

理亞(鹿角理亞は悩んでいた……)
理亞(私の秘密を、姉にバレないように楽しむにはこの先どうすれば良いのか)
理亞(仮面ライダー好きという、誰にもいえない秘密を背負ってこのまま生きていくのか……!)
理亞(私は、私は仮面ライダーが好き……だけど、それは誰にもバレてはいけない)
理亞(特に姉様には絶対に知られてはいけない。もしも姉様に知られてしまったら……失望されてしまう気がする……)
理亞(だから私は、この秘密を誰からも隠す)
理亞(仮面ライダー好きだということを、姉様から……身の回りの人から、私を知る人から……っ)
理亞(……ぁぁあ、姉様に知られたら軽蔑される……)
理亞(……ぁぁあ、姉様に知られたら軽蔑される……)
理亞(だから私は、姉様に知られないようにできることはなんでもした! まずグッズは一切買わない!)
理亞(映画のパンフレットだけは我慢できなくて……二重底にした机に隠してある」
理亞(それから、パソコンにもログが残らないよう、調べものをした時は必ずログ削除を行なっている)
理亞(そして放送……放送を見るのも、録画したらバレてしまうから録画ができない。毎週日曜日は必ず9時前に起きるようになった)
理亞(だから私は、毎週楽しみにしている仮面ライダージオウの放送も部屋でこっそり見ている)
理亞(そして仮面ライダーを楽しむため、平成仮面ライダーをいま、クウガから見直してる……)
理亞(そのせいで部屋にいる時間が増えて、姉様に心配されたりもした)
理亞(テレビ番組に、仮面ライダーの俳優が出るときに限って、それを見たりするようにもなった。姉様に変に思われた。というか言われた。理亞、あなたこんな人が見たかったの?って。部屋でちょっと泣いた。ライダーやってる時はカッコいいもん)
理亞(でも、ここまではいい)
理亞(ここまでは、まだ誤魔化せる)
理亞(今はWEB配信があるから仮面ライダーはケータイでも見られるし、部屋には仮面ライダー好きがバレるようなものは何も置いていない)
理亞(バレることはない。それはいい)
理亞(だけど、ここに来て私に最大の試練が訪れた)
理亞「…………ベルトがほしい」
理亞(ベルトがほしすぎる……ライダータイムしたい、ベストマッチしたいレベルアップしたいカイガンしたいタイヤコウカンしたい……)
理亞(とにかく、仮面ライダーごっこがしたい……!!)
理亞「仮面ライダーごっこが……したい……ッ!!」
理亞(ビルドはまだ我慢できた……まだ、まだ我慢できた。それでも血涙と吐血を繰り返すような地獄だった……!)
理亞(けど、ジオウは無理、我慢できない! ライダータイムしたい……!」
理亞(でもジクウドライバーを買ったら、ビルドも欲しくなる……ベストマッチしたい……)
理亞(女の子だって変身したい……!!)
理亞(………………本当に困った)
理亞(ベルトを買うお金は、大丈夫。お年玉もあるし、家の店を手伝ってもらった給料もある。その気になればバイトもする)
理亞(でも、ベルトを買ったら姉様にバレる。姉様に失望される)
理亞『理亞……あなた、そんなものが好きなんですか? 情けない、まるで子供ね』
理亞「……」
理亞(そんなことになったら終わり……! 今までの苦労が水の泡……こんな私のプライドが許さない……)
理亞(ぜってぇ許さねえ……)
理亞(……でも、ベルトは欲しい)
理亞(気を紛らわせるために……とりあえずクウガ見よ)
理亞「五代さん助けて……」スマホスマホ
~ある日曜日、理亞の部屋~
理亞「……今週も面白かった」
理亞「さすがディケイド、かっこよすぎた」
理亞(ネオディケイドライバーの予約始まってる……ほしい)
理亞「カメンライドしたい……」
理亞「バンダイ、やり方が汚すぎる……あんなにかっこ良かったら欲しくなって当然)
理亞(……本当にベルトを買うために、真面目にどうするか考えたい)
理亞(けど、周りに仮面ライダー好きな人はいない……そもそも私には友達が数えるほどもいない)
理亞(……いいんだ、仮面ライダーは孤高の戦士。常にたったひとりで戦い続けるヒーローなんだ)
理亞(だから友達は……うぅ、でも最近サブライダー多いし……)
理亞(ぐすん……今日もベルトが欲しい衝動を開封動画で落ち着けさせるしかないのか……)
理亞「……いや、変身ポーズだけでも練習しよう」
理亞「ベルトはないけど、あると思い込むんだ私」
理亞(想像の力で創造するんだ……!)
スレ主はネオディケィドライバー買うのかね?
ノJ(`σ_ σ´リノし「当然。放送が終わって予約開始した瞬間注文した。私に死角はない」
理亞「……えっと、確かYouTubeにジオウの変身講座が」スマホスマホ
理亞「あった」
理亞「……カッコいい」
理亞「よし……ドライバーを装着。しゃきん」
理亞(したつもり)
理亞「次にライドウォッチをジオウの顔に……かちかち」
理亞(したつもり)
理亞「そして、スイッチを押して起動! ジオーウ!」
理亞(したつもり)
理亞「そしてベルトにセット! がちゃん!」
理亞(したつもり!)
理亞「そして、ロックを外して……変身!」
理亞「ライダーターイム!」
理亞(仮面ライダージオーウ!)
理亞「…………カッコいい」( ˘-˘ )ジーン
理亞「だめ、欲しい……よくない、この動画はもう見ちゃダメだ……」
コンコン
理亞「!」
『理亞?』
理亞「な、何? 姉様」
『誰かとお話をしているの? 声が大きかったので、何事かと』
理亞「あ、ええと……ごめんなさい、動画を見てて……興奮しちゃった」
『そう、ならいいんだけど……理亞も動画を見て興奮したりするのね』
理亞「……」
『でも、あまり大声はダメですからね』
理亞「うん……」
理亞「……危ない」
理亞(やっぱりベルトはダメだ……バレる)
理亞(……でも、売り物を眺めるくらいは許してほしい。家電屋さんに行こう……)
理亞(早く映画公開してほしい……待てない……)
~某大型家電量販店~
理亞「……ついた」
理亞「なんで家電屋さんに来るために電車に乗らないといけないの……はあ」
理亞「電車以外の移動手段があれば……」
理亞「……今度必ずバイクの免許取るんだ……」
ライン♪
理亞「……ん? 姉様からライン」
姉様:理亞、どうしてわざわざ家電量販店に? タブレットなら近くのアウトレットでも良かったんじゃないですか? あとお昼ご飯はどうします?
理亞(……さすがに理由を適当に言いすぎたかもしれない。別にタブレットなんか必要ないし……けど、背に腹は変えられない。大義のための犠牲となれ)
Ria:少し遠出したい気分だっただけ。心配いらないよ。ご飯は帰って食べます。
姉様:わかりました。気をつけてね。
理亞(……よし、これでいい。遠出と言ってもうちから6キロくらいの場所……それほど遠いわけじゃない)
理亞(お昼ご飯の時間までまだまだ時間がある。それまで……時間の許す限り眺めて帰ろう……!)
理亞(だってベルトがこんなにいっぱいあるんだから……!)
・・・
理亞「……あ、あった」
理亞(おお……すごい、いっぱい置いてる!)
理亞(ジクウドライバー……6400円くらい。余裕で買える……買いたい……)
理亞「……あ、お試し台」
理亞「お試し台……まだあったんだ……!」
理亞「……」キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ
理亞(お子様はいない……今がチャンス)
理亞(……すごい、これがお試し台のジクウドライバー……これで変身できるんだ)
理亞(腰にはめられないから本物じゃない……けど、これで……!)
理亞(動画で見たとおり……ちゃんとロックを外して回せるようになってる)
理亞「……ゴクリ」
カチャ
理亞「ぁ……」
理亞(ロックを外して……一回転……!)
ガシャン
『ライダータイム!』
理亞「ふぁあぁぁあぁあああ…………」( ˘-˘ )ジーン
理亞「ぅぅ、うぅ……カッコいい……初めて触った……!
理亞「かっこいい……もう一回」
ガチャッ
『ライダータイム!』
理亞「うぉおぉ……なんかいけそうな気がする……!」
ガチャッ
『ライダータイム!』
理亞「好き、尊い、マジ最高……動画に撮ろう……!」●REC
ガチャッ
『ライダータイム!』
理亞「……宝物にしよう」
理亞「……もう一回」
「おねーちゃんまだ?」
理亞「……はっ!」
理亞(し、しまった……いつのまにか私の後ろにお子様の行列ができていた…… !)
理亞(うう、でも……まだ遊びたい……)
理亞(けど……ダメだ。仮面ライダーは子供のヒーロー。私が独占してしまうと仮面ライダーの矜持に反する)
理亞(ここは素直に去るべき……というか、流石にはしゃぎすぎた)
理亞(周りの目を気にしなさすぎる……私のよくない癖。ここはお子様に譲って、また並び直せばいいだけ。なぜなら、私は通りすがりの仮面ライダー好きだから)
理亞(同じ仮面ライダー好きには優しくあるべき)
理亞「ごめんね、どうぞ」
「ありがとー!」
理亞「……」
理亞(……待って)
理亞(あのお子様、腰にベルトを巻いてる……)
理亞(腰にベルトを巻いてるのに、ベルトのお試し台で遊ぶの!?)
理亞「くっ……」
理亞(ずるい……なんてずるい! いくらお子様といえど、その横暴な行いは許せない……)
理亞(……でも、ダメだ理亞。私が持っていないからって、お子様に怒りを向けるのはおかしい話)
理亞(ラブアンドピース、仮面ライダーは愛と正義の使者)
理亞(私もそうであるべき)
理亞(順番を守って遊ぶんだよ、お子様)
ぅゆ‥おねえちゃぁ、ルビィね新しいベルトほしい
ンマァーーーーー!!!!お姉ちゃんが買ってあげますわぁ!!
理亞(……よし、ベルトを見よう)
トテトテ
理亞(それにしても、やっぱり大型の家電屋さんなだけあって、ベルトがたくさん)
理亞(最近再販されたWドライバーやディケイドライバーもちゃんと置かれてる)
理亞(ほしい……お前の罪を数えろしたい……)
理亞(……ほしすぎる)
理亞(大学生になったら一人暮らしをしていっぱいベルト買おう……)
理亞(でも、今欲しい……数年後とかになると値段が大変なことになるのはYouTuberの動画でよく知ってる)
理亞(出来れば今のうちに集めておきたいけど……うぅ、困った……)
理亞「はっ……こ、これは」
理亞(フィギュアーツ! しかも復刻版のファイズと鎧武……こっちは真骨彫のディケイド……)
理亞(っ……ダメダメ、フィギュアはもっとダメ。フィギュアを買うならちゃんとした棚も欲しいし、今はベルト……!)
理亞(大丈夫、自制できてる私、えらい。あとで自分へのご褒美に仮面ライダーグミを買おう)
pikon!
理亞「ん、また姉様からライン……じゃない、これは……ツイッターか」
@lily_blossom
こんにちは! りありあさん! 今日の仮面ライダー見ましたか? 面白かったですね!
理亞「……ふふ」
理亞(この人はツイッターで知り合った仮面ライダー好きの人。年齢は私のひとつ上らしい)
理亞(そもそもSNSは連絡のためのラインしかしていなかったけど、仮面ライダーの話ができる友達が欲しくて、ルビィに色々教えてもらいながらツイッターを始めた)
理亞(とはいえ、私の性格上、人と仲良く話したりするのが苦手……とても苦労した。仮面ライダーの話がしたくてリプライを送っても無視されてばかりだったから)
理亞(そんな時、初めて私に返事をくれたのがこのリリーさん)
理亞(対面でもネットでも、他人との会話が苦手な私とも真面目に話し合ってくれる優しい人)
理亞(私の仮面ライダー好きを唯一認めてくれる、大切な友達だ)
@ria_ria
もちろん見ました。すごくカッコよくて一人で悶えていました。
今はベルトが見たくて家電屋さんに来てます。姉にバレてはいけないから買えませんが……さっき、お子様と一緒に並んでお試し台のジクウドライバーで遊びました。
理亞(……よし)
理亞(いつかリリーさんにも会ってみたい……文字だけじゃ話せる内容や量に限界がある)
理亞(この人と一緒に変身ポーズしたい……まあ、私がそんな、他人とうまくやりとりできるとは思えないけど)
理亞(……さてと、そろそろ時間もいい頃合いだし帰らないと)
「ままー! これとこれほしい!」
「もう、この前買ったばかりでしょ?」
「これは違うやつなの! これがタイムマジーンとオーズアーマーで、こっちはディケイドアーマーになれるの!」
「仕方ないわねえ、一足早い、ママからのクリスマスプレゼントね?」
「やったー!」
理亞「……」
理亞(羨ましい…………)
~理亞の部屋~
理亞「……」
pikon!
理亞「!」
@lily_blossom
わあ、いいですね! 私も録画したものを見直しながら、ベルトで遊んでます~
いつかお姉さんも許してくれるといいですね!
理亞「羨ましい……」
@ria_ria
すっごく羨ましいです!
それと、姉にはダメと言われたわけじゃなくて、私がバレるのが恥ずかしいから隠してるだけなんです(笑)
@lily_blossom
なるほど、、、そういう事情があったんですね、、
そうだ! もしよかったら一度、オフ会みたいなことしませんか? 私のベルトでよかったら持って行きますよ!
理亞「……えっ」
@ria_ria
え、ほんとですか?! でも、大丈夫なんですか?
@lily_blossom
大丈夫!
でも、ベルトをたくさん持って移動はできないから、、、私の地元になってしまうんですけど、
@ria_ria
問題ないです!行きます!
そういえば、リリーさんのお住まいってどこでしたっけ?
@lily_blossom
静岡県の沼津になるんですけど……りありあさんは?
理亞「……静岡、沼津?」
理亞「……沼津、静岡」
理亞「…………世間って狭い」
@ria_ria
私は北海道の函館です。
実は沼津に私の知り合いがいるんです。
すごい偶然ですね。
@lily_blossom
北海道!?すごく遠い……
ほんとですか!? わあ、ほんとに偶然ですね!(笑)
それじゃあ、もし良ければ、そのお友達に会うついでくらいに私とお茶でもどうでしょうか?
理亞「……」
理亞「……姉様、ちょっと相談が……」
~12月22日(土)~
理亞「……ついた」
理亞「姉様に相談したら快く承諾してくれた……泊まるのもルビィに頼んだら受け入れてくれた)
理亞「この忙しい時期に、本当にありがたい……そのぶんお土産も奮発したから、多分大丈夫。それから、リリーさんと遊んだらルビィにも自慢しよう」
理亞(で、えっと……リリーさんは赤と青の靴を履いてコートを着たスタイルでいるって言ってたっけ。さすが仮面ライダービルド好き)
理亞(……でも、まだ見当たらない。私の方が早かったみたい)
理亞(私は……コスプレはできないから、私の見た目をそのまま伝えた)
理亞(少しでも分かりやすいように、露店で買った仮面ライダージオウのおめんをカバンにつけてる)
理亞(これくらいなら、机の中に入れておけば姉様にもバレないし大丈夫のはず)
理亞(……姉様、私、ひとりで沼津にこれた。帰りのお土産、楽しみにしてて)
理亞(……さてと、今日のプランを再確認)
理亞(リリーさんと合流したら、まず映画を観に行く。今日公開の平成ジェネレーションズFOREVER)
理亞(そのあと、リリーさんにベルトで遊ばせてもらう……考えただけでも幸せすぎる)
理亞(ただしミッションがひとつ……私がSaint Snowの鹿角理亞であるとバレてはいけないこと)
理亞(スクールアイドルをしてる私は、少しは……知名度があるはず。いくらこの沼津でも、多分。雀の涙かもしれないけど、あってほしい……)
理亞(ともかく、道行く人にバレない可能性が万に一つもないとは言い切れない)
理亞(だからわざわざ髪型も化粧も少し変えた)
理亞(この万全の状態、絶対に負ける気がしない)
理亞(何より1番最悪なのがAqoursメンバーに遭遇すること)
理亞(黒澤姉妹は……まだ、マシ。今日泊まらせてもらうから、大丈夫のはず)
理亞(……1番面倒なのが高海千歌およびその周辺人物)
理亞(特に高海千歌は姉様とよく電話してる。あれに見られることだけは避けなくちゃいけない)
理亞(そしてその周りの人物……渡辺曜と桜内梨子。ここもやばい、高海千歌と常に一緒にいるから言いふらされたら終わる)
理亞(もし見られたら土下座でもなんでもして黙っててもらわなくてはいけない……こんなことプライドが許さないけど、背に腹は変えられない)
理亞(戦わなければ、生き残れない……命、燃やしてみせる)
理亞(……うん、これで大丈夫。北海道のお土産も買ってきた。六花亭、最強。白い恋人なんて安直な発想じゃない)
理亞(あとは、私がうまくコミュニケーションを取れれば……それで大丈夫)
理亞(仮面ライダーの話題になれば私はハイパームテキ。絶対負ける気がしない)
理亞(だから、リリーさんがいつ来ても大丈夫。何も怖くない、私はいつでも準備ができt)
「あの」
理亞「はひゃぁひはははははひい!?」ビクーン
「わ、ご……ごめんなさい驚かせてしまって!」
「そ、その……ええと、間違っていたらすみません……りありあさん、ですか?」
理亞「あ……も、もしかして、リリーさ……ん……」
理亞「……え?」
「……え……っ」
理亞「……な、なんであなたが……」
「え、っ……と……」
理亞「……桜内梨子」
梨子「……り、理亞ちゃん……だ、よね……? ……こ、こんにち……は?」
理亞「…………」
梨子「ま、まさかりありあさんが理亞ちゃんだったなんて……私、びっくりしちゃいまs」
理亞「誰にも言わないでください!!」ドゲザ
梨子「え、ちょっ……ど、どうしたの!!?」
理亞「お願いします誰にも言わないでくださいお願いします高海千歌には特に言わないでください本当にお願いします黙っててください」
理亞「何でもしますお金ならたくさん持ってきてますから言われただけ払いますからどうか勘弁してくださいお願いしますお願いしますお願いします!!」ペコペコ
梨子「り、理亞ちゃん落ち着いて!」
理亞「ぅ、うううう……」
梨子「だ……誰にも言わないから、落ち着いて……顔を上げて、ね?」
理亞「さ、桜内梨子……っ」
梨子「大丈夫!」d(‘∀’*)グッ
理亞「ぅあ……っ……ご、五代さん……!!」
梨子「絶対、大丈夫」
梨子「大丈夫だから、とりあえず……目立つから、普通にしてほしいです……」
理亞「……はっ」
ザワザワ……ザワ……
理亞「……///」バッ
パッパッ
理亞「……ごめん」
梨子「あ、あはは……」
梨子「改めまして、桜内梨子です。会うのは……函館のお祭り以来、だよね? あってるかなぁ?」
理亞「……」コクン
梨子「よかった……ええと、りありあさん、で間違いない……?」
理亞「……あってる。そっちは、…………り、リリー……さん」
梨子「うん……そうです。ほら、言ってた通りの……コートと、赤と青のスニーカー」
理亞「……! さすがのビルド好き……カッコいい……」
梨子「ぅえっ!? そ、そんな……///」
梨子「ほんとは万丈さんの格好が良かったんだけど……やっぱり好きな人の真似はできなくって……///」
理亞「……わかる。私も全ライダーの誰かのコスプレをしてって言われたら困る。みんな好きだから、私がそのコスプレをしたら汚れてしまう気がする」
梨子「そ、そうなの! 本当に……そうなの……戦兎さんの格好もね、最初はとっても不安だったんだ……」
理亞「とりあえず写真撮らせて。あなたは似合ってる。すごくいい」
梨子「え、ほ、ほんとに!?」
理亞「出来ればベルトも装着して」
梨子「こ、ここは恥ずかしいよ~!///」
理亞「ぐぬぬ……じゃあ、後で」
梨子「人の目がない場所だったら……あ、そうだったね」
梨子「りありあさん……理亞ちゃんが見たがってたベルト、全部は持ってこれないけど、ジクウドライバーとビルドドライバーだけ持ってきてるんだよ」
理亞「!!」
梨子「ほら、カバンに……」ジーッ
理亞「……」
理亞「……ほんものだ」
梨子「あとで好きに触っていいからね」
理亞「桜内梨子……」
梨子「ふふ、それじゃあ映画……行こっか? 」
~映画館~
梨子「高校生2枚で~……」
理亞(……ミッションが初手で詰められてしまった。桜内梨子がああ言ってくれたからなんとか詰めろ逃れできた気はするけど、どうなんだろう)
理亞(あとでもう一度釘を刺しておく必要はあるかもしれない……なんとしても姉様にだけはバレちゃいけないんだ)
理亞(ただ、まだ相手が桜内梨子だったのが救い)
理亞(あんまり騒ぐタイプじゃないし、相手の嫌がることはしないはず。この人はまだ信用できる。高海千歌は必ず姉様にバラす。あの人間だけは信用ならない)
理亞(でもリリーさん……桜内梨子は、五代さんのポーズで答えてくれたから、絶対大丈夫。この人は約束を守る、あのポーズにはそれだけで信じるに足る価値がある)
梨子「理亞ちゃん?」
理亞「ぁ……ん」
梨子「チケット買えたよ。入場までもう少し時間あるし、売店でも見よっか」
理亞「うん」コクン
・・・
梨子「よかった、まだグッズいっぱいあるね」
理亞「……!」
理亞(あれはパンフレット……ほしい……!)
理亞(パンフレットほしい……買おうか? でも、部屋に置いたらバレる……いや、机の中なら平気のはず)
理亞(私が見始めたエグゼイドからのパンフレットも全部机の中に入れててまだ見つかってないから大丈夫……よし、買おう)
梨子「あ、ねえねえ。ライドウォッチのガチャポンがあるよ」
理亞「……!」
理亞「……だめ、それは買えない」
梨子「え……どうして?」
理亞「物は、姉様に見つかる可能性が浮上する……それにライドウォッチを手に入れてしまったら、ジクウドライバーまで欲しくなる」
梨子「そっか……聖良さんに見つかると、良くないんだったっけ」
理亞「……欲しいけど、仕方ない。代わりに桜内梨子が回してみてほしい」
梨子「……うん、わかったよ」チャリンチャリン…
ガチャッガチャッ
ゴロン…
理亞「……ライドウォッチ、やっぱり想像より大きい」
梨子「これは……電王のライドウォッチだね。今回の映画でも登場するみたいだし、ちょっと運命感じちゃうね」
理亞「……」
>>34
ノJ(`σ_ σ´リノし「ライダーバトルが好きならファイズとか、平成2期の鎧武とかオススメする」
ノJ(`σ_ σ´リノし「変わり種扱いされるけど、エグゼイドもオススメ。正直全部オススメって言いたい」
ノJ(`σ_ σ´リノし「あと雰囲気がポップな感じでとっつきやすいのはやっぱり電王だと思う」
サンクス
とりあえずファイズ借りてくるわ
>>44
ノJ(`σ_ σ´リノし「ストーリーはちょっとクセがあるけど、面白いと思う」
ノJ(`σ_ σ´リノし「アクションもすごくかっこいいから、無駄な時間を過ごさせることはないはず!」
梨子「……理亞ちゃん」
理亞「なに?」
梨子「これは……あなたが持ってるべきなんだと思う」
理亞「え……?」
梨子「なんだかそんな気がするの。でもあなたはまだドライバーを持ってないよね」
梨子「だから、理亞ちゃんがジクウドライバーを手に入れたとき、正式にこれをあなたに託します」
梨子「それまで、私が預かっておくね」
理亞「……」
理亞「レジェンドの真似?」
梨子「は、恥ずかしいから言わないで……///」
理亞「でも、私がもらうなんて……」
梨子「大丈夫!」d(‘∀’*)
理亞「……桜内梨子」
梨子「これは、私から……りありあさんへのプレゼント。初めてのオフ会の、記念」
梨子「ちょっと安いけどね、えへへ」
理亞「……ありがと。必ずもらいにくる」
梨子「うんっ」
『ただいまより、仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVERの……』
理亞「あ」
梨子「入場始まったね。パンフレットとドリンク買って入ろっか」
理亞「うん!」
~上映後~
理亞「……」
梨子「……」
りありこ『仮面ライダー最高……!!』
理亞「来てよかった……良かった……っ」
梨子「うん、うん……いつもひとりで楽しんでたから、一緒に楽しめて良かったよ……っ」
理亞「ありがとう桜内梨子……私、今日のことは忘れない!」
梨子「うふふ、大袈裟だよ理亞ちゃんったら」
理亞「もう心火が燃え尽きた……」
梨子「か、かずみん……!」
理亞「命、燃え尽きた……」
梨子「タケル殿……っ」
理亞「……この余韻から抜け出せない」
梨子「わかるよ……上映が終わった後の静かなシアターでひとりで余韻に浸るの、結構好きなんだ」
理亞「わかる……」
梨子「分かってくれて嬉しいな……ふふ」
理亞「……私、電王見直す」
梨子「いまYouTubeの東映チャンネルで毎週金曜日に無料配信してくれてるよ」
理亞「うん……来週も楽しみ」
梨子「Wも見てる?」
理亞「もちろん」
梨子「理亞ちゃん本当にいい子だねっ」
理亞「桜内梨子も、さすが」
( ‘ω’)b グッ d(‘∀’*)
梨子「エンディングに流れてた、歴代主題歌のリミックスもかっこよかったねっ」
理亞「クウガからのジオウで興奮した……!」
梨子「あ、そうだ……理亞ちゃん」
理亞「ん?」
梨子「……もしよかったら、カラオケ行かない?」
理亞「いく」
梨子「W-B-Xでデュエット……しない?」
理亞「する!」
梨子「仮面ライダーメドレー……」
理亞「する!!」
梨子「行こっか!」
理亞「うん!」
~カラオケ~
ガチャッ
梨子「わあ、広いルームだ」
理亞「……パーティルームみたい」
梨子「そうなのかなぁ? でも舞台はないし……普通に広いだけかも」
理亞「……ふむ」
梨子「あ、そうだ」
理亞「?」
梨子「ベルト、触るよね?」
理亞「……!! 先に桜内梨子の写真撮らせて!」
梨子「あ、うん……えっと、どうすればいい?」
理亞「ベルト装着して、フルボトルを……振るやつ」
梨子「う……うん……恥ずかしいね、ちょっと///」
理亞「……お願いします」
梨子「わ、わかりました」
梨子「ベルトを装着して……」カチャカチャ
梨子「電源を、オン」カチ
キュイーン
理亞「光った……!」
梨子「そしてこれがラビットフルボトルと、タンクフルボトル」
理亞「おお……!」パシャパシャ
梨子「フルボトルは降れば振るほどパワーアップ!」シャカシャカシャカシャカ
理亞「おおおお……!!」パシャパシャパシャパシャ
梨子「そしてドライバーに装填!」カチャカチャ
ラビット!! タンク!!
ベストマッチ!
りありこ『ベストマッチキターーー!』
理亞「ぁ……///」
梨子「えへへ……///」
梨子「それじゃあハンドルを回して……」ガシャガシャ
────Are you ready?
梨子「……変身!」バッ
────鋼のムーンサルト! ラビットタンク!
理亞「いえーい!」パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
梨子「勝利の法則は……決まった!」ビシッ
理亞「ふぁぁあああ……!!!」パシャパシャ
梨子「……こ、こんな感じ……///」
理亞「すごい……! 桜内梨子、かっこいい、本物!」
梨子「わ、私は本物じゃないよ~……///」
理亞「次は動画で!」
梨子「ど、動画!? うぅ……わ、わかりました……///」
ノJ(`σ_ σ´リノし「これでおしまい」
ノJ(`σ_ σ´リノし「秘蔵の写真……>>41のやつ。見て」
https://i.imgur.com/8EygOSK.jpg
ノJ(`σ_ σ´リノし「息抜きに趣味丸出しのを書いたらこうなった。楽しかった」
ノJ(`σ_ σ´リノし「読んでくれてありがとう。仮面ライダーよ、永遠なれ」
この娘たちだったらDX版で普通にベルト巻けるんだろうな。
自作せずに済んでちょっとうらやましい。
理亞「やばい……かっこよすぎてやばいしか言えない……語彙が死んでる……」
梨子「次は、理亞ちゃんが……やる?」
理亞「……いいの?」
梨子「もともと、理亞ちゃんに触らせてあげるために持ってきたんだもの。ジクウドライバーか、ビルドドライバーしか今はないけど」
理亞「……ジクウドライバーで」
梨子「うんっ」
梨子「それじゃあ後ろを向いて?」
理亞「う、うん」
梨子「ちょっと失礼するね」カチャカチャ
理亞「うぉ……」
梨子「電源を入れて……」カチ
ジクウドライバー!
理亞「喋った……!」
梨子「ふふ。よし、装着できたよっ」
理亞「……思ってたより大きい」
梨子「そうだね、テレビの役者さんたちはみんな背が高いから小さく見えるけど、私たちにとっては大きいよね」
理亞「……すごい、本物。カッコいい、お試し台じゃない……本物……」
理亞「いま、私の腰にベルトが……」
梨子「さあ、我が魔王……もう使い方はお分かりですね?」
理亞「!! …………うん」カチャ
理亞「……」カチカチカチカチ
ジオウ!
理亞「……光った」
理亞「桜内梨子……写真撮って」
梨子「うん、いいよっ」
理亞「……ベルトにセット」ガチャッ
チッチッチッチッ……
理亞「……待機音、かっこいい。テレビと一緒だ……」
梨子「似合ってる似合ってる」パシャパシャ
理亞「……ロックを外し、腕を大きく回して……ポーズ」
理亞「ここで……変身!」
ガシャン!!
────ライダーターイム!
────仮面ライダージオウ!
理亞「……」
梨子「全ライダーの力を受け継ぎ!」
理亞「!」
梨子「時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ。まさに誕生の瞬間である……!」
梨子「カッコいい変身だったよ理亞ちゃんっ! ポーズも完璧で……すごいねっ」
理亞「……」
梨子「理亞ちゃん……?」
理亞「ぅ、うぅぅぅっ……」グスグス
梨子「り、理亞ちゃん!? どうしたの……理亞ちゃん!」
理亞「か、感動して涙が……っ」
梨子「理亞ちゃん……」
メイ*σ _ σリ「祝え! って言い忘れた……」
理亞「生まれて初めて、本当に変身できた……ポーズの真似じゃなくて、本当にベルトで……っ」
理亞「嬉しい……ありがとう、桜内梨子……っ」グスン
梨子「それじゃあ次は、一緒に変身しようよ。映画みたいに」
理亞「……!! したい!」
────Are you ready?
りありこ『変身!!』
─────仮面ライダージオウ!
─────鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イェーイ!
理亞「…………で、できた! 同時変身! 映画みたいに、ジオウ2話みたいに……できた!」
梨子「うん、うんっ! 私も誰かと同時変身するのが夢だったの……ありがとう、理亞ちゃん」
理亞「ううん、お礼を言うのは私……ありがとう桜内梨子。全部あなたのおかげ」
梨子「じゃあ、お互い様……ってことかな?」
理亞「……かもしれない」
梨子「それじゃあ、歌おっか!」
理亞「待ってもう少し遊ばせて……」
梨子「あはは、うん♪」
理亞「あ、アーマータイムもしたい……」
梨子「そうだね、さっきガチャポンで当たった電王使ってみよっか!」
理亞「使う!」
梨子「ビルドライドウォッチもあるよ!」
理亞「使う!!」
・・・
理亞「……たのしかった」
梨子「あはは……私もこんなにはしゃいだの、久しぶりかも」
理亞「ありがとう、桜内梨子」
梨子「ううん、こちらこそだよ。理亞ちゃん」
理亞「……今日は一生の宝物。絶対に忘れない」
梨子「ふふ、大げさだなぁ」
梨子「……そうだ。また時間あるかな?」
理亞「えっと……まだ、平気。ルビィの家に泊めてもらうことになってるけど」
梨子「それなら……大丈夫かな」
理亞「?」
梨子「私のおうち、来ない?」
理亞「……え?」
~梨子の家~
理亞「……女の子の部屋って感じ」
梨子「は、恥ずかしいけど……」
理亞「! あの棚……」
梨子「うん……全部仮面ライダーのベルト。平成一期は持ってないのもあるけど……平成2期は全部あるよ」
梨子「今度出るCSMアークルとVバックルは注文済みだから……あとはアギトのオルタリングと、ブレイドのブレイバックルと、響鬼の音叉かなあ、持ってないのは」
理亞「すごい……宝の山だ……」
梨子「は、恥ずかしいな……///」
梨子「あ、千歌ちゃんにバレたらまずいよね。カーテンと窓閉めとくね」シャーッ
梨子「……これで少しはマシなはず、だよね」
理亞「ありがとう」
梨子「ううん。それより……これ、CSMのオーズドライバー! ずっと見せたかったの!」
理亞「……!!!!」
梨子「映司、これ使え!」
理亞「おおぉおぉおお……!!」
梨子「ふふ、変身する?」
理亞「する!!」
梨子「ファイズギアもあるよ」
理亞「ファイズ……カッコいい! カイザは? カイザ、カイザ!」
梨子「もちろんここにあるよっ」ガチャッ
理亞「ふおおぉ……やばい、変な声出た……」
梨子「……変身する?」
理亞「……したい」
梨子「してもいいよ!」
理亞「やったー!」
理亞「……はっ」
理亞「子供っぽい反応だった……///」
理亞「高校生にもなって、恥ずかしい……」
梨子「それは違うよ、理亞ちゃん」
BGM:https://youtu.be/IgSwPoyETYo
理亞「……え?」
梨子「好きなものの前では、子供になってもいいんだよ」
梨子「私たちは、子供たちのために戦う仮面ライダーを愛してる。その愛するものに守られている私たちも、また子供なんだよ」
梨子「大人が仮面ライダーを愛してはいけないと言うのなら、私は一生子供でもいい!」
梨子「変身!」
BGM:https://youtu.be/hi3MqSo3zrY
理亞「桜内梨子……」ジーン
梨子「……なんて、ね?」
理亞「……うう、ありがとう……っ」
※このあとめちゃくちゃ変身遊びした
・・・
理亞「やばいやばいやばい真理が……!」
梨子「大丈夫、すぐにたっくんが……」
理亞「アクセルフォームカッコいい……!」
梨子「この3秒残して余裕の構えで迎え撃つのが本当にかっこいいんだ……っ」
理亞「そしてサイガを倒す時のエクシードチャージ……!」
梨子「ファイズエッジがサイガに触れてからチャージするのが本当にかっこいいんだよね……」
理亞「そう、ほんとに、ほんとに!」
梨子「パラロス見終わったら次はどうしようか……さらば電王? 21のコアメダル? G4?」
理亞「……全部捨てがたい」
梨子「すごくわかるよ……」
梨子「明日も沼津にいるんだよね?」
理亞「いる、けど……明日はルビィとお出かけしようって」
梨子「そっか……いつまで、いられるのかな?」
理亞「……ルビィと出かけて、その夜には……帰らないといけない。クリスマスはうちの店も忙しいから」
梨子「……そっ、か」
理亞「……ごめん」
梨子「ううん、大丈夫! むしろまた会う時の楽しみができるよっ」
理亞「桜内梨子……」
梨子「今度は私がそっちに会いに行くね。また……ベルト持って」
理亞「そ、それは申し訳ないから……次は、私も用意する」
梨子「……買うの?」
理亞「……買い、たい」
梨子「あはは、まだ悩み中だよね……」
理亞「でも、いつか必ず」
梨子「うんっ」
理亞「とりあえず時間の許す限りG4見よう」
梨子「……いいね……!」
理亞「ほんとにありがとう、リリーさん。あなたに会えてよかった」
梨子「……うん! 私もとっても楽しかったよ、りありあさんっ」
~12月24日、函館、理亞の部屋~
理亞「……」
理亞「…………沼津、たのしかった」
理亞「桜内梨子と仮面ライダーを堪能して、次の日はルビィとデート……幸せだった」
理亞(明日はクリスマス。許されることなら、ベルトをお願いしたい……)
理亞(けど……ダメ。それはできない)
理亞「……許されてはいけない)
コンコン
理亞「ん……姉様?」
『理亞、今日は予定ありますか?』
理亞「ううん、何もないけど」
『それじゃあ……お昼の営業が終わったら、おもちゃ屋さんに付き合ってくれますか?』
理亞「……おもちゃ屋?」
『はい』
~某おもちゃ屋さん~
理亞「おもちゃ屋さんなんて、何年ぶりだろ……」
聖良「親戚の子のクリスマスプレゼントを買っておいてとお願いされたんですよ」
理亞「……なるほど」
聖良「予算はお兄ちゃんが1万円、妹ちゃんが5000円程で、ええと……仮面ライダー? のおもちゃがいいそうで」
理亞「……」ピクッ
聖良「私ひとりじゃ絶対に分からないから、理亞に来てもらったんです。ごめんなさい、せっかくの暇を」
理亞「大丈夫。姉様とお出かけ、楽しい」
聖良「ふふ、よかった。あとでお昼食べにいきましょう」
理亞「うん」
聖良「……っと、ここですか」
理亞「姉様、これは仮面ライダーじゃなくてスーパー戦隊」
聖良「……違うの?」
理亞「違う」
聖良「同じヒーローでは……」
理亞「ぜっっっぜんおなじじゃない!」
聖良「えっ」ビクッ
理亞「仮面ライダーとスーパー戦隊は全然違う。何もかも違う。スーパー戦隊は基本的にチームで行動するヒーローだけど仮面ライダーはたったひとり、または相棒が一人くらいの単独行動なの。どっちも良さはあるけど、とにかく違う」
聖良「は、はあ……わかりました」
聖良「……詳しいのね、理亞」
理亞(やってしまった……! なんとか誤魔化さないと……)
理亞(えっと、ええと……うぅ、仕方ない……)
理亞「と、友達が……好きで、よく聞かされるから」
聖良「そう……ヒーロー物が好きな友達なんですね」
理亞「そ、そうなの」
聖良「では、その友達にも来ていただければよかったですね」
理亞「……」
聖良「じゃあ仮面ライダーはどこに……」
理亞「仮面ライダーはむこうのコーナー。案内が出てた」
聖良「では向かいましょう」
聖良「それにしても、仮面ライダー……まだやってるんですね」
理亞「やってる。今年で平成になって20作目」
聖良「そうなの? 本当に長く続いてるのね」
理亞「今年の仮面ライダーはジオウと言って、時間の王、文字の王って色々な意味があるらしくて、時計がモチーフになってるの」
聖良「……」
理亞「…………って、友達が言ってた」
聖良「なるほど……理亞はその子の話をよく聞いてるんですね」
理亞「う、うん」
聖良「ふふ、好きなものには全力……ということですか。理亞にそっくりね」
理亞「……」
理亞(ごまかせた……? 危ない……)
理亞(ボロを出しすぎ、私。これじゃ本当に軽蔑されてしまう……とにかく落ち着いて静かにしていよう)
理亞(話したくなる気持ちをSELF CONTROL!するんだ……私)
聖良「それじゃあ、仮面ライダーのベルトを買いましょう。でもそれを買っても、まだ予算はあるはずだから……」
聖良「理亞、他には何を買ってあげればいいと思いますか?」
理亞「……え、私に聞くの?」
聖良「はい、友達の話をよく聞いているあなたなら、分かるかと思って」
理亞「……えっと」
理亞(……言っていいのかな。良い、のかな……うん、従兄弟の子供のためだ。私は友達に聞いた知識で答えるだけ、そういう設定)
理亞(大丈夫、なんかいけそうな気がする)
理亞「普通に遊ぶなら、武器とか……他にも遊ぶのに使う物がいいと思う」
聖良「武器ですか……」
理亞「そう。4500円くらい」
聖良「なるほど……ああ、でもそれじゃあ予算を超えますよ。1万円以内に収めるように言われてるから……」
理亞「……むう」
理亞「だったら、ライドウォッチがいいと思う」
聖良「ら、らいど……?」
理亞「仮面ライダーの変身とは別に使う、フォームチェンジするためのアイテム。歴代仮面ライダーの力が使える」
聖良「はあ……」
理亞「とりあえず去年の仮面ライダービルドと、一昨年のエグゼイドでいいと思う」
聖良「び、びる……えぐ……?」
理亞「これでだいたい予算以内だと思う」
聖良「な、なるほど……だいたいわかりました」
聖良「それじゃあ……仮面ライダーのおもちゃはあなたが選んで買っておいてもらえますか?」
理亞「え、私?」
聖良「私は妹ちゃんのものを選んできます。包装もしてもらうのに時間かかりますし、先に買って包装してもらってください」
理亞「……わかった」
理亞(いいなぁ……私も欲しい……)
理亞(私も変身したい……桜内梨子のとこ行きたい……)
聖良「理亞? りーあー?」
理亞「はっ……な、なに?姉様」
聖良「お姉ちゃん、先に行きますからね?」
理亞「う、うん」
理亞(うう……仮面ライダー……)
聖良「……」
~夜~
聖良「ふう……親戚が取りに来たので渡しておきました」
理亞「そっか」
聖良「ありがとう理亞、あなたのおかげで助かりました。ちゃんと喜んでくれると思います」
理亞「……うん」
聖良「さ、あなたも早く寝るのよ? サンタさん、悪い子のところには来ませんよ」
理亞「姉様、私もう子供じゃない。それにサンタさんの正体も知ってる」
聖良「ふふ、そうでしたね」
理亞「……おやすみ、姉様」
聖良「うん、おやすみ。理亞」
理亞(……寝る前に桜内梨子にライン返しとこう)
理亞(メリークリスマス……っと、送信)
~翌朝~
理亞「ん、むう……」モゾモゾ
理亞「ふあぁ……」
理亞「さむい……」ブルッ
ガサッ
理亞「……ん?」
理亞「……なに、これ」
理亞「プレゼント……?」
理亞「…………この大きさ、もしかして」
・・・
聖良「……よし、朝ごはんの準備完了……と」
バタバタバタ
聖良「あら、起きてきたわね」
ガラガラガラ
理亞「姉様!」
聖良「おはようございます、理亞」
理亞「あ……おはよう」
理亞「姉様、これ!」
聖良「あら、クリスマスプレゼントですか? よかったですね理亞、サンタさんが来てくれるなんて」
理亞「姉様……誤魔化さないで」
聖良「ふふふ、あなた……仮面ライダーのおもちゃ、欲しがってたでしょ?」
理亞「……」
聖良「隠さなくていいのよ? 部屋から時々声、聞こえてましたし」
理亞「……えっ!?」
聖良「変身! って」
理亞「ぁ、ぅう……さ、最悪だ……」ガクガク
理亞「私は、私はきっと今日という日を一生後悔する……」
聖良「どうしてですかっ!? 誰も貶してなんかないですよ!」
理亞「でも、こんな子供みたいな趣味……姉様の妹として……っ」
聖良「いいじゃないですか、好きなものは好きなんですから。誰も責めませんよ」
理亞「姉様……」
聖良「だから、隠さなくていいんです。欲しかったんでしょう?」
理亞「……うん」
聖良「ふふ、よかった。ねえ、変身してみせて?」
理亞「……姉様」
聖良「単4電池もあります。箱に書いてありましたから」
理亞「姉様……っ」ギュウッ
聖良「よしよし……今までよく我慢しましたね」ナデナデ
理亞「うぅ、うっ……ばれたら、ばれたら軽蔑される、って……おもって……っ」
聖良「誰もそんなことしないのに……お姉ちゃんだって、たまに早起きしたらプリキュアとか見たりするんだから」
理亞「しってる……プリキュアは見てるのにそのあとの仮面ライダーは知らないんだ」
聖良「9時になる前には店の支度を始めますからね……」
理亞「でも、趣味じゃないし」
聖良「まあ、それはそうだけど。ほら、早く開けて開けて」
理亞「う、うん……!」ガサガサ
ガサッ……
理亞(念願の、念願の仮面ライダーグッズ……変身ベルト……!)
理亞(しかも姉様が、姉様がくれた……嬉しい、嬉しい……! あとでリリーさんに自慢するんだ……!)ガサガサ
理亞(包装、あとはこれを剥がせば……………………)ガサッ
理亞「……」
聖良「どう? 嬉しい?」
理亞「……」
聖良「……もしかして、声も出ませんか?」
理亞「……姉様、これ」
聖良「ええ、あのあともう一度トイザらスに行ったんです。どう? 喜んでくれましたか?」
理亞「これ……これっ……」
聖良「なあに?」
理亞「これ……仮゛面゛ラ゛イ゛タ゛ー゛し゛ゃ゛な゛い゛……」ポロポロ
聖良「えっ」
聖良「えっ!!? 嘘! スーパー戦隊じゃないのはちゃんと確認して……」
理亞「こ゛れ゛……こ゛れ゛……ウ゛ル゛ト゛ラ゛マ゛ン゛……!!」ポロポロ
聖良「……う、ウルトラマン……?」
理亞「ウ゛ル゛ト゛ラ゛マ゛ン゛と゛仮゛面゛ラ゛イ゛タ゛ー゛も゛違゛う゛!! 別゛物゛!」
聖良「そ、そんな……ほん、本当に?」
理亞「……!!」コクン
理亞「これ、じゃなっ……ちがぅ! ウルトラマン゛じゃ、なっ……ぅううう……っ」ポロポロ
聖良「ご、ごめんなさい理亞! 私が間違って……い、一緒に行きましょう! 一緒に買いに!ね、ね!」ギュウッ
理亞「うぇええぇえん!!」ポロポロ
聖良「ほ、本当にごめんね! ごめんなさい理亞~!!」
「ゆ”る”さ”ん”!!」
・・・
pikon!
梨子「ん……あ、理亞ちゃんから……ツイッター?」
@ria_ria
リリーさん!聞いて!
姉様がクリスマスプレゼントにジクウドライバーを買ってくれた!
これで次から一緒に変身できる!!
梨子「……」
梨子「ふふ、うふふふ……♪」
@lily_blossom
よかったですね、りありあさん!
ぜひ一緒にまた変身しましょう!今度は私がそちらに遊びに行きますね!
パッと見ベルトに見えるからなアレ
ビルドからライダー沼にハマったわ
最近映画のポスター?か何かが通勤で使う駅にクウガからジオウまで貼られてたけど若い女の子もいっぱい見に来ててすごい広い層に好まれてるんだなって感動したよ
やっぱりオタク趣味の桜内とプリキュア見てるサニ…姉様が巧すぎるわ
りありことか珍しい組み合わせの可能性も見れたしよかったわ
シャットダウン完了ですわ