠莉ママ「…いいえ、そんな事ありませんよ。私もイタリア人の血をひいてますが納豆大好きですし」
鞠莉ママ「鞠莉さん」
鞠莉「は、はい」
鞠莉ママ「お母さんの事は好きですか?」
鞠莉「…私に言う事を無理に聞かせようとするし、私の行動を理解してくれない事も多々あってうんざりする事が多いです」
鞠莉ママ「そうですか…(うんざりするとかショックデース…)」
鞠莉「でも、娘の私の事を想っての行動だと思います。だから母の事をその事で嫌ったりなんかしません」
鞠莉ママ「…」
鞠莉「大好き!とまではちょっと恥ずかしくて言えないけど…」
鞠莉「やっぱり私は母が好きです」
鞠莉ママ「良い親子の関係ですね…」
鞠莉「どうしたのシンノスケさん!?何か泣きたい事でもあったの?」
鞠莉ママ「いえ、目にゴミが入りまして…」
?「マリーーー!!!!!」
鞠莉「何かしら?外から大きな声がしたけど」
「お嬢様!」
鞠莉「どうしたの?騒々しい」
「お嬢様のご友人が無理に入れろって言ってきまして」
鞠莉「え?」
果南「鞠莉ー!!助けに来たよ!!」
鞠莉「果南!?」
鞠莉ママ「ハグー!?」
果南「無理やり結婚させられそうになってるんだって聞いたよ!さぁ逃げよう!」
鞠莉「果南///」
鞠莉ママ「むっ」
鞠莉ママ「随分と野蛮な振る舞いデスねハグー」
果南・鞠莉「ハグー?」
鞠莉ママ「…じゃなかった!鞠莉さんのご友人と聞いたが礼儀がなってないんじゃないかい?」
果南「もしかしてあんたが…」
鞠莉ママ「そうさ!」クルリッ
鞠莉ママ「この私が鞠莉さんのフィアンセ、シンノスケ・ノハラだ!」ズバーン!
果南(リアクションがオーバーだな…)
鞠莉ママ「君は鞠莉さんが無理やり結婚すると思っているようだがそれは違う。彼女の母上も彼女自身も私と結婚する事を了承してくれているのだよ」
果南「嘘をつくな!鞠莉はもっと自由に生きたい、外の世界を見たいから海外に飛び出すんだ!そうだよね鞠莉?」
鞠莉「…」
果南「鞠莉?」
果南「どうしたの鞠莉?ハッキリ答えてよ!鞠莉らしくないよ!」
鞠莉「私、どうすれば…」
鞠莉ママ(確かにハグーの言うとおり鞠莉らしくありませんネー)
果南「わかった。鞠莉のお母さんやこの男に無理強いさせられてるんだね」
鞠莉ママ「さっきから本当に君は失礼だね。どうやったら納得してくれるかな?」
果南「納得なんかできないよ!こうなったら私が連れ去る!」
鞠莉ママ「また強引な手段に出ようとするのかい?昔から君は野蛮な子だよ」
果南「何をー!!あんたが私の何を知ってるのさ!!」
鞠莉ママ「知ってるさ。昔っからね!」
鞠莉「二人とも、もう止めて!!」
鞠莉(私を巡って争う二人…どうしよう?私ドキドキしてきた///)
果南・鞠莉ママ「こうなったら…」
果南・鞠莉ママ「決闘だ!!」
鞠莉「私のために争わないで!!」ワクワク
鞠莉(いったい何で決闘をするのかしら…)ドキドキ
鞠莉(フェンシングとかかしら?危険な真似は止めて欲しいけど…)
鞠莉ママ「決闘方法はカラオケだ!異存は無いな?」
果南「了承した!」
鞠莉「えぇ…」
『さかなかなんだか?』
果南「さかなさかなさかなー♪自由なミライはー♪」
鞠莉(果南かわいい…)
鞠莉ママ(ハグーの癖にかわいいなんて…)
果南「さかなさかなさかなー♪泳ぎやすいよー♪」
果南「何も持たない希望以外はー♪この海でー明日も遊ぼう♪」
「90点!!」バーン!!
鞠莉「ワンダホー!凄いわ果南!」パチパチパチ
鞠莉ママ「まあ賞賛に値するね」パチパチ
果南「いやぁ」テレテレ
鞠莉ママ(これがスクォーアイドゥのパワーデスカ…なかなかやりマスネ。でも母の意地にかけて負けられない!)
『オラはにんきもの』
果南・鞠莉(!?)
鞠莉ママ「パニックパニックパニック♪みんながあわててる♪」
鞠莉(うまっ!?)
果南(っていうかそっくりじゃない!?)
鞠莉ママ「オラは凄いぞ天才的だぞ♪」
鞠莉ママ「パワフルパワフルパワフル♪なあ みさえ♪」
鞠莉ママ「おバカな1日元気だそー!!」
鞠莉・果南「しんのすけー!!」
「95点」ジャーン!!
鞠莉ママ「どうやら私の勝ちのようだね」
果南「ぐぬぬぬ…」
鞠莉ママ「さあ、退場していただこうか?」
鞠莉「果南…」
果南「ちくしょう!覚えてろよー!鞠莉は絶対連れ出すからなー!うわーん!!」
鞠莉「果南ーー!!!」
鞠莉ママ「ようやく静かになりましたね」
鞠莉(果南…)
鞠莉ママ「邪魔者はいなくなりました。さぁ、ディナーにでも行きましょうか?」
鞠莉「はい…」
鞠莉ママ「なかなか美味しい料理でしょう」
鞠莉「はい、とても美味しいです…」
鞠莉ママ(やっぱり元気が無い…ハグーの事かしら?)
鞠莉ママ「鞠莉さんは普段どんなところで食べていらっしゃるんですか?」
鞠莉「家で食事をする時以外はよく友人たちと食事に行っています」
鞠莉ママ(友人…ハグーやデスワーの事ね)
鞠莉ママ「ほう。友人たちと…例えばどこに?」
鞠莉「えーとこの前は同じ部活の友達たちとサイゼリヤに行きました」
鞠莉ママ「サイゼリヤ…それはいったいどういう料理店ですか?」
鞠莉「イタリアンのファミリーレストランです」
鞠莉ママ「ファミリーレストラン!?小原家のものが!?」
鞠莉「ファミリーレストランですとその前はガストに行ったかな?」
鞠莉ママ「鞠莉さん…失礼な事かもしれませんがそのような場所はあなたに相応しくないと思います」
鞠莉「確かに安価な料理ばかりかもしれません。でも楽しいんですよ、みんなと一緒におしゃべりして食事するのって。9人もいると大所帯ですからにぎやかで」
鞠莉ママ(…9人、スクォーアイドゥ部のメンバーですか)
鞠莉ママ(みんなと一緒におしゃべりして食事ね…)
鞠莉ママ(…そういえば鞠莉と一緒に食事をするなんていつ以来かしら?)
鞠莉「今日はごちそう様でした」
鞠莉ママ「いえ、良いんですよ。私の方こそ楽しかった」
鞠莉「ありがとうございます。それではおやすみなさい」
鞠莉ママ「おやすみ」
・
・
・
鞠莉「そうえばママはどこに行ったのかしら?」
鞠莉ママ「フィアンセとのお食事どうでした?」
鞠莉「ママ!?どこに行ってたの?」
鞠莉ママ「…少し用事があったのよ(ハァ…今日は疲れた)」
次の日
鞠莉「うーん…朝か」
コン!
鞠莉「誰?窓に小石投げたの?」
ガバッ
鞠莉「えっ!?果南!!ダイヤ!!」
果南「助けに来たよ!!」
ダイヤ「しっ!声が大きいですわ」
果南「さぁ!カーテンをロープ代わりにして降りてくるんだ!」
鞠莉(何だか昔の頃みたいね…)
「そうはさせないよ」
果南「お前は!?」
鞠莉「シンノスケさん!?」
ダイヤ「誰ですの!?」
鞠莉ママ「また会ったねハグー。デスワーは本当に久しぶりだ」
果南「何でここに!?」
鞠莉ママ「君の考える事は予想済みだ。全く、昔っから考える事が変わらない」
ダイヤ「どうします?」
果南「邪魔されても鞠莉は連れていく」
鞠莉ママ「ほう。なら今回も決闘と行こうか」
ダイヤ「決闘!?乱暴な事は止めてくださいまし!」
鞠莉ママ「なら知的な決闘、チェスで勝負だ」
果南「…チェスのルールが分からない!」
鞠莉ママ「なら将棋だ」
果南「良し来た!女子のうちでは私、強いんだよ!」
鞠莉「果南…」
鞠莉ママ「はい、王手」
果南「ま、待った」
鞠莉ママ「もう5回目だよ?」
果南「お願い!」
ダイヤ「もうみっともないから投了なさい!」
鞠莉「果南…」
鞠莉ママ「これで君の二敗目だ。いざ気良くあきらめたらどうだい?」
果南「何度だってあきらめないよ!次は絶対に勝って鞠莉を自由にしてみせる!」
鞠莉ママ「なら私も何度も君を負かせるだけだ」
ダイヤ(将棋はもしかしたら私がした方が良かったかもしれません)
その後、果南は何度も鞠莉ママに勝負を挑んだ。
が、その結果は全て惨敗。
鞠莉ママ(ハグーが強そうな体力や力が必要な勝負は回避するという私のナイスな判断が功を奏したようデスネー)
鞠莉ママ「これで30敗目デスネ。そろそろあきらめたらどうだい?」
果南「ハァ…ハァ…絶対にあきらめるもんか…」
鞠莉ママ「ホワイ?何故ネバーギブアップを続けるんだ?」
果南「昔、鞠莉の気持ちも考えず鞠莉はこうしたいんだと思いこんで私は鞠莉を追いこんでしまった」
鞠莉ママ「今、君がやってる事も同じ事の繰り返しかもしれないよ…」
果南「そうかもしれない…だから私は鞠莉の口から本心を聞きたいんだ。このまま結婚して自分の夢をあきらめるのか?それとも自由に外の世界に飛び出して行きたいのか?って。そのためにはアンタに勝たなくちゃいけない…」
鞠莉ママ「…今日は遅い。次に勝負するのはもう別の機会にしよう」
鞠莉「果南は?」
鞠莉ママ「あの子は帰ったよ。今度こそ私に勝ってみせるって」
鞠莉「うふふ。果南ったら。相変わらず強情ね」
鞠莉ママ「やっぱり私といる時よりあの子の話をしてる時の方が君は嬉しそうだ」
鞠莉「え///そ、そんな事は無いです」
鞠莉ママ「そうかな?それ以外にも君はスクォーアイドゥ部の話をしてる時も良い笑顔をしていた…」
鞠莉「そ、そうかしら…」
鞠莉ママ「…そこから興味を持ってね、君がスクォーアイドゥ部の活動をしている時の動画を見せてもらったよ。とても君は生き生きして輝いて見えた」
鞠莉「あ、ありがとうございます///」
鞠莉ママ「鞠莉さん、君の本心が聞きたい?」
鞠莉「え?」
鞠莉ママ「君は本心から私と結婚したいのかい?」
鞠莉「…」
鞠莉「…ごめんなさい、そういうわけじゃないのかもしれません。でも親の決めた事だから…」
鞠莉ママ「親が決めたから君は結婚するのかい?君の意思はどうなんだ?」
鞠莉「…もうあきらめたんです。親に反抗するのも、自由に生きようとするのも」
鞠莉ママ「どうしてあきらめたの鞠莉?あなたはそんな弱い子じゃないでしょ?」
鞠莉「だって…頑張っても学校は廃校しちゃったし…」
鞠莉ママ「昔のあなたは例えどんな事があってもあきらめる子じゃなかった…」
鞠莉「シンノスケさん?」
鞠莉ママ「あの果南という子はあきらめてない」
鞠莉「果南…」
鞠莉ママ「鞠莉、今のあなたはあなたらしくない」
次の日
果南「31度目の勝負だよ!」
鞠莉ママ「望むところだよ。勝負は何にする?」
果南「2回目と同じ将棋にしよう」
鞠莉ママ「いいだろう…(ハグー程度の脳ミソならチョチョイのチョイね!)」
鞠莉「大丈夫なの果南?将棋なんて?」
果南「任せといてよ」
ダイヤ「私が鍛えましたから」
鞠莉ママ「むむむ…」
果南「長考じゃない?」
鞠莉ママ(ハグーに知的な競技ができるなんて…)
鞠莉ママ(恐るべしデスワー)
ダイヤ「ドヤァ」
鞠莉ママ「ここしかない…」
果南「王手」
鞠莉ママ「参りました…」
果南「…やった!!」
ダイヤ「ここまで鍛えるのに苦労しましたわ…」
果南「さあ、鞠莉。鞠莉はどうしたい?」
鞠莉「私は…」
鞠莉「ごめんなさいシンノスケさん、私はあなたと結婚できません。これからは自由に生きます。私、もっと外の世界を見に行きたいんです」
鞠莉ママ「…仕方が無い、自由に生きたまえ」
鞠莉ママ(シンノスケ・ノハラはクールに去りマース…)
鞠莉「ママ!」
鞠莉ママ「!!」
鞠莉ママ「いつから気づいていたの?」
鞠莉「昨日からよ」
鞠莉ママ「ずいぶん遅いわね…私の男装がそれほど素晴らしかったのかしら?それともあなたはそれほど母親に興味が無かったとか?」
鞠莉「ママ…ありがとう。また一緒にご飯とか食べに行こうね!」
鞠莉ママ「ええ。今度は私もサイゼリヤとかガストとかに行ってみたいわ」
次の日
果南「あれー?鞠莉のフィアンセは?」
鞠莉「もう帰ったわよ」
果南「もう一度勝負したかったのにー。最後、勝ったけど負け越しのままで終わるのは何か悔しくってさ」
鞠莉ママ「ハグー、それじゃあ私と勝負しましょう」
果南「おばさんと?…それは遠慮しとこかな」
鞠莉ママ「何でよ!?」
終わり
また書いて
ええ話や
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